
前日の日米関税交渉の合意を受けたリスク選好ムードが続き、主力大型株を中心に断続的な買いが入った。東証の業種別指数では全33業種が上昇。銀行業が上昇率トップとなったほか、精密機器や非鉄金属など景気敏感セクターの上げが目立った。
一方、株価指数の急ピッチな上昇を背景に短期過熱感が台頭したほか、高値警戒感も広がり、後場に入ると主力株の一角に利益確定目的の売りが出て日経平均は伸び悩んだ。ベッセント米財務長官がテレビ番組で、日本による貿易交渉の合意内容の実施にトランプ大統領が不満を感じた場合、相互関税と自動車関税を25%に戻す可能性について言及したことも、上値を圧迫する要因となったとみられている。
日米関税交渉の合意を好感して前日の米株式相場が上昇した流れを引き継いだ。日本に続き、欧州連合(EU)や中国など主要国と米国との間でも貿易交渉が進展するとの期待感も追い風となった。東証株価指数(TOPIX)は過去最高値を更新した。
日経平均の上げ幅は900円に迫り、約1年ぶりに4万2000円台に乗せる場面があった。米関税政策による世界景気の悪化懸念が後退したとして、海外短期筋を中心に運用リスクをとる動きが加速している。時価総額が大きい大型株で構成される「TOPIXコア30」の上昇率は2.31%と日経平均に比べて大きく、大型主力株に海外投資家の新規資金が流入しているとの見方があった。国内では与党の参院選大敗を受け、財政規律派とされる石破茂首相が退陣し、次期政権が財政拡張的な政策を進めるとの思惑を買い材料視する動きもあったという。
午後はやや伸び悩む場面があった。日経平均は前日の1396円高に続く急伸となったうえ、日米合意を好感するのは2日目で、約1年ぶりの高値水準とあって、上値では戻り待ちや利益確定目的の売りが出た。東海東京インテリジェンス・ラボの長田清英チーフストラテジストは「過去最高値をつけた1年前に比べると、金利上昇と円高が進行しているほか、米相互関税の15%が今後かかることになり、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の観点ではマイナス材料が多い」と指摘。そのうえで、1年前の高値に並ぶ条件は不足しており、短期筋主導の急ピッチな株高の反動には注意が必要と話していた。