
6月30日に付けた年初来高値(4万0487円)を更新し、約1年ぶりの高値となった。
上げ幅は一時1500円を超えた。日経平均の上げ幅は4月10日(2894円)以来の大きさ。
朝方に伝わった日米関税交渉の合意を材料にリスク選好ムード一色となった。相互関税が当初見込みの25%ではなく15%で決まったほか、自動車関税も15%に引き下げられる方向となったことで、自動車株などへの買いが集中し全体相場を押し上げた。
また、取引時間中に石破首相が8月にまとめる参院選の総括を踏まえ、同月までに退陣を表明するという報道を受け、政局の不透明感解消や財政政策への期待も加わり、買いに拍車をかけた面がある。先物主導の空売りの買い戻しなども日経平均の上昇に寄与した格好だ。終値でも1400円近い上昇を示し、一気に4万1000円台まで水準を切り上げ、今年6月末につけた年初来高値を更新した。
個別株もプライム市場の85%にあたる1370あまりの銘柄が上昇、全体売買代金は7兆円を超える大商いとなった。
トランプ米大統領は22日、日本と関税交渉で合意したと自身のSNSで発表した。日本への相互関税を15%とし、日本が米国に5500億ドル(約80兆円)を投資する方針を示したほか、自動車への関税も15%に引き下げるとした。市場では「自動車関税はかなりのポジティブサプライズ。企業業績全体の押し上げ効果が見込める」との見方が多く、トヨタやホンダなど自動車株を中心に見直し買いが優勢となった。
毎日新聞デジタルは23日、「石破茂首相は23日、自民党が8月にまとめる参院選の総括を踏まえ、同月までに退陣を表明する意向を固め、周辺に伝えた」と報じた。政治情勢を巡る不透明感の後退や次期政権による一段の財政拡張政策への期待で、午前の中ごろから日経平均は上げ幅を拡大した。
日経平均は伸び悩む場面もあった。心理的な節目の4万1000円を上回った水準では、個人や地銀などの利益確定売りが出た。日米関税交渉の合意で日銀が追加利上げするとの観測が再浮上し、長期金利が大幅に上昇したことも日本株の上値を抑えた。
さて、東京株式市場は日米貿易交渉のまさかの決着に全面高で応える1日となった。参院選で与党が大敗した流れから関税交渉にもマイナスの影響が出るとの観測もあったが、8回目の赤沢氏の訪米で想定外の結果を得ている。農産物や自動車の輸入市場解放が今後どう影響するか不明だが、全体としては間違いなく歓迎される内容といえる。チャートも持ち合い上放れの形なので当面は強い相場が続くだろう。