《マーケットストラテジーメモ》12月1週
【推移】
27日(月):
週末のNY株式は感謝祭明けの短縮商い。市場参加者が少ない中でハイテクセクターが上昇。S&P500NASDAQは終値ベースで過去最高値を更新した。
小売商戦のブラックフライデーは好調な滑り出し観測でアマゾンなどが好調な展開となり指数を押し上げた。
感謝祭のオンライン消費売上高は28億7000万ドルを超えたとの観測。ブラックフライデーのオンライン売上高は午前の段階で18.4%増の6億4000万ドル。過去最高の50億ドルに達する公算が大きいという見方だ。
エネルギーセクターや素材セクターも堅調。 VIX(恐怖)指数は、一時8.56と過去最低水準を更新した。週間ベースではNYダウ0.9%高、3週ぶりの反発。NASDAQは1.6%高、2週ぶり反発。S&P500は0.9%高、3週ぶりの反発。飛び石連休の週末は後場からプラスに浮上して小幅ながら3日続伸。過去4日間、日足は陰線だったがようやくの陽線となった。「陰線→陽線は潮目」とも見たいところだ。
週間では約154円の上昇、週足では陽線。9週連続で上昇後の下落1週にとどまり上昇。終始25日線より上での推移したことになる。
11月第3週の海外投資家は8週ぶりに売り越し。売越額は3211億円だった。個人は10週ぶりの買い越しで、買越額は2353億円。前週は1315億円の売り越し。先物は海外投資家が2週連続で売り越した。売越額は302億円。前週は959億円の売り越し。現物株と合わせると3514億円の売り越し。
週間ベースでは、日経平均株価は0.7%高。TOPIXは1.0%高、ともに2週ぶり反発。東証マザーズ指数は2.6%高、2週ぶり反発。日経ジャスダック平均は3.2%高、2週ぶり反発。東証2部指数は2.1%高、3週ぶり反発。
11月の最終週は日本、アメリカともに株価が上昇するというアノマリーがある。2000年以降でみると、11月最終週の日経平均は16勝1敗。12月1日に3月期決算企業の中間配当の支払いが行われることが多い。「配当金の再投資」による需給要因で上がりやすいというのがその理由だ。
週明けの日経平均は反落。週末のNY株高を受けたにも関わらず日経平均は寄り天。108円超の上げで始まって午後2時には127円安。
日中値幅は230円で大引けは54円安。「先週金曜日の安値は23000円台だったから底固い」という声も聞かれる。「乱高下した11月9日以降、上昇して始まった日はすべて陰線。高く寄ると売りに押されるという展開」という見方だ。下では5日線(22449円)がサポート。25日線(22855円)を割り込まずにいる分にはさほどの警戒感もなかろう。
日経平均株価は54円安の22495円と4日ぶりの反落。朝方はプラスだったが上海総合株価指数の下落が重荷となり反落。NYNY株式夜間取引の下落も嫌気された。東証一部の売買代金は2兆4323億円。東証一部の値上がり銘柄数は945、値下がり銘柄数は990。任天堂、ソニー、安川電が上昇。信越、アドバンテスト、三井金が下落。
28日(火):
週明けのNY株式市場はマチマチの展開。NYダウは小幅続伸。S&P500とNASDAQは小幅下落となった。ブラックフライデーで年末商戦が好調な滑り出しとなったことを好感。小売り株を中心に買い優勢の展開。
24日の「ブラックフライデー」のネット販売は前年比で17%増の約50億ドル。27日の「サイバーマンデー」の売上高は前年を17%上回る見通し。ネット通販の恩恵期待からアマゾンが一時1200ドル台まで上昇。上場来高値を更新した。加えて小売店販売も伸びるとの期待感からメーシーズやノードストロームなどの百貨店、衣料品のギャップなども上昇。グーグルの親会社アルファベットは4日続伸。フェイスブックも上場来高値を更新した。
一方で北朝鮮情勢への警戒感からNYダウは伸び悩んだ格好。2018年の「iPhone」の販売動向への懸念からアップルが下落。原油価格の下落を嫌気してエネルギーセクターが下落。S&P500を引き下げた。「主要株式指数は年初来、2ケタの上昇。年末にかけてやや勢いを欠いても意外感はない」という声も一部では聞かれる。
VIX(恐怖)指数は9.85%まで低下。VXV(3ヶ月先の変動率)は12.56%。北朝鮮リスクや東レのデータ問題を抱えながらも小幅安だった火曜。火曜日はこのところ前場高、後場安がよく見られる曜日となっている。
もっとも前場に先週安値の22381円をやや下回って25日線に接近すると切り返し。地合いの強さを感じさせてくれた。「日経平均は東レの急落がアク抜けにつながった」という指摘も見られる。
5日線(22494円)がほぼサポートした格好だ。200日線は20042円と先週金曜から2万円台に乗せた。乖離は12.19%。25日線の上昇は1日40円程度に低下したが乖離はプラス0.72%。前日の0.95%から低下した。ここでリセットとすればプラス2%で22943円。第一次限界のプラス4%で23393円と計算できる。11月9日高値の22382円と同水準だ。
4日時点の信用買い残は742億円増の2兆9073億円(5週連続増)。2016年2月の2兆9330億円に迫った。信用売残は226億円増の1兆498億円(4週ぶり増加)。買い玉の回転が効き売り玉はシコリとして残る形。踏み上げ期待はかなり高い。
日経平均株価は9円安の2486円と小幅に続落。半導体関連銘柄への売りが悪材料となった印象。もっとも中国・上海株が堅調だったことから押し目買いも見られた。「業績期待の高い成長株を買うと同時に内需株を売り持ちにしてきた海外ヘッジファンドが持ち高を解消し、主力株の下落につながった」という声も聞こえる。TOPIXも続落。
東証1部の売買代金は2兆6174億円。東証1部の値下がり銘柄数は1212と全体の約6割。値上がりは736銘柄。花王、テルモ、ダイキン、TOTO、関西電、鹿島、大林組が上昇。東エレク、SUMCO、信越化、アドテスト、東レ、日東電、アルプスが下落。東証2部株価指数は3日続落。
29日(水):
NY株式市場は主要3指数が揃って史上最高値を更新した。上院予算委員会が税制改革法案を承認。本会議で30日にも採決が行われる見通しとなったことを好感。またパウエル次期FRB議長候補が上院銀行委員会で証言。12月利上げの可能性や金融政策の継続性が確認されたことも好材料だ。「これまでの金融規制の流れを見直す時期が来ている」というコメントを背景に銀行セクターが上昇。指数を押し上げた。
11月の米CB消費者信頼感指数は129.5に上昇。市場予想の124.0を上回り2000年11月以来17年ぶりの高水準を記録。北朝鮮によるミサイル発射が伝わり一時押し戻される場面もあったが結局は持ち直し。ほぼ高値圏での引けとなった。国債利回りは小幅に上昇。ドル円は北朝鮮のミサイル発射にやや反応したものの結局は小動き。
ほとんど話題にもならないがケース・シラー住宅価格指数(米20都市圏住宅価格指数)。前月比プラス0.5%(市場予想は同プラス0.4%)で着地。
「日経朝刊が1面トップは『半導体、IoTで急成長期』の見出し。ここには敬意を表するべき」という声も聞こえる。機関投資家の運用方針に影響するOECD(経済協力開発機構)の世界経済見通しも好材料。日本の実質GDPの伸び率は2018年が前年比1.2%と上方修正。19年は1.0%。世界経済全体の18年の予想成長率は9月と同じ3.7%。2018年度の税収見積もりは58兆円超。1991年度の59.8兆円以来27年ぶりの高水準になるいという。
リーマンショック時には40兆円レベルまで落ち込んでいたから20兆円あまり増加することになる。背景は所得税収と消費税収の増加。株式配当の増加も寄与するという。国家経済もある意味では兜町頼みという側面があるということだろうか。放漫な政府財政は「次世代へのツケを残す」という懸念もある。
しかし少なくともバブル期の好景気に並ぶ税収というのは悪くはないはずだ。因みに日経ジャスダック平均も27年ぶりの高値圏。「27年」を超えればバブルを超えられることになる。日経平均株価は静かに上昇。NY株式の大幅高と北朝鮮のミサイル発射で荒れる可能性もあったが影響は限定的。日経平均は上下幅100円程度の値幅で動いた。
半導体関連セクターの軟調があったものの25日線をサポートとして22500円台での着地。11月陽線基準を上まわり、11月SQ値も上回った。「罫線が崩れず日柄調整が進んでいる」という声も聞こえる。一方で「いったんは調整期を経なければ大きな相場は演じられない」という見方もある。少なくとも10月31日の終値は22011円だから11月も月間上昇となろう。25日線(22362円)からの乖離はプラス1.1%(前日プラス0.7%)。空売り比率は38.2%にとどまった。
11月24日現在の裁定買い残は前週比2300億円増(3週ぶり増加)の2兆8775億円。裁定売り残は前週比324億円増(2週ぶり増加)の3617億円。裁定買いの余裕は目先あと5000億円程度だろう。
日経平均株価は110円高の22597円と3日ぶりの反発。一時150円ほど上昇した場面もあった。背景はNY株高とドル円の落ち着き。北朝鮮の弾道ミサイル発射の影響は限定的。トランプ大統領のツイッターの優先順位も「3指数が史上最高値更新」だった。
東証1部の売買代金は2兆8683億円。東証1部の値上がり銘柄数は1501と全体の7割。値下がりは477銘柄。新日鉄住金、JFE、MS&A、東京海上、T&D、日東電、富士通が上昇。東エレク、信越化、スクリンの半導体関連3銘柄で日経平均を60円ほど押し下げる要因となった。任天堂、村田製、キーエンスが下落。
30日(木):
NY株式市場はマチマチの展開。NYダウは3ケタの上昇で4日続伸。連日の過去最高値更新。背景は税制改革への期待感。「ハイテクセクター売りの金融セクター買いの動き」との解釈だ。一方NASDAQは大幅安。過去3ヶ月で最大の下落幅となった。理由はハイテク関連セクターの軟調。「ゴールドマンが割高感を指摘したネガティブレポートが効いた」という見方もある。
S&P情報技術指数は2.6%下落。過去5カ月余りで最も大幅な下落率となった。アマゾン、アップル、アルファベット、フェイスブック、ネットフリックスが大幅安となった影響だ。第3四半期のGDP改定値は前期比年率3.3%増で着地。市場予想の3.2%増と上回り3年ぶりの大幅な伸びとなった。
今では話題にもならない地区連銀報告(ベージュ・ブック)。「米経済が10月から11月半ばにかけ、控えめから緩やかなペースで拡大。物価圧力も高まった」との認識で着地。イエレンFRB議長は上下両院の経済合同委員会で証言。「米経済は力強さを増しており、利上げ継続はなお正当化される」と強気のコメント。
国債利回りは上昇。ドルは小動き。「GDP改定値は、上方修正され相場の下支えとなった。しかし税制改革法案を巡る不透明感が重石」との声が聞こえる。気になるのはダウ輸送株指数の動き。前日比323ポイント高の10077ポイント。強烈は上昇幅となり10000ポイント台に乗せてきた。「消費者心理が良好。賃金の伸びがやや加速する中、今年の休暇シーズンはかなり好調見通し」という指摘があった。 NASDAQの大幅安と輸送株指数の大幅高。3市場の売買高は一気に80億株まで増加した。「何らかの変調の兆し」と読むのは杞憂だろうか。
日経平均株価は127円76銭高の22724円96銭と続伸。前場は前日終値を挟んだ動き。後場は明確に上方トレンドの方向性が出てきた印象だ。「日銀のETF買いへの期待で戻した。半導体・ハイテク株を売却した資金で出遅れ銘柄を探す動きもあり、物色意欲は根強い」という声も聞こえる。
「月の初日は17ヶ月連続高」というアノマリーに期待しての買いということもできようか。これで日経平均は3ヶ月連続の月足陽線となった。ボリンジャーのプラス1σ水準の22712円も上回っての大引けとなった。「今日の値動きがNY株式市場へのブーメランとなって欲しい」という声もある。
東証1部の売買代金は4兆5393億円と増加。新高値は166銘柄。新安値は14銘柄。三菱UFJ、東急、JFE、SUMCO、日清紡、アーク、DLEが上昇。任天堂、キーエンス、安川、市光工、レーザーテックが下落。
1日(金):
12月最後の仕上げに向かっての初日は18ヶ月初日高で着地。11月第4週の海外投資家は2週連続で売り越し。売越額は2819億円。個人は2週ぶりの売り越しで売越額は433億円。信託銀行は2週ぶりに買い越し。買越額は917億円だった。
先物は海外投資家が3週連続で売り越し。売越額は1021億円。現物株と合わせると3841億円の売り越し。証券会社の自己売買部門は3週連続で買い越し。買越額は1124億円。前週の2849億円から大きく減少。
個人は2週連続で売り越し。売越額は315億円。東京市場の堅調さの背景は中間配当という見方もある。9月中間期末の配当総額は4.3兆円で過去最高。昨年比10%超の増配だ。機関投資家は9月権利落ち時点で配当分の再投資を先物ヘッジしている。
しかし個人投資家はそんなことはしない。配当を消費に回す向きもあれば、配当をもらってから再度株に回すこともある。個人株主比率は約2割。となると約8000億円のお金がこの数週間に支払われることになる。その時限は概ね12月11日。結構見過ごせない金額だ。
日経平均株価は94円高の22819円と3日続伸。11月9日以来約3週ぶりの高値での終値となった。NY株式の上昇を受けてプラスでスタート。269円高の22944円まで上昇した。
ただ米上院が共和 党の税制改革法案の採決を見送り、12月1日に協議を継続すると伝わったことから前場は一時マイナスに沈む場面もあった。その後は日銀によるETF買いの期待や月初高のアノマリーに期待高まりプラス転換。
月の第1営業日に上昇したのは2016年7月以来18カ月連続となった。「日経平均の日足は上下にヒゲを伴う小陰線。上値・下値をともに切り上げ、11月9日高値(2万3382円15銭)後に形成した三角もち合いを上放れた」という声も聞こえる。
東証1部の売買代金は3兆179億円。東証1部の値上がり銘柄数は1002と全体の約5割。値下がりは940銘柄。コマツ、SMC、コンコルディ、東京海上、信越化、花王が上昇。NTT、NTTドコモ、楽天、日電産、ソニーが下落。
(2) 欧米動向
ゴールドマンがアレコレ言っている。
米株ストラテジーチームが発表したレポートの題名は「根拠ある熱狂」。
2018年末のS&P500の予測は2850ポイント。
NYダウは25900ドルに換算されている。
メッセージは「今回はバブルではない」。
ITバブル時にグリーンスパンFRB議長は「根拠なき熱狂」と言ったのが歴史。
当時と異なるのは堅調な経済成長と低めのインフレ率。
そして最大の効果は減税という。
税制改革法案が成立すれば主要企業の来年の利益は5%程度押し上げられるという試算もある。
興味深いのは牽引するセクターは今年の主役のIT関連ではなく工業と金融。
「根拠ある活況」とか「合理的活況」とか勇ましい感じだ。
因みにバンカメメリルの2018年末のS%P500の予想は2800ポイントだ。
また、ゴールドマンが予測した今後12ヶ月のTOPIXの目標水準は2000ポイント。
日経平均は25200円だという。
EPS成長率が9%、PERは上昇しないというのが前提条件だ。
外国人買いの継続、GPIFのETF買い継続というのも同様。
IT設備投資関連、サービス消費、防衛関連、中小型株がけん引セクターとの指摘。
兜町には根拠があってもなくても「活況」とか「熱狂」という言葉が甦って欲しいものである。
「ブラックフライデーから年末までS&P500は平均2%上昇」。
「下落にかける戦略はうまくいかない」。
「次は誰も降りられないチキンレースとは言えサンタラリー」。
NYのようなマインドが羨望の的でもある。
(3)アジア・新興国動向
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち7指数が上昇。
上位1位米国週間騰落率2.86%、2位ベトナム2.65%、3位日本1.19%、
4位タイ0.22%、5位シンガポール0.21%、6位豪州0.20%。
下位25位ポーランド▲3.60%、24位ロシア▲2.81%、23位韓国▲2.71%、
22位香港▲2.65%、21位フィリピン▲2.64%。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
4日(月):マネタリーベース、消費動向調査、米製造業受注
5日(火):米貿易収支、ISM非製造業景況感
6日(水):米ADP雇用レポート
7日(木):都心オフィス空室率、景気動向指数、米消費者信用残高
8日(金):7〜9月期GDP、景気ウォッチャー調査、米雇用統計、ミシガン大学消費者信頼感、米連邦債務上限運用停止期限、暫定予算期限
【12月スケジュール】
4日(月)水星逆行開始、満月
6日(水〉ECB理事会
8日(金)メジャーSQ、米雇用統計
10日(日)ノーベル賞授賞式
11日(月)法人企業統計
12日(火)FOMC
14日(木)EU首脳会議、ECB理事会
15日(金)日銀短観、米国メジャーSQ、スターウォーズエピソード8公開
18日(月)変化日
20日(水)日銀金融政策決定会合
22日(金)変化日、上げの特異日
25日(月)NY、LDN市場休場
26日(火)LDN市場休場、株高の日
29日(金)大納会
先週月曜の日経朝刊トップは「成長か衰退か」。
サブタイトルは「生産性考」で小見出しは「危機を好機に」となっている。
未来はロボット言う論調だが、興味深かったのは「時空を超え革命を」の部分。
「300年前、今の日本と同様、生産性の低さに苦しむ国があった。
英国だ。
産業革命(1760年〜1830年ころ)が始まる前は賃金の高さの割には生産性が低いため、国際競争力が高まらず、綿などの工業製品は人件費の安い中国やインドと勝負にならなかった。
その高い人件費こそが省力化のニーズを高めた。
ワットの蒸気機関の改良などを後押しした。
これが英国で産業革命が実現した要因となった。
産業革命前の1750年には世界の工業製品に占める中国とインドのシェアは57%。
1880年には15%まで急減。
同期間に英国は2%から23%まで増やした。
300年前の英国と時空を超えて重なる日本の姿」。
とても興味深い。
同じ歴史では日経朝刊の「読むヒント」も結構面白かった。
テーマは「歴史の常識覆す最新研究」。
登場したのは「薩長史観の正体」。
薩長史観を離れてみると「吉田松陰はテロ扇動家」。
「西郷隆盛は強盗団を雇って幕府を挑発」。
「錦の御旗には根拠レス」
「西郷は暴力革命を推進した武闘派」。
意外な見方も登場した。
あるいは「賊軍の昭和史」。
薩長の「旧軍閥」閥に牛耳られた昭和の軍部が始めた太平洋戦争。
「賊軍」藩出身の鈴木貫太郎や米内光政、井上成美らが集結させ日本を破滅の淵から救ったという見方だ。
東条英機は南部藩出身で「長州閥潰し」という説もある。
歴史が継続するならば、現在でもこの視点は結構興味深い。
日経平均リンク債のノックアウト早期償還が結構話題になっている。
22000円〜23000円のノックアウトということ。
アレンジャーもここまで株価が上がるとは思っていなかった。
だからこそのノックアウト価格だったのだろう。
おそらくノックインは15000円〜17000円レベルと推測する。
プロは、ノックインは読み切ってもノックアウトは読み間違えるということになる。
リンク債に行ったマネーはまた性懲りもなくリンク債に行くのだろう。
個人ならば投資先のバリュエーションはあるが、機関投資家にリスク商品の選択肢はあまりない。
そして前例があればまた投資しやすいという傾向がある。
アップサイドは限定的でダウンリスクは最大という商品も「債券」の形にすれば抵抗が減るということだ。
とすると・・・。
次の設定はどんな水準だろうか。
22000円だったノックイン価格は当然上昇する。
相場が、というよりは日経平均のレンジは2・5・8。
22000円の上は25000円、その上は28000円。
アレンジャーは28000円と置きたいだろうが、投資家サイドは早期償還の可能性の高い25000円希望。
そしてノックインは19000円〜20000円。
投資家サイドの18000円希望とアレンジャーサイドの20000円との間で19000円かも知れない。
こういう勝手な想像は結構大切なこと。
相場には後で気がつくサインと言うのは結構あるものだ。
例えば日経新聞の値上げなどは好例だろう。
経済紙が28年ぶりに値上げするというのは活況の予測要因であったことは間違いない。
誰もの目の前を平等に材料は通過している。
それを受け止めるのは感性だけいうと語弊があるだろうか。
銘柄をタテに追う動きとヨコに追う動き。
企業を追うか、株価を追うかと言い換えても良いだろう。
一般的にはヨコに追う動きが多そうだが、実利はタテに追う動きに分がアル様な気がする。
そもそも・・・。
企業は日々活動し進化しているが、そのスピードは1日で変化するほどのものでもない。
どこかで解釈を間違ったり、早とちりするのは市場の常。
だったら、一度人気化した銘柄の株価が止まった時点で注目するという投資法もありだろう。
「一度ストップ高をした銘柄はいずれもう一度ストップ高をする」という格言。
「一度反応した材料はもう一度反応する」。
そう考えると株式市場はそんなに難しい場所ではない。
大した場所でもないのに、ややこしい場所に見せようする市場関係者がいるからややこしくなる。
(兜町カタリスト 櫻井英明)
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