
前日の米株式市場では、NYダウが214ドル高と4日続伸。半導体大手のエヌビディア<NVDA>などハイテク株を中心に値を上げた。この流れを受け、東京株式市場も日経平均株価は反発して始まり、朝方には一時400円を超える上昇となった。為替は1ドル=144円台前半まで円安が進行したことも好感された。半導体などハイテク株や防衛関連株、それにゲーム・知的財産(IP)関連株などが値を上げた。ただ、後場に入ってからは3万7800円前後での一進一退が続いた。今週末に米雇用統計の発表が予定され今晩は米5月ADP雇用統計などが公表されるほか、米中首脳会談も近く実施されるとみられており買い一巡後は様子見姿勢が強まった。多くの投資家が意識する200日移動平均線(3万7832円、3日時点)を超えた水準では利益確定売りが多く出て上値を抑えた。
市場関係者は「前日までの下落で押し目買いが入りやすかった。一方でトランプ関税の影響で企業業績の先行きが見えにくく、投資家としても積極的に上値を追うのは難しい」とみていた。
昨日の米国市場は米中首脳の週内の電話会談を期待してダウ平均は4日続伸した。交渉が滞り最近では非難合戦となっている米中通商協議だが、両首脳の直接会談で事態打開が見込めるとの見方が広がっている。
これがトランプ大統領の希望で開催されるため米側が折れる可能性を市場は期待しているようだ。また、近日中に米印で新たな通商協定が結ばれることも後押し材料に。ダウ平均は今年の成長率下方修正で下げる場面があったが、後半で切り返すなど腰の強いところを見せている。
さて、東京株式市場は米中貿易懸念など目先の悪材料をこなして反発に転じている。米国株や米国経済が思ったよりも堅調でファンダメンタルズ的に売る要素が乏しくなっているのが現状。国内企業もトランプ関税がクリアされたら、足元の減益予想から徐々に回復への道筋を描けるようになって行きそうな雰囲気である。流れとしては再び3万8000円台へ乗せてくることが予想されるだろう。