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【大引け概況】


29日の日経平均株価は続伸し、終値は前日比298円15銭高の3万8903円68銭で高値引けとなった。

 
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朝方はやや売り優勢で日経平均は下落してスタートしたものの、その後は切り返す展開となった。前日の米国株市場でNYダウやナスダック総合株価指数が揃って上昇、米長期金利の上昇は警戒されるが、中東の地政学リスクに対する過度な不安心理の後退などもあって買いが優勢だった。東京株式市場でもこの流れを引き継ぐ形となった。外国為替市場では朝方は1ドル=153円台と円安水準でもみ合い、半導体など輸出主力株にはポジティブに作用した。株式需給面では政局不安で先に空売りが入っていた分の買い戻しが利いている。
 
値上がり銘柄数は全体の77%を占め、業種別騰落でも33業種中30業種が上昇するという買い意欲の強い地合いだった。ただ、全体売買代金はきょうも今一つ盛り上がらず、10営業日連続で4兆円を下回った。
 
27日投開票の衆院選挙で自民党と公明党の連立与党が大きく議席を減らした。日本の政治の不透明感が高まるとみて前週末までに株価指数先物を売り持ちしていた海外投機筋が、イベント通過で買い戻しを入れる動きがこの日も続いた。28日の米長期金利の上昇(債券価格は下落)を背景に利ざや改善の期待から銀行など金融株が強含み、投資家心理の改善を受けた買いも入った。
 
衆院選挙では連立与党の議席数が過半数に届かなかった。自民党と公明党は特別国会での首相指名選挙で勝つため、国民民主党などとの連携を模索している。国民民主の玉木雄一郎代表は29日、自民、公明両党や他の野党との連携について「政策ごとに良いものには協力し、駄目なものには駄目だと言う」と述べ、予算案や重要法案といった案件ごとに与野党が協力する「パーシャル(部分)連合」の可能性を否定しなかった。石破茂首相などから党首会談を求められれば「何を決めていくかによるが、拒否するものではない」と語った。
 
国民民主は現役世代への支援を中心に訴え、今回の衆院選で大きく議席数を増やした。
市場関係者は「国民民主が掲げた減税や社会保険料の軽減など『手取りを増やす』政策が国民から一定の支持を集めたとあって、来年夏の参議院選に向け自民党も同様の政策を打ち出すとの期待が高まっている」と指摘。同時に「衆院選で与党の議席が過半数を割り込むなかで金融所得課税などの株式相場に逆風となるような施策を打つ可能性が小さくなった」と話す。
 


日経平均は節目の3万9000円に迫ってきた。戻り待ちの売りも出やすいところであるが、売り仕掛け的な売買は避けておきたいところであろう。また、決算発表が本格化するなか、予想を上回る決算を発表した企業への資金流入が目立つ。足もとで調整が続いていた銘柄などはアク抜けとみられる動きを強める可能性もあり、先回り的な動きが徐々に広がりをみせてくる可能性はありそうだ。
 
東証株価指数(TOPIX)は続伸した。終値は24.24ポイント(0.91%)高の2682.02だった。JPXプライム150指数も続伸し、8.77ポイント(0.73%)高の1207.20で終えた。
 
東証プライムの売買代金は概算で3兆5920億円、売買高は15億8652万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1275。値下がりは323、横ばいは48だった。
 
業種別株価指数(33業種)は銀行業、鉱業、保険業などが上昇。下落は輸送用機器、金属製品、ガラス・土石製品。
 
 
個別では、断トツの売買代金をこなしたディスコが上昇、アドバンテストも高い。足元さえなかったIHI、川崎重工、三菱重工など防衛関連銘柄が買われたほか、三菱UFJフィナンシャル・グループ、みずほFG、三井住友FGなどメガバンクも値を上げた。野村や大和といった証券株、第一生命HDや東京海上などの保険株の買いが目立った。さくらインターネットは大商いでストップ高となった。リクルートホールディングスもしっかり。日本ペイントホールディングス、NECネッツエスアイ、リガク・ホールディングス、マネックスグループも値を飛ばした。このほか、古河電工、エムスリー、日東電工、コニカミノルタ、フジクラ、アステラス製薬などが買われた。
 
一方、中国事業が落ち込んだことで最終減益見通しを発表したTOTOが大幅安となったほか、カシオ、ニデックなど中国関連銘柄の一角も売られた。前日の大幅高の反動が先行し中外製薬が売られた。セブン&アイ・ホールディングスも冴えない。マクニカホールディングス、LITALICOが大幅安となったほか、コクヨ、東京製鐵、トクヤマも下落した。JVCケンウッド、キリンHD、スズキ、高島屋も売りに押された。

 
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