
きょうのは方向感の見えにくい地合いであった。朝方は前日の米株高を受け、買いが先行したが、取引開始後ほどなくして日経平均は頭打ちとなり上げ幅を縮小する展開に。米格付け会社ムーディーズ・レーティングスが米国債の信用格付けを一段階引き下げたことは、あまり影響がなかったものの、上値を買い進む動きも限定的だった。
外国為替市場で1ドル=144円台半ばまでドル安・円高方向に振れたことは買い手控えムードにつながっている。ただ、下値を売り込む動きもみられなかった。日経平均は前日まで4営業日続落していたことから、押し目買い需要は活発で全体指数を下支えした。20日からカナダで開かれるG7財務相・中銀総裁会議では、ベッセント米財務長官と加藤財務大臣の会談が予定されており、株価の方向性が定まりにくかった。なお、値下がり銘柄数が値上がりを大幅に上回った。
米国債の長期信用格付けを引き下げたことで、週明け19日の米株式市場ではリスク回避の売りが先行した。だが、米長期金利の上昇が一時的な動きにとどまり、低下に転じたことをきっかけに、株式市場では次第に買いの勢いが強まった。東京株式市場でもアドテストや東エレク、ソニーGなど主力株の一角が買われ、指数を押し上げた。
朝方に400円ほど上昇したが、心理的節目の3万8000円に近づく場面では利益確定の売り圧力が強まった。20日からカナダで開かれる主要7カ国(G7)財務相・中央銀行総裁会議では日米の財務相会談が予定されている。
加藤勝信財務相は20日午前の閣議後記者会見で、米国のベッセント財務長官と「為替を含め2国間の諸課題について議論をしたい」との考えを示した。会談で円安・ドル高の修正が議論されるとの思惑から円買いの勢いが強まり、午後に円相場は1ドル=144円台前半まで強含む場面があった。円高に連動してトヨタなど輸出関連株の一角が伸び悩み、日経平均は一時下げに転じた。
国内主要企業では製造業を中心に2026年3月期(今期)の業績見通しはさえず、米関税を巡る不透明感が強いことも日本株の買い手控えにつながっているとの見方があった。
投資家の関心は、G7会合の際に行われる日米協議の行方に集まっている。協議の内容次第では先物主導で仕掛け的な売買が強まる可能性があるとみられ、注意しておきたいところだ。その後は、3回目の日米通商協議を控えていることから、こちらについても報道を受けた為替動向の影響を受けそうである。積極的な売買が手控えられており、イベント通過後の押し目狙いの動きが意識される可能性はありそうだ。