
前日の米国株式市場は下落。一部主要企業決算で消費の底堅さが示されたが、政府機関の閉鎖が長期化し成長を妨げるとの懸念や、過去最高値付近でバブル警戒感も根強く売りに押され、下落に転じた。金利上昇も嫌気されたが、半導体が支え、ナスダックは終盤にかけ下げ幅を縮小した。米株市場を横目に、本日の日経平均は反落して取引を開始。その後は、想定以上の好決算発表で安心感が優勢となったファーストリテイリングが下支えしたが、幅広い銘柄で売り優勢の展開が続いて指数も下げ幅を広げた。
ただ、後場からは下げ渋り、4万8100円を挟んでもみ合う展開となった。日経平均は昨日大幅高となり、25日移動平均線との乖離率が7.73%に拡大するなど高値警戒感が強まっていたため、幅広い銘柄で利益確定売りが出やすかった。また、政治空白が長期化していることに加え、次期新政権の枠組みが不透明なことなども投資家心理を慎重にさせた。
日経平均は前日に過去最高値を更新し、日足チャート上では長期的なトレンドを示す200日移動平均からの上方乖離(かいり)率が9日時点で23%と、過熱感の目安となる20%を上回っていた。10月の上昇幅はこの1週間あまりで前日までに3600円超に達しており、10日は一方的な上値追いへの警戒感が優勢になった。
10日に算出を迎えた株価指数オプションとミニ日経平均先物10月物の特別清算指数(SQ)値はQUICK試算で4万8779円14銭と、前日の日経平均の終値を上回る水準だった。市場では「SQにかけて買い上がった短期筋が売りに回り、日経平均の下げ幅が大きくなる要因になった」との見方があった。
自民党と公明党の党首会談が開かれ、連立継続の是非を巡る思惑も相場全体の不透明感を強めた。債券市場では売り(金利上昇)が優勢になる場面があり、政権の枠組みの動向次第では株売りのきっかけになるとの警戒感も日経平均の重荷となった。
ファーストリテイリングは6.6%高で取引を終え、1銘柄で日経平均を260円ほど押し上げた。9日の取引終了後に2026年8月期(今期)の連結純利益が前期比微増の4350億円になるとの見通しを発表した。市場予想平均を上回ったことが買い材料視された。
中長期的な株高期待は根強く、下げ幅が拡大する場面では主力株に押し目買いを入れる動きもみらえた。日経平均は取引終了にかけて下げ渋る展開だった。