
きょうはおおむねリスクオンの展開が続いたが、買い一巡後は個別株の中に利益確定売りに値を消すものが目立った。前日の欧州株市場は高安まちまちだった。また、米国株市場もはっきりしない地合いで、ハイテク株が強さを発揮してナスダック総合株価指数は高かったものの、NYダウは強調展開を維持できず、朝安からいったんはプラス圏に切り返したものの取引終盤になって伸び悩み、結局小幅反落して引けている。
東京株式市場では日経平均が前場から強い動きで、後場寄りも買いが先行していた。外国為替市場で取引時間中に円安方向に振れたこともポジティブ視されたのだが、取引終盤になると、買いの勢いが途切れ急速に伸び悩む展開に。米中間や日米間の貿易協議に対する先行き不透明感が意識されるなか、前場で相場を牽引していた半導体関連株などが値を消し、市場センチメントを冷やした。
東京株式市場でも半導体関連のほか、米ハイテク株の上昇が業績拡大につながりやすいソフトバンクグループ(SBG)が上昇した。外国為替市場で円相場が一時1ドル=145円台前半まで下落した場面では、先物への買いが強まり、日経平均は400円ほど上昇する場面があった。
午後は円相場が次第に下げ渋る展開となり、先物への買いも弱まった。台湾積体電路製造(TSMC)が午後に発表した5月の月次売上高は前年同月比では大幅増となった半面、前月比では約8%減となった。先行して上げていた東京株式市場の半導体関連には利益確定売りが強まり、日経平均も急速に上げ幅を縮めた。地政学リスクの高まりを背景に今年に入ってからの上昇が目立っている三菱重、川重、IHIの重工3社にも利益確定売りが優勢だった。
9日にロンドンで開かれた米中の貿易協議では中国のレアアース(希土類)輸出規制や米国の半導体規制などを巡って議論された。協議は10日も継続するという。個別では中国関連銘柄の一角である安川電やファナックが買われたが、対立する両国の関係改善が実現するのか見極めようとする投資家も多かった。10日の上海総合指数の下げも投資家心理の重荷になったとの見方もあった。