安値引けとなり、今年に入って2番目の下げ幅を記録した。朝方は買いが先行して200円超上げる場面があったが、その後は高値警戒感から利益確定目的の売りが優勢だった。日中を通して株価指数先物が主導した不安定な相場展開が続き、日中値幅(高値と安値の差)は今年最大の794円となった。
朝方は買いが先行した。前日の欧州株市場で主要国の株価指数が総じて高かったことや、米国株市場でもNYダウやナスダック総合株価指数が小幅ながらプラス圏を維持したことを受けて、強気優勢の地合いだった。
しかし、買い一巡後に日経平均は先物主導で値を崩した。これまで上昇相場を主導した半導体関連株に利食われる銘柄が目立っている。日経平均は後場に入ると押し目買いでいったん戻り足をみせたが、今週末にメジャーSQ算出を控えていることもあり、先物を絡めたインデックス売りに抗えず、後場後半になると売り直された。結局3万2000円台を下回り、この日の安値で引けた。
日銀の植田和男総裁が7日の衆院財務金融委員会で、日銀が保有するETF(上場投資信託)の処分について「物価安定の目標の実現が近づいたら具体論について金融政策決定会合で議論し、適切に情報発信していきたい」と述べた。発言を受け、日経平均は急速に下げ幅を広げる場面があった。市場では、総裁発言にアルゴリズム取引が反応して先物売りが膨らんだとの観測が出ていた。
日経平均はその後、いったん値を戻したが、大引けにかけてじり安となる展開だった。今週末に控える株価指数先物・オプション6月物の特別清算指数(SQ)算出に絡んだ思惑的な売買も活発になりやすかった。
日経平均は下落したが、当然の一服で、値幅調整の一環との見方が大半である。足元の市場は板が薄く真空地帯のため、仕掛け的な売買に値動きの荒い展開となってしまうのは仕方の無いことのようだ。また、海外投資家の買いについても、これまではマクロ系ファンドが中心で、ロングターム専門の投資家は、久しぶりの日本株投資となるだけに、足元で調査中のところが多く、今後も海外投資家の買いは継続する可能性は高いとの指摘も聞かれる。目先は値幅・日柄調整を入れながらの展開となりそうで、押し目買いのタイミングを見極める場面と言えそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は5営業日ぶりに反落し、前日比29.98ポイント(1.34%)安の2206.30で終えた。