
朝方はリスク回避の流れが想定されたが、強弱観対立の中もやや買いが先行し、その後は徐々に下値を切り上げる強調展開となった。トランプ米大統領が欧州に対し、6月1日から50%の関税をかける考えをSNSで表明したことで、前週末の欧州株市場では午後の取引で軒並み下落する動きを強いられた。
米株市場でも欧州との関税合戦の懸念を嫌気され、売りに押されたが、その後にトランプ氏が関税発動の期限を7月9日まで延期することに言及し、東京株式市場ではこれを受けて買いが優勢となった。外国為替市場ではドル安・円高傾向となったものの、半導体関連株などが主力株をはじめ広範囲に物色され、全体相場を押し上げる格好に。
日米の長期金利が低下基調となったことも市場センチメントの改善につながっている。値上がり銘柄数は全体のほぼ3分の2を占めた。売買代金は低調だった。
トランプ氏は協議後、自身のSNSで「フォンデアライエン氏から電話を受けた」としたうえで、7月9日まで発動を延期することに「同意する」と記した。前週末23日の米株式市場ではトランプ氏がEUに対して6月1日から50%の関税をかけると表明し、主要3指数が下落していた。
市場関係者は「トランプ氏はEUとの通商交渉が進まないため圧力をかけたが、いったんは延期するということで投資家に安心感が広がった。トランプ氏の交渉手法に市場は徐々に耐性がついてきている」との見方を示した。
延期を受けて、日本時間26日午前の取引では主要なハイテク株で構成する米ナスダック100指数の先物「Eミニ・ナスダック100」など米株価指数先物が大幅に上昇し、東京市場でも東エレクやアドテストなど半導体関連株に買いが集まった。足元で上昇が目立っていた日米の長期金利も低下し、株式の相対的な割高感が和らいだと受け止められたことも株買いにつながった。
これから3月決算銘柄の配当の支払いが本格化する。支払われた配当金がそのまま株式に再投資されるというわけではないものの、一定の需給の改善が意識される。「毎年6月末にかけての相場の押し上げ要因として意識されている」との見方があった。
買い一巡後は心理的節目の3万7500円近辺では戻り待ちの売りや利益確定目的の売りが出て、日経平均は伸び悩む場面もあった。
米国とEUの交渉延期が好感された形だが、出来高は14億株程度と薄商いであり、その中をインデックスに絡んだ商いが押し上げる形だった。
週明けの米国市場がメモリアルデーの祝日で休場になるため、資金流入が限られていたことも、手掛けやすかったと考えられる。
ただ、日経平均は75日線と200日線でのレンジ内での推移である。日本と米国の通商協議もこれからのため、米国の関税政策交渉に関する報道には引き続き警戒が必要だ。なお、今後は3月期決算企業の期末配当金の支払いが本格化する。6月末までの約1カ月間で10兆円を超える配当金の支払いが想定されるため、配当の再投資への思惑が相場を下支えすることになりそうだ。