米12月卸売物価指数(PPI)が市場予想を下回りインフレへの警戒感が後退したことが好感され、前日のNYダウは221ドル高と続伸した。これを受け、日経平均株価も値を上げてスタート。自律反発狙いの買いも流入し、朝方は300円高まで買われた。ただ、買い一巡は上値を抑えられる展開。特に半導体関連株などが軟調となるなか、後場は売りが優勢となり、前日比マイナス圏で推移。
為替が1ドル=157円台前半へ円高方向に振れたことも警戒されたほか、今晩は米12月消費者物価指数(CPI)の結果発表が予定され、その結果待ちで買い手控えの動きも出た。後場に日経平均株価は一時150円を超す下落となったが、引けにかけ下げ幅は縮小した。全般軟調のなか、銀行株などは底堅く推移した。
米国の対中半導体規制強化や日銀の利上げに対する警戒を背景とした売りが次第に優勢になった。2024年12月の米消費者物価指数(CPI)の発表を前にした買い手控え感も強かった。
米ブルームバーグ通信が15日午後、「米国は台湾積体電路製造(TSMC)などの半導体メーカーが製造した先端半導体の中国への流出を防ぐことを目的にさらなる規制を発表する」と報じた。東エレクやアドテストなど値がさの半導体関連株の売りにつながり指数を押し下げた。
日銀の利上げに対する思惑も重荷となった。植田和男総裁は15日、全国地方銀行協会で来週23〜24日開く金融政策決定会合について「利上げを行うかどうか議論して判断する」と述べた。前日の氷見野良三副総裁の講演における発言を踏襲した内容だが、早期利上げ観測が改めて意識され、外国為替市場で円買い・ドル売りが進んだことを嫌気した売りが株式に出た。
市場関係者は「多くの投資家は日銀や米国の対中半導体規制以外に米長期金利の動向にも神経質になっており、足元で積極的に上値を追いたいと考える投資家は少ない」とみていた。
東京株式市場は外部環境が依然として不透明でなかなか目立った反発に転じることができないが、日経平均が昨年10月から続く下値3万8000円、上値4万円のボックス圏の下限に接近してきたことで、一段と売り込む雰囲気は薄れつつある。200日移動平均線(3万8684円)を割ってはいるが一段安となる様子はない。トピックスは5日ぶり反発で今後は徐々に下値を固める流れかもしれない。