
きょうの東京株式市場は再びリスクオフ一色に染まり、全体の90%の銘柄が下落する全面安商状となった。前日の米国株市場ではNYダウが朝高後に一貫して水準を切り下げ、結局300ドルあまりの下落となった。ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数も漸次下値を探る動きで2%超下げるなど引け味の悪い展開だった。これを受けて東京株式市場でも投資家のセンチメントが悪化している。外国為替市場で円高に振れたことも警戒された。経平均の下げ幅は一時1700円を超えた。
トランプ米政権による相互関税が午後に発動され、中国を筆頭に世界経済への影響が懸念されるなか、幅広い銘柄に売りがかさんだ。相互関税に対し、中国も全面対決の姿勢をみせており、機関投資家の持ち高を減らす動きや、個人投資家の追い証発生に伴う投げ売りが下げを助長した。なお、売買代金は5兆5000億円台と前日を上回る水準をこなした。
トランプ米政権が世界各国の輸入品に課す相互関税をめぐり、日本時間9日13時1分に上乗せ関税が発動した。日本には計24%、中国には累計104%の関税をかける。関税賦課に伴う世界景気の下押しに対する警戒感が強まり、投資家のリスク許容度が急激に低下した。東京市場では幅広い銘柄に売りが出て、全面安の展開となった。
相互関税をめぐって中国側は「最後まで戦う」としてさらなる報復も示唆しており、米中貿易摩擦が激化するとの見方は強い。東京株式市場ではファナックや安川電など中国関連とされる銘柄への売りも目立った。米相互関税の上乗せ関税発動を受けて外国為替市場では一時、円相場が1ドル=144円台と円高・ドル安が進み、投資家心理の重荷となった。
朝方から日経平均は大幅安で推移した。関税をめぐる米中対立の激化を嫌気して、8日の米株式相場が下落した流れを引き継いだ売りが日本株に先行した。前引けにかけては押し目を拾う動きが見られ、下げ幅を縮める場面もあった。
市場関係者は「足元の日本株の水準は数字だけで見れば割安だが、決算発表シーズンを前に各社の業績に対する不確実性は高く、投資家心理が好転するきっかけに乏しい。引き続き、関税に関するニュースで日本株相場は左右されそうだ」とみていた。