
前日の米株式市場では、NYダウが1014ドル安と急反落し、ナスダック指数も大幅下落した。米相互関税による米中摩擦の激化が懸念され、米株式市場は再び大きく売られた。
これを受け、東京株式市場では日経平均株価が大幅安で始まり、2000円近い下げとなる場面があった。
為替相場が一時1ドル=142円80銭台へ急激な円高が進行したことも警戒された。ただ、日経平均株価の3万3000円割れの水準には値頃感からの買いも入り、後場に入り下げ幅は縮小した。半導体関連や大手重工、銀行株など主力株が売られたが、大手スーパーやドラッグストアなど内需関連株の一角は堅調だった。
米国は中国の輸入品に対して125%の追加関税を課すとみられていたが、ホワイトハウスが10日、3月までに課した20%の追加関税と合わせて税率が145%になると明らかにした。米中対立が激化すれば、物価上昇と景気停滞が同時に進むスタグフレーションが現実味を帯びるとの警戒感は強い。米市場は株式と通貨、債券がそろって下げる「トリプル安」に陥っており、世界のリスク資産に売りを促す動きがきょうの東京株式市場に波及した。
下げが目立ったのが中国関連株で、ファナックや安川電など中国売上高比率が高いとされる銘柄が売られた。前日の米市場で半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が急落した影響で、半導体関連株の一角も下落した。日米で長期金利が上昇したが、景気悪化による「悪い金利上昇」が意識されているとの見方があり、三菱UFJや東京海上など金融株は下落した。
午後は下げ幅を縮小する展開だった。週末を前に売り方の買い戻しの動きが出た。トランプ米大統領が全世界に相互関税を発表した2日(現地時間)以降、日経平均は株価水準を切り下げてきたとあって、市場では「足元で株式比率が低下しているとみられる年金基金などが買いを入れているようだ」との声も聞かれた。
さて、東京株式市場は引き続きトランプの独断政治に振り回される展開。中国の強硬な対応も元は米国が引き金となっており全てはトランプ個人から発せられている。マーケットは時間とともに悪材料は織り込んでいるが、元の自由・民主主義の米国や米国景気が戻ってくることはなさそうなので、そうしたプレミアムの剥がれた価格形成となってこよう。当面は戻り売りが有効かもしれない。