前日の米株式市場では、NYダウは154ドル安と4日続落しナスダック指数も続落した。米国株が下落した流れを受け、東京株式市場も売り先行でスタート。日経平均株価の前場終値は254円安だったが、午後に入り値を戻し、結局前日に比べ小幅高で取引を終えた。米CPIの結果待ちで様子見姿勢も強く、売買は低調だった。半導体関連などハイテク株は軟調な一方、防衛関連の大手重工が商いを伴い買われ銀行株も堅調だった。
日銀の追加利上げ観測がくすぶるなか、銀行や保険、重工などに買いが入り、相場を支えた。半面、半導体市場に対する楽観的な見方が後退したのを背景にアドテストなど半導体関連が軒並み下落し、重荷となった。
きょうは金融株や重工株の上昇が目立った。日銀が11日発表した11月の企業物価指数(速報値、2020年平均=100)は前年同月比で3.7%上昇し、23年7月以来の高い伸び率となった。民間予測の中央値(3.4%上昇)も上回った。市場では日銀が来週の金融政策決定会合で追加利上げを決めると予想する向きが根強く、三菱UFJなど金利上昇が追い風になりやすい金融株にあらためて物色が向かった。
11日には防衛力強化の財源にする法人・たばこ・所得3税の増税を巡る政府案も判明した。法人税は2026年4月以降、新たに税率4%を付加する防衛特別法人税(仮称)を開始する。川重が後場に10%を超える上昇をみせるなど重工株に買いが集まった。個別ではソニーGが株式分割考慮ベースの上場来高値を更新。直近好調な銘柄にも買いが入った。
半面、アドバンテストや東京エレクトロン、ディスコと半導体関連が軒並み下落した。レーザーテクは年初来安値を更新した。前日の米株式市場では主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が2.47%下落した。台湾積体電路製造(TSMC)が10日発表した11月の月次売上高が前月比でマイナスとなり、半導体市場に対する楽観的な見方が後退。半導体を巡る米中対立への警戒感が強まるなか、エヌビディアなどが下げ、東京市場の半導体関連の売りにつながった。日経平均は前場に250円ほど下げる場面もあった。
注目のCPIについては、来週に開催される米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測を後押しするものになるのかどうかだ。市場予想を大きく上回る結果とならなければ、FOMCでの利下げは確実となるのではないかとの声が聞かれる。いずれにしても、CPIの結果とそれを受けた米国市場の動きに関心が集まるなか、アク抜けの動きが出てくるかが注目されるだろう。