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【大引け概況】


28日の日経平均株価は3日続落し、終値は前日比548円93銭安の3万9016円87銭だった。

 
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前日に続き主力ハイテク株への売り圧力が顕著だった。特に半導体セクターの軟調が際立ち、データセンター関連として買われた電線株も利食い急ぎの動きが表面化し日経平均を押し下げた。
前日の米国株市場では、中国の人工知能(AI)関連企業であるDeepSeek(ディープシーク)が開発した低コストのAI新モデルが、ハイスペックで高価なAI用半導体の需要を減退させるとの思惑から、エヌビディア<NVDA>などが記録的な下げに見舞われ、半導体セクター全般にも売りが広がった。ナスダック総合株価指数の下げも大きくなり、東京株式市場もリスク回避目的の売りがかさんだ。
 
アドテスバントが午後に11%あまり下落し、3カ月ぶりの安値を付けた。スクリンやディスコのほか、高効率のガス火力発電プラントを開発する三菱重などにも売りが膨らんだ。
フジクラや古河電などの電線株にも売りが優勢だった。半面、三菱UFJが連日で上場来高値を更新するなど、銀行や不動産など割安(バリュー)株に位置づけられる銘柄群には引き続き買いが活発だった。
 
 
トランプ米大統領は27日、外国製半導体チップや医薬品に近く関税を発動する方針を表明したと伝わった。鉄鋼と銅・アルミニウム製品にも関税を賦課すると述べた。全ての輸入品に課す一律関税については、2.5%より「大幅に高く」設定したい考えを示しており、米国での生産を促すのが狙いとみられる。市場関係者は「米国の要求を満たすには時間がかかる。関税政策を巡る先行き不透明感が日本株にはマイナスだ」と話していた。
 
一方、割安株に位置づけられる銘柄には前日に引き続き買いが集まり、全面的なリスクオフの展開は避けられた。みずほFGや三井住友FGなどの銀行株がそろって昨年来高値を付けた。住友不が後場一段高となったほか、東建物も上昇するなど不動産株への買いが目立った。京成や富士急などの鉄道株にも資金が向かったほか、新型ゲーム機への期待が高い任天堂は上場来高値を付けた。安価なディープシークの生成AIが普及した場合、米エヌビディア製の高性能なGPU(画像処理半導体)への需要が減少する可能性が高い。GPUが値下がりすれば買い手に当たる任天堂にとって調達コストが下がるとの期待から買いが入ったもようだ。
 
さて、東京株式市場はにわかに湧き出した米中のAI覇権逆転を織り込むなど指数では日経平均ばかりが下がる異様な展開となっている。トランプAI巨額投資発表で賑わった直後の中国高性能AI登場で、市場はまさに逆AI相場のごとくSB、電線株、半導体株が下げを主導している。つい昨日まで日経平均はザラバで4万円に乗せていたが本日は1000円も安い位置に。まさに波乱相場といえよう。
 
 
 
東証プライムの値下がり銘柄数は511にとどまり、値上がりは全体の6割に当たる1093、横ばいは37だった。
 
東証株価指数(TOPIX)は小幅に反落した。終値は1.17ポイント(0.04%)安の2756.90だった。JPXプライム150指数は3日続落し、4.56ポイント(0.37%)安の1216.82で終えた。東証プライムの売買代金は概算で5兆474億円、売買高は19億7696万株だった。
 
業種別株価指数(33業種)は非鉄金属、ガラス・土石製品、電気機器などが下落。上昇は銀行業、不動産業、陸運業など。
 
個別では、朝方にトランプ大統領が「防衛システムは全て米国製になるだろう」と発言したことも影響し、三菱重工、川崎重工、IHI、日本製鋼所など防衛関連が大幅安となったほか、売買代金首位のディスコが安く、同2位のアドバンテストが値下がり率でトップとなる急落をみせるなどアドバンテスト、ソフトバンクグループ(SBG)、東京エレクトロン、ソシオネクストなど半導体株が引き続き下落。また、フジクラ、古河電気工業、住友電気工業など電線株も弱い。このほか、NTTデータ、富士電機、レゾナックHD、日立などが売られた。
ファーストリテイリングも軟調。レゾナック・ホールディングスも下落したほか、メガチップスの下げも目を引く。
 
一方、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループのメガバンク3銘柄が揃って物色人気。決算を材料に日立建機が買われたほか、証券会社によるポジティブなレポートなどが材料視されて三井不動産、住友不動産が上昇。任天堂も強調展開をみせた。また、オリエンタルランド、メルカリなどエンタメ系もしっかり。京成電鉄、ソニーグループ、安川電機、小田急電鉄、ZOZOなどが買われた。
このほか、武田薬品工業も頑強な値動きだった。LITALICO、ACCESSがストップ高に買われたほか、Appier Groupも急騰。ブレインパッドが買いを集めた。コーエーテクモホールディングスも上昇した。


 
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