
前週末の米国株市場でNYダウが急伸をみせ、昨年12月以来となる史上最高値を更新したほか、ナスダック総合株価指数なども大幅高となったことで、市場センチメントが改善した。注目されたジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演は、FRBが利下げに後ろ向きではないという見方が強まり、米株市場を押し上げた。東京株式市場でもこの流れを引き継ぐ形、海外短期筋による株価指数先物への買いで上げ幅は500円を超える場面もあったが、買い一巡後は上値の重さが目立っている。日米金利差縮小を背景に為替がドル安・円高方向に振れたことが足を引っ張った。後場に入ると日経平均は値を消す場面があり、マイナス転換も意識されたが、その後は買い直され引けにかけて再び強含みで推移した。
午後は上げ幅を50円程度まで縮小する場面があった。外国為替市場では円相場が1ドル=147円台と前週末夕時点に比べて円高・ドル安方向に振れ、輸出関連株の重荷となった。東京海上アセットマネジメントの若山哲志シニアファンドマネージャーは「高水準にある実質金利の是正を目的とした米利下げであれば、景気の下支えになるとの見方から株高要因になりやすいが、米雇用の悪化が鮮明になれば株価が調整する可能性がある」と指摘したうえで、8月の米雇用統計が次の焦点とみていた。
9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)までには雇用統計や消費者物価指数など重要な経済指標の発表が控えているだけに、雇用情勢が回復に向かっているのか、インフレが高まらず落ち着いているのかなどを確認する必要がありそうだ。また、日経平均の押し上げには半導体関連株の上昇が不可欠だが、27日にはエヌビディアの決算が控えているだけに、AI(人工知能)需要の好調さが確認できるのか見極めたいとの声もあり、積極的な売買は手控えられやすいだろう。