きょうの東京株式市場は方向感のつかみにくい地合いだった。
前日の米国株市場では半日取引ながら、NYダウ、ナスダック総合株価指数ともに大きく水準を切り上げたことで、東京株式市場も寄り付きは高く始まったが、その後は買いが続かず、マイナス圏に沈んだ。海外投資家がクリスマス休暇で参戦が限られ、薄商いで買い意欲の乏しい地合いに。自動車株が買われたものの、これに続くセクターが見当たらず、半導体関連などに売り圧力が強いほか、銀行株も冴えない。
午後になって植田日銀総裁の講演内容が伝わったが、これに対する反応も限定的だった。しかし、後場終盤に流れが変わった。売りが一巡したことで、押し目買いの動きが広がり全体相場を押し上げる格好に。クロージングオークションの間に日経平均は上げ幅を広げ、TOPIXもプラス圏に切り返して着地した。なお、売買代金は前日に続き低調だった。
ファストリやソフトバンクグループ(SBG)などの値がさ株に買いが入った。午後に入るとトヨタがROE(自己資本利益率)目標の引き上げ報道をきっかけに騰勢を強め、関連銘柄にも買いが波及した。26日に12月期決算企業の期末配当の権利付き最終売買日を控え、関連銘柄を物色する動きもあった。
一方で上値は重かった。市場関係者は「為替ヘッジなしで日本株を運用している海外投資家にとって、円安・ドル高が進めばドルベースでみた運用成績の悪化につながるため、日本株を手掛けにくい要因となっている」と話していた。
25日午後に開かれた経団連審議員会で植田和男日銀総裁は講演で「(物価の)2%目標の持続的・安定的な実現に向け(景気や物価に中立的な)中立金利よりも政策金利を低くすることにより、緩和的な金融環境を維持し、経済をしっかりとサポートしていく」と述べた。従来の姿勢と変わらないとの受け止めから、日本株への影響は限られた。
25日は主要国の多くがクリスマスの祝日で休場になるため、明日も商いは膨らみづらいだろう。個別に材料のある銘柄を中心とした日計り商いが主流となりそうで、全般は方向感の乏しい展開が予想される。一方、年末年始やゴールデンウィークは日本市場の休場が世界的に目立つため、日本株や円が投機筋のターゲットになりやすいだけに、急激な相場変動には気を付けたいところだろう。