
決算発表を受けた個別株物色の動きも追い風となり、日経平均の上げ幅は300円を超える場面があった。
朝方から買いが先行し、終始プラス圏で推移した。前日に米雇用統計の下振れを受けて波乱含みの下げとなったが、きょうはその下げの半分を取り戻す格好になった。米国では経済先行きに対する警戒感が浮上する一方、米連邦準備理事会(FRB)が9月に開催する会合で利下げを決定するとの見方が支配的となり、これが投資家のセンチメント改善につながっている。主力銘柄を中心に買い戻しが観測されたほか、企業の決算発表が本格化するなか、好業績銘柄を物色する動きが全体相場を押し上げた。買い一巡後は戻り売りも観測されたが、後場は日経平均が再び水準を切り上げ4万円トビ台後半で推移した。値上がり銘柄数は後場に入ってやや減少したが、それでも1100を上回りプライム市場の7割強を占めている。
米ゴールドマン・サックスは9月会合について0.25%の利下げを予想しつつ「8月分の雇用統計で失業率が再び上昇すれば、利下げ幅が0.5%になる可能性がある」と指摘した。4日の米株式市場ではダウ工業株30種平均など主要3指数が上昇した。米株高が投資家心理の支えとなり、東京株式市場ではソフトバンクグループ(SBG)やTDK、ファナックなど幅広い主力株に買いが入った。
国内の決算発表が本格化するなか、材料が出た個別銘柄を物色する動きも活発だった。前日に2026年3月期の業績予想を上方修正した川崎汽が買われた。5日午後に四半期決算を発表した三菱重工は発表後に買いが強まり、上場来高値を更新した。26年3月期の営業黒字予想を公表したマツダにも買いが入った。古河電やフジクラなど電線株の上昇も目立った。
さて、東京株式市場は外部環境の落ち着きから反発に転じたが、もう少し日経平均は戻しても良かったのではないかとも思われる。下値25日移動平均線(4万217円)からの反発でチャートのセオリー通りではあるが、昨日の下げ幅の半値戻し程度ではまだ力強さは感じられない。外部(米国)頼みばかりでは本当の強さを取り戻したとはいえないところがあるだろう。