
前日の米株式市場では、NYダウは117ドル高と反発した。しかし、トランプ関税に対して米国際貿易裁判所はその大部分を違法としたが、米連邦巡回控訴裁判所は29日にその効力を一時的に停止するとの判断を下し、米関税政策に対する不透明感が強まった。また、円高が警戒されるなか日経平均株価は下落してスタート。
朝方に680円あまり下落し3万7700円台まで値を下げる場面があった。為替相場も午前10時過ぎに一時1ドル=143円台前半まで円高が進み、ハイテク株などが売られた。後場に入ってからは下げ幅が縮小したが、大引けにかけ売り直され3万8000円台を割り込んだ。米国時間30日には4回目の日米関税交渉が見込まれているほか、米個人消費支出(PCE)物価指数も発表されることから積極的な買いは手控えられた。
東証プライム市場の売買代金は概算で6兆5106億円と、4月7日以来の大きさだった。
米連邦巡回区控訴裁判所が29日、トランプ政権の関税の大部分を無効とした米国際貿易裁判所の一審判決について、その執行を一時的に停止する判断を下した。29日の日経平均は、関税無効や決算発表後の米エヌビディアの上昇への期待から急伸していたため、30日は戻り待ちや利益確定目的の売りも出やすかった。
大引けで米MSCIの株価指数「グローバルスタンダード指数」の構成銘柄の定期入れ替えに伴う売買が発生。全体では150億円程度の資金流出が見込まれ、約2000億円と推計された1年前に比べると相場に対する影響は限定的だったとの声があった。
一方、需給面では5月のMSCIの定期見直しが1年で最大のイベントと市場で認識されている。「流動性が担保される中で機関投資家の持ち高調整を目的とした取引が集中した可能性があり、思惑的な売買が膨らんだ」。大引け間際のクロージング・オークション(CA)の時間帯に約3兆円の売買が成立した。
日米国時間30日には第4回目の日米関税交渉が見込まれており、その結果が注視されているが、来週からは6月相場に突入する。
当面のスケジュールで注目されるのは「主要7カ国首脳会議(G7サミット)での日米首脳会談だろう」(アナリスト)との声が出ている。15日から17日にカナダで開催されるG7サミットでは日米首脳会談が予定されており、どこまでトランプ関税の協議が進むかが注視されている。市場には「状況次第では相互関税措置の一部停止措置が終了する7月9日近辺まで、交渉の妥結はない可能性もある」との見方も出ている。いずれにせよ、ハイテク株など外需銘柄の本格反騰に入り、日経平均株価が3万8000円台を一気に突き抜けるためには、トランプ関税の先行きが見え視界不良相場が一掃されることが待ち望まれているだろう。