朝方こそ日経平均がプラス圏でスタートしたが、その後は急速に値を消し、更に次第安の展開で下げ幅も大きくなった。前週末の米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合株価指数いずれも大幅に切り返す動きを見せたものの、昨年12月下旬から調整色を強めていたこともあり自律反発と捉えられ、東京株式市場でも米株市場の変調を横目に買い気が盛り上がらなかった。
米株市場では長期金利上昇に伴い株式の相対的な割高感が意識されやすく、利益確定の動きが表面化している。東京株式市場でも新発10年債利回りが1.1%台に上昇するなど、金利上昇に対する警戒感が相場の重荷となっている。日経平均は一時660円あまり水準を切り下げる場面もあった。
日経平均は心理的節目の4万円に接近しているが、同水準はこのところのレンジの上限としても意識されており、目先の利益を確定する目的の売りに押された。とくに24年末に堅調だったファストリやトヨタなど主力株の一角の下げが目立った。
20日にはトランプ次期米大統領の就任が予定され、関税強化など自国優先の政策が世界経済に混乱をもたらすとの警戒感は強い。米政府が日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画に対する中止命令を出し、足元で活発になっている企業のM&A(合併・買収)に水を差しかねないとの見方も投資家心理を冷え込ませた。
新年最初の取引となったが、長期金利の上昇など日銀の利上げを意識した相場となって今年もインフレが相場の上値を抑える主要因となりそうだ。現に足元ではNYの原油先物が上昇傾向にあり円安と相まって輸入物価上昇圧力は当面引きそうにない。これにトランプ関税が加われば輸出企業の利益も減るため、日経平均が4万円を大きく超えるには多少の試練となるかもしれない。