きょうは終始不安定な地合いだったが、日経平均、TOPIXともにプラス圏で着地している。前日の米国株市場は休場だったものの、欧州株市場では主要国の株価が軒並み上昇しており、これが投資家心理をリスクオンに傾ける背景となった。
また、日本時間きょう未明に米国ではトランプ米大統領の就任式が行われ、就任初日に多くの大統領令に署名した。そのなかで関税引き上げなどについては即時発動を避けたことで、東京株式市場もこれを好感する動きが観測された。日経平均は寄り後早々に300円を超える上昇をみせたが、その後は失速。トランプ発言などを嫌気して一時は200円以上下落するなど不安定な値動きを続けた。ただ、後場に入ると値動きが小さくなり、おおむねプラス圏での推移に。売買代金は3兆5000億円台と低調だった。
東エレクやアドテスト、ディスコなどの半導体株が上昇し、指数を押し上げた。20日に就任したトランプ米大統領は初日に貿易政策に関する大統領令に署名したが、公約に掲げてきた対中関税の即時発動は見送られ、ひとまず投資家心理の改善につながったとの見方があった。
一部報道でトランプ氏が、初日に署名する大統領令において「新たな関税を発動することはないとみられている」と報じた。20日の欧州株式相場が上昇し、東京市場でも関税発動で収益の悪化は避けられるとの見方から、トヨタなどの自動車株に買いが先行した。
ただ、10時ごろにトランプ氏がメキシコとカナダからの輸入品に最大25%の関税を2月1日までに課す可能性を示唆したことが明らかになると、リスク回避の売りが膨らんだ。それまで買われていたトヨタやホンダ、マツダなどが一転して売りに押された。市場関係者は「今後も貿易政策に絡む『トランプ砲』に振り回されやすく、対中・対日関税のニュースフローには注意が必要だ」と話した。
午後の日経平均は小高い水準で、小動きとなった。日本時間21日午後の取引で米株価指数先物が小幅に上昇している。米長期金利は前週末17日の水準よりも低下した。日本時間今夜の米株式相場の動向を見極めたい投資家も多く、積極的な売買は見送られた。
トランプ関税については、概ね想定の範囲内の結果だったが、次ぎの注目は日銀の金融政策決定会合とする向きが多い。トランプ大統領が関税引き上げを当面見送ったことで円安が一服しているため、日銀がどう対処するのか見通すのは難しくなったとの指摘もある。