
きょうの東京株式市場はリスクオン一色に染まった。米関税政策を巡る不透明感は漂うものの、ひと頃よりは懸念が後退していることで、投資意欲の減退にはつながっていない。前日の米国株市場ではNYダウなど主要株価指数が下値を試す展開だったが、東京株式市場では朝方から先物主導で裁定買いを誘導し水準を切り上げた。海外投資家とみられる積極的な買いが流入したことも、全体指数の押し上げに寄与した。日本時間今晩に発表予定の7月の米消費者物価指数(CPI)を見極めたいというニーズもあったが、終始買い気が弱まることはなかった。日経平均寄与度の高い半導体関連をはじめ値がさ株に買いが集まり上げ足が強まる形に。
日経平均の上げ幅は一時1100円を超え、4万3000円に肉薄した。
米国の関税政策を巡っては日本に対する特例措置の確認に加え、11日にはトランプ米大統領が対中関税の一部を再び90日間延期するための大統領令に署名した。足元で主要企業の決算発表が相次ぎ、関税の影響は市場が警戒していたほど大きくはないとの声があるほか、今後も想定していたほど影響は深刻にならないとの見方が日本株の買いを後押しした。12日の外国為替市場で円の対ドル相場が1ドル=148円台と弱含み、輸出関連株への買いにもつながった。
自民党が前週末に両院議員総会を開き、臨時総裁選の実施の是非を確認する手続きに入ることを決めるなか、市場では「9月中旬に総裁選が実施され、積極財政を志向する高市早苗氏や茂木敏充氏らが有力との見方が広がれば、日本株は上昇しやすい」との指摘もあった。
日経平均は上昇が一服する場面もあった。米ブルームバーグ通信は12日午後に「中国当局は、米国の輸出規制に準拠しつつ中国向けに設計された米エヌビディア製の人工知能(AI)アクセラレーター『H20』製品について、使用を控えるよう新たな指針で中国企業に求めた」と報じた。高値警戒感も生じるなか、米中関係の不安が払拭し切れていない点は一定の重荷になった。
日経平均はボリンジャーバンドの+3σをとらえてきたことで、過熱感が警戒されやすいところであろう。また、米国では12日に7月の消費者物価指数(CPI)が発表される。米国の早期利下げ期待を受けた米国株高が日経平均の上昇の原動力の一つになっているだけに、CPIの結果が相場反転のトリガーになる可能性はあるだろう。ただし、期待先行で積極的に買われている状況ではないと考えられ、押し目待ち狙いのスタンスに向かわせそうだ。