
きょうの東京株式市場はリスク選好の地合いに終始した。前週末の欧州株市場がほぼ全面安に売り込まれたほか、米国株市場でもNYダウが一時900ドル近い下げをみせるなど、リスク回避ムードの強い地合いだったが、東京株式市場は一転して先物を絡めた買い戻しで、日経平均は大きく切り返す展開になった。
イスラエルによるイランへの軍事攻撃とイラン側からの報復攻撃など、中東での地政学リスクが強く意識されるなかも、前週末に先駆して調整を入れていた東京株式市場は買い戻しが優勢となった。外国為替市場でドル安・円高に歯止めがかかったことで、輸出セクターに追い風となったが、特に半導体関連の主力銘柄への買いが顕著で全体相場押し上げに寄与した。
海外投機筋が日経平均先物に買いを先行させ、その後も断続的な先物買いによってほぼ一日を通じて上げ幅を拡大する展開だった。
値がさのアドバンテストは一時10%超の上昇となり、日経平均を217円押し上げた。先物主導の展開を映し、ソフトバンクグループ(SBG)や東エレクなど日経平均への寄与度の高い銘柄の上昇が目立った。
国内の市場関係者の間では中東情勢の緊迫はすでに織り込まれたという声が多く、前週末の米株式相場の下落を受けた売りも特にみられなかった。地政学リスクの高まりを受けて防衛や海運株などが物色された。円相場の下落を受けて自動車など輸出関連株にも採算改善を期待した買いが入った。
「中東情勢への警戒から世界的にリスクオフ(回避)の流れとなるなか、前週末の欧米株安が反応として妥当だろう。きょうの日本株高はやや不思議で説明がつかない」と指摘。投機筋の資金流入という需給要因が日経平均の大幅な上昇を演出したとみていた。
さて、東京株式市場は中東情勢緊迫化にもかかわらず腰の強い展開を見せている。市場としては中東全体を巻き込んだ大紛争に発展するとは見ておらず、あくまでも当事者間に限定された叩き合いと見ているようだ。トランプ大統領が日本製鉄によるUSスチール買収を認めたことも、今後の日米関係にプラスになると判断している模様。最近は悪材料全てが絶好の買い場となっている。