
きょうは、リスクオフの巻き戻しが鮮明となった。前日の米国株市場ではベッセント米財務長官が中国との貿易戦争が早晩改善に向かうとの認識を示し、これを好感する形でNYダウが1000ドル超に買われるなど一気に反騰色を強めた。東京株式市場でもこれに追随する形で幅広い銘柄にショートカバーが観測され、日経平均やTOPIXを押し上げる格好となった。
トランプ米大統領が米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の解任を否定したことで外国為替市場での円安も追い風に、日経平均は寄り後早々に900円あまり上昇し3万5000円台に乗せる場面もあったが、買い一巡後は利益確定売りや戻り待ちの売りが上値を抑えた。
中央銀行の独立性への懸念が後退してドルが幅広い通貨に対して買い戻され、円相場が一時1ドル=143円台まで下落したことで輸送用機器、電気機器、精密機器などの輸出株は上昇が目立った。
市場関係者は「トランプ関税に対する前向きな材料を素直に評価した買いが入ったものの、節目の3万5000円近辺で利益確定売りが増えたように、決算発表の本格化を前に上値を追いたいと考える投資家は多くない」とみていた。
さて、東京株式市場は米株高、円安という外部支援によって大きく反発。日経平均、トピックスともに主要指数が上値25日移動平均線へと一時達している。市場には改めてトランプ関税を売り過ぎたことが浸透しもう一段上の水準へレンジを切り上げる動きが表れている。一方的なトランプ関税は徐々に過去のものとなりつつあり、現状は各国とのディールによる相場形成という第二段階に入ってきている。