
前日の米ハイテク株高や外国為替市場でドル高・円安が進んだことなどを受け、朝方は大きく買い優勢でスタートしたものの、その後は漸次利益確定売り圧力が上値を押さえる格好となった。前日に日経平均は高市新総裁誕生を好感し、2000円を超える大幅上昇をみせていたことで、目先スピード警戒感も拭えなかった。
日経平均寄与度の高いハイテク系値がさ株が伸び悩んだことで、日経平均は取引終盤に小幅ながら下げに転じる場面もあったが、引け際の大口買いによってかろうじてプラス圏で着地した。ただ、値上がり銘柄数は800でプライム市場のほぼ5割を占めるにとどまった。売買代金については引け際に急増する形で6兆6000億円台と膨らみ、前日のレベルには届かなかったものの高水準だった。
前日の米株式市場ではナスダック総合株価指数が最高値を更新した。米利下げ観測を支えに半導体や人工知能(AI)関連の上昇が目立った。東京株式市場でもアドバンテストやソフトバンクグループ(SBG)といった値がさの一角に加え、フジクラはじめAI関連銘柄の上昇が相場を押し上げた。
トヨタなど輸出関連株にとっては円安・ドル高も買いを誘う要因になった。自民党新総裁に高市早苗氏が就任したのを受けて市場では「日銀は10月の会合で利上げを見送る」との思惑が広がっている。さらに高市氏のもとでの政策運営が財政拡張的になるとの見方も円売り・ドル買いを促し、7日の東京外国為替市場では1ドル=150円台後半まで円安・ドル高が進む場面があった。半面、円安によるコスト高も懸念され、イオンやハイデ日高、ゼンショHDといった内需・外食関連株では下げが目立った。三菱UFJなど銀行株も下落した。
高市新総裁による政策期待から6日に日経平均は2000円強上昇していた。チャート分析上で長期的な株価トレンドを示す200日移動平均からの上方乖離(かいり)率は20%を上回り、相場の過熱感が意識されやすかった。日経平均は朝方に前日比580円ほど高い4万8500円台まで上昇した後は持ち高整理や利益確定目的の売りが強まり、15時過ぎには下落に転じる場面もあった。指数寄与度の大きい東京エレクトロンやファーストリテイリングのほか、レーザーテックの下げが目立った。
自民党は7日午前、党本部で臨時総務会を開き、新たな執行部を正式に決めた。今後は臨時国会での首相指名に備えて閣僚の人選も進める。政権運営を巡って連立の枠組み拡大が実現するか見極めたいとの声も聞かれ、午後にかけては様子見ムードも広がった。
前日の大幅上昇に対する反動や急ピッチの上昇に対する過熱感を意識しつつも、押し目待ち狙いの買い意欲は強そうである。次の上値の目安は、50000円が射程圏に入っているとの強気な声も出始めている。過熱を冷ましつつも、高市新総裁の政策を睨んだ物色が続くことになるだろう。