
日経平均の下げ幅は一時300円を超えた。直近で急騰し史上最高値圏まで水準を切り上げたとあって、反動安への警戒感が続いた。前日の米株式市場でハイテク株が軟調に推移し、ナスダック総合株価指数が続落したことも日本株の重荷となった。米国時間21日に開幕する経済シンポジウムの「ジャクソンホール会議」では、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演にマーケットの注目が集まっている。利下げに消極的な発言が出た際の米国株の調整リスクも意識され、買い手控えムードが広がった。ソフトバンクグループに対する利益確定目的の売りも続き、日経平均を押し下げる要因となった。
ただ、売りが一服すると押し目買いなどが入り、下げ渋る場面も多かった。市場関係者は「22日のパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の講演を前に、いったんは持ち高調整の売りが出ているが、日本株の先高観は依然として根強い」との見方を示した。パウエル氏が(利下げに消極的な)タカ派的な姿勢を示した場合は「米国株売りが日本株にも波及するだろう」とみていた。
ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演を控え、発言内容を見極めたいとの雰囲気が強く、積極的に売り買いを仕掛ける向きは少なかったようだ。昨年の講演では、明確に利下げを示唆する発言をしたが、足元の米国経済指標はまだら模様で、「利下げの判断にはさらなるデータが必要」との従来見解を示す可能性も残る。利下げに関する発言が出なければ、投資家はタカ派的と受け止め、波乱展開に陥る可能性もあるだろう。