
エヌビディアが発表した25年5~7月期の決算は売上高と調整後1株利益が市場予想を上回った。8~10月期の業績見通しはAI半導体「H20」の中国向け出荷による影響を織り込まない形で開示。ジェンスン・ファン最高経営責任者(CEO)は決算説明会で、中国市場でのAI半導体「ブラックウェル」の投入は現実的に可能だ、などと述べた。同社の事業環境に対する過度な悲観が広がるまでには至らず、イベントを波乱なく通過したことによる安心感が株式市場で台頭した。日経平均は前日比200円超安で寄り付き、朝方は赤沢亮正経済再生相が予定していた訪米を取り止めると報じられ動揺も走ったが、安寄り後は不安定な動きを見せながらも次第に押し目買いに支えられる形となった。
ウォーレン・バフェット氏が率いる投資会社の米バークシャー・ハサウェイ<BRK.B>による三菱商事の買い増しが明らかになったことで、大手商社株が後場に強含んだ。
午前にチャート分析上で下値支持線として意識されてきた25日移動平均(4万2000円近辺)に近づいたことで、買い圧力が強まった。8月下旬の注目イベントだった米経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演と、エヌビディアの決算発表を終えたとあって、売買を手控えていた投資家らの買いも入りやすかった。
三菱商事は28日昼、著名投資家ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハザウェイが同社株を買い増し、議決権比率が同日時点で10.23%に上昇したと発表した。午後は三菱商のほか、丸紅や伊藤忠など商社株が一段と上昇した。海外投資家らの日本株への注目が改めて高まるとの見方があり、日本株全体の支えとなった。
市場関係者はきょうの相場について「ある特定のセクターへの集中投資というより、幅広い業種の割安株に買いが入っていた印象で、相場に過熱感はみられない」と指摘。「米国の予防的な利下げへの期待や、日銀が近いうちに利上げに動く可能性は低いとの見方が支えとなり、日経平均の上昇は長続きしそうだ」との見方を示した。
日経平均は朝方に一時200円あまり下落した。27日の米株式市場の通常取引終了後に2025年5〜7月期決算を発表したエヌビディアの株価が時間外取引で下落し、東京市場でも半導体関連株の一角に売りが優勢となった。もっとも、エヌビディアの売上高や純利益は市場予想を上回っており、人工知能(AI)向け半導体の需要は底堅いとの受け止めが多く、下げは限定的だった。
東京株式市場は最終的にはエヌビディアを始めとする半導体人気に支えられ指数が続伸する展開。日経平均は高値引けとなり明日に期待をつなぐ終わり方となっている。チャート面では下値25日移動平均線(4万1998円)近くでサポートされ足場固めが進行中。明日以降は上値10日移動平均線(4万2932円)を捉える流れに入ってこよう。