
前日の米国株市場ではハイテク株などをはじめ広範囲に買われ、ナスダック総合株価指数とS&P500指数が最高値を更新、これを受けてきょうの東京市場はリスク選好の地合いが続いた。短期的には過熱感も強いが、先物主導で終始上値指向が緩むことはなかった。米国では7月の消費者物価指数(CPI)の発表を受けて、FRBによる早期利下げ期待が高まっており、日本株も投資家のセンチメントが強気に傾いている。海外投資家とみられる大口買いが、出遅れている半導体関連の主力銘柄などに流入し日経平均の上昇に貢献した。空売り筋の買い戻しなども誘発し、日経平均は寄り付き早々に4万3000円台に乗せ、東証株価指数(TOPIX)と共に最高値街道を走る展開に。取引時間中はアジア株がほぼ全面高に買われたこともリスクオンを助長した。売買代金も3営業日連続で6兆円台をこなすなど活況が続いている。
日経平均は寄り付きから初めてとなる4万3000円台に乗せ、終日その水準を維持した。前日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が前の日と比べて500ドル近い上げとなった。この日発表された7月の消費者物価指数(CPI)がおおむね市場の想定通りの結果となり、トランプ米政権の関税政策によるインフレ懸念が後退した。米連邦準備理事会(FRB)が9月に利下げを再開するとの観測から景気の先行きに楽観的な見方が広がり、日本株にも海外勢などの買いが続いた。
後場に入って日経平均は上げ幅が一時700円を超えた。海外ファンド勢を中心とした買い戻しでTOPIXが先行して強含むなか、海外短期筋とみられる株価指数先物への買いで日経平均の上昇に弾みがついた。市場では連日の相場上昇で短期的な過熱感を指摘する向きも多い。個人投資家などからは利益確定売りが出やすく、日経平均は伸び悩む場面もみられた。ただ相場の先高期待は根強く、堅調さを保った。アジア株も上昇し、投資家のリスク選好の動きが世界に広がる展開となった。
前日の米市場で半導体関連の物色が目立ったことを受け、東京市場はアドバンテストが大幅に上昇。米関税政策が企業業績に与える影響は次第に緩和するとの見方から、TDKや日東電など電子部品株なども買われた。米関税の影響が限定的で成長性も高い銘柄との位置づけからソニーグループやサンリオが高かった。半面、食料品や陸運など内需株には利益確定売りが優勢だった。
国内企業の決算発表はあすでほぼ出そろうだけに、この先は市場エネルギーが低下して上昇スピードが鈍る展開を想定しておく必要がある。ネガティブなニュースが出てくれば、ここまでの上げの度合いが大きかった分、値幅を伴った下げが出てくるかもしれない。ただ、どういった理由で下げたとしても、健全な調整の一環と受け止められる可能性が高い。
上昇を先導していた銘柄群が利益確定売りに押されるようなら、それ以外の銘柄の中から買えるものを探す動きが活発となるだろう。直近の上昇に乗り遅れた銘柄や、急落して売り出尽くし感が出てきた銘柄などに注意を払っておきたい局面だろう。