04月4週
【推移】
24日(月):
週末のNY株式市場は仏大統領選の第1回投票を控え、警戒感からの下落。週間では上昇しS&P500は3週間ぶりの上昇となった。週間でNYダウは0.5%、S&P総合500は0.8%、NADAQは1.8%上昇。SP500採用銘柄で四半期決算発表を終えたのは95社。そのうち約75%が市場予想を上回っている。
また、トランプ大統領は26日に税制改革に関して大きな発表を行うと発表。多少の期待感がある。4月製造業PMI速報値は前月から低下し市場予想を下回った。中古住宅販売は予想に反して前月比4.4%の増加。公益・資本財・サービスセクターが堅調。電気通信サービス・一般消費財セクターが下落。
フランス大統領選挙の大波乱は、マリーヌ・ルペン氏とジャン リュック・メランション氏の組み合わせの決選とされた。この組み合わせでは「ペストとコレラ」の究極の選択になると言われたが、結果はマクロン氏とルペン氏の決選投票の方向。
これを受けて週明けの為替市場は安全資産としての円買いから解放されドル円は110円台で推移。多少は潮目の変化となってきた。
日経平均は6週ぶりに上昇。「買い戻しにすぎない」という声もあるがリバウンド期待も漂ってきている。4月に入っての下落セクターは、石油・石炭、海運、水産・農林、非鉄金属、鉱業。年初からのワースト5は、輸送用機器、鉱業、不動産、銀行、倉庫・運輸となっている。
日経平均は週間では約285円(1.6%)の上昇。TOPIXは2.0%高。東証マザーズ指数は3.9%高で2週ぶり反発。日経ジャスダック平均は3.0%高で3週ぶり反発(5日続伸)。東証2部指数は4.7%高で2週ぶりの反発。空売り比率は38.1%(前日40.0%)に低下し今月2回目の30%台。
日経VIも16.79(前日20.22)まで低下。3月21日以来の低水準となった。日経平均のPERは15.77倍。EPSは前日の1189円→1196円と増加し1200円台への復活感が漂ってきた。ココは決算発表の通過ともに増加してくるだろうし今期予想EPSは1300円台も視野に入ってこよう。北朝鮮の創軍記念日で地政学リスクは高まっているが、ボラの低下はミサイル発射や核実験等のリスクを否定した格好だ。
日経平均株価は255円高の18875円と続伸。SQ値18613円は上回ったが月足陽線基準18983円は上回れなかった。TOPIXは3日続伸。4月5日以来の1500ポイント台を回復した。
東証1部の売買代金は2兆1193億円。25日が朝鮮人民軍創建85周年。北朝鮮が核実験などに踏み切るとの懸念から模様眺めムードが拡大したが終始高値圏での推移。もっとも午後の値幅は62円。前場の66円から縮小した。「フランス大統領選の第1回投票結果を受け「日経平均は1万9000円を試すとみられていたが届かず。
戻りの鈍さも指摘される」と言う声も聞こえる。任天堂。ソフトバンク、ソニー、三菱UF J、トヨタ、石川製作が上昇。SUMCO、三電機、コマツ、JFE、花王が下落。
25日(火):
週明けのNY株式は大幅反発。フランス大統領選の第1回投票でマクロン候補がトップとなりEU離脱の可能性が低下したことを好感。NYダウは216ドル高の2万763ドルまで上昇。3月1日の303ドル高に次ぐ上昇幅となった。VIX(恐怖)指数は10.84まで低下。「世界的な国債利回り上昇を背景に金融株が買われNYダウ平均を押し上げた」との解釈。アマゾンなど大型IT関連株の決算期待からNASDAQ総合株価指数は反発。過去最高値を更新した。
追加の支援材料となったのはトランプ大統領の減税策の可能性。「26日に法人税率を35%から15%に引き下げる方針を発表予定」とWSJ電子版の報道。トランプ大統領は経済チームに「やり遂げろ」と指示を出しているという指摘もあった。
28日が政府債務上限、29日が就任100日目となっており実勢が欲しいとの観測もある。
大引けの日経平均株価は203円高の19079円と3日続伸。NY株高や円高トレンドの一服を好感し投資家心理が改善。3月30日以来およそ1カ月ぶりに1万9000円台を回復した。東証1部の売買代金は2兆3018億円。
東証1部の値上がり銘柄数は1633で全体の81%。第一生命、野村、三菱UFJ、ヤマトHD、東芝、コマツが上昇。NTTドコモ、NTT、KDDI、OLC、キーエンスが下落。東証2部株価指数は反発。日経平均は終値で19000円台を回復。
3日連続3ケタの上昇で上昇幅は600円超。25日線(18790円)からプラス1.5%のかい離。
75日線(19098円)も一時上回った。26週線(18908円)を上回り13週線(19098円)も一時上回り紙芝居的には結構良い図柄。買い戻しが中心であろうが、一気に形勢は逆転といった印象。騰落レシオが68.06まで低下したのが4月17日。日経平均が年初来安値(ザラバ18224円)を付けた所からは900円近い上昇となった。
26日(水):
NY株式市場は続伸の展開。NASDAQ総合指数は6000ポイントの大台に乗せ過去最高値を更新した。背景は好調な企業業績。ダウの上昇に寄与したのは建機のキャタピラーと外食のマクドナルド。「特にキャタピラーの決算がけん引役。米企業の収益性が伸び、前年比での大幅な増益をもたらすというテーマのけん引役だ」という声が聞かれる。
NASADAQの上昇に寄与したのはアップルとマイクロソフト。S&P500採用銘柄の第1四半期の利益は11.4%増で2011年以来、最も大幅な伸びとなる見通しだ。
トランプ米大統領の26日の税制改革の提案。「法人税率を現状の39.6%から15%に引き下げること」との報道も好感されている。「企業業績は素晴らしいストーリー。減税は投資に対する強力なテコ入れ」という見方が支配的になってきた。
暫定予算の期限は週末28日。トランプ大統領はメキシコとの国境の壁建設費用を新たな予算に盛り込むことを先送りにする可能性を示唆。予算に対する民主党との対立の要因が取り除かれ政府機関が閉鎖する事態は回避される可能性が出てきた。これは好感されよう。「政府機関が長期間にわたり閉鎖されるとFRBは経済指標に関するデータが入手できなくなる。これにより短期的な利上げの公算は小さくなる」との見方は後退した。債券利回りは上昇。ドル/円は一時、半月ぶりの高値となる111.18円まで上昇。新築一戸建て住宅販売の増加や税制改革の方向がドル高を招いた。
また、ユーロ/ドルは一時、5カ月半ぶりの高水準となる1.0950ドルに急伸。ECBが6月の理事会で金融緩和策の解除に向け文言の変更を検討しているとの観測が影響したとの観測。FT100指数(ロンドン)、CAC40種平均(パリ)は続伸。クセトラDAX指数(フランクフルト)は5日続伸で過去最高値更新。VIX(恐怖)指数は10.76まで低下。VXV(3か月先の変動率)が12.87まで低下。
市場は奇妙な楽観論に包まれ始めた印象。昨日、北朝鮮軍が核実験やミサイル発射を行わなかったこともち地政学リスクの低下に結びついたのだろう。地政学が遠ざけば焦点は足もとの業績に移行するのは当然でもある。受け渡しベースでは5月入り。空売り比率は36.8%(前日38.1%)まで低下。
日経VIも15.57まで低下してきておりリスク許容度は高まってきた。先週の信用買い残は265億円減少し2兆5168億円(減少は3週連続)。売り残は291億円増加し8437億円(5週ぶりの増加)。仮儒も売り方は厳しくなってきた。
日経平均採用銘柄のPERは15.92倍でEPSは1198.45円。PER16倍で19175円となる。決算発表が進んでEPSが13000円台に乗せればPER16倍で20800円。「初の4日続伸の持つ意味は大きい筈だ」との声。日経平均株価は210円高の19289円と高値引け。今年初の4日続伸となり3月24日以来の水準を回復した。
4日続伸は2016年12月6日〜16日の9日続伸以来、4カ月半ぶり。「トランプ米大統領が発表する予定の税制改革案への期待感から海外投資家が幅広い銘柄に買いを入れたとの解釈」が聞こえる。
東証1部の売買代金は2兆5099億円。東証1部の値上がり銘柄数は1655で全体の約8割。コマツ、日立建機、トヨタ、SUBARUが上昇。日電産、NTT、塩野義、小野薬が下落。今年初の4日続伸は高値引けのおまけつき。しかも4日連続で3ケタ(合計約858円)の上昇。4月17日の安値18224円からは1000円以上の上昇幅となった。
「海外要因で高寄り→そこからさらに買われる動きで大引けまでじり高の展開は強い相場」。こういう声が聞こえる。
3月27日以降約1か月下回っていた75日線(19098円)も上回った。
25日線(18800円)からのかい離はプラス2.6%。4%プラスかい離で19552円だから抵抗地帯でもある。
騰落レシオも100.33%。新高値は60→106銘柄と増加した。ボリンジャのプラス1σが19099円、プラス2σが19398円。すこし広がりを見せてきた紙芝居には多少期待したいところ。一目均衡の雲の中にすっぽり入った格好だが雲の上限は19379円。雲の下限は19158円。5月15日には黒くねじれている。
勝手雲は既に一昨日に上抜け青空が広がった格好。
松井証券信用評価損益率速報で売り方は▲10.703%。買い方は▲6.545%と差が拡大。Quick調査の信用評価損率も▲9.17%と6週ぶりに改善した。4月21日時点の裁定買い残は1374億円減少し1兆4236億円。5週連続の減少で1.5兆円を割れて邪魔にならない水準。前週811億円まで減少した売り残は730億円増加し1541億円。後講釈的には売り残のボトムが株価の底打ちだったと言える。
日経VIも15.04まで低下した。日経平均採用銘柄のPERは16.11倍でEPSは1197円。
27日(木):
NY株式市場は3日ぶりの小幅反落。あれだけ期待した税制改革案が発表された。しかしお得意の「知ったらお終い」の出尽くし感と通過感という印象。「実現性に問題アリ」という発想はオバマケア改正法案からの連想だろう。税制改革案では「公的企業の法人税税率を現行の35%から15%に引き下げ。小規模な事業や個人事業主を含むパススルー事業への最高税率については、現行の39.6%から15%に引き下げ。海外還流利益の税率については、現行の35%から大幅に引き下げることを検討」。
「米企業は現在約2兆6000億ドルの利益を海外に滞留させている。こうした資金は米国に還流されない限り課税はできない。還流で歳入が一時的に押し上げられ、インフラ投資の原資に回せる。ここは民主党の支持を得られる可能性がある」という声も聞こえる。
期待外れ感から債券は上昇。為替もドル安円高に振れた。連邦政府暫定予算期限は28日。「政府機関閉鎖の回避に向け下院が期間1週間のつなぎ予算を近く検討する可能性がある」。そんな指摘も登場した。一時的に材料視されたのかも知れない。
ただ「イロハのイ」である企業業績は好調継続。「S&P500の前年比増益率は15%に届く可能性がある」という楽観論も聞かれる。
欧州のリスクは低下しており株式市場は続伸。背景は市場予想を上回る企業決算。フランスのCAC40指数は0.19%上昇。9年ぶりの高値をつけた。独DAX指数は6日続伸で史上最高値更新を継続。
日経平均株価は37円安の19251円と5日ぶりの反落。一時19199円まで下落して下落幅を縮小。大引け間際には19281円まで戻しプラス転換しそうなところまで追い上げた。TOPIXは0.74ポイント安の1536.74ポイント。大引け間際に一時プラス転換した場面もあった。「指数は弱含みだが、国内外から資金流入は継続中であり、全体の底上げが続いている」と言う声も聞かれる。
東証1部の売買代金は2兆4554億円。値上がり銘柄1219で全体の60%。値下がり銘柄672銘柄だった。ダイワボウ、アコム、キャノン、ソフトバンク、花王、東洋機械、Vコマース、VOYAGE、ベリサーブが上昇。ヤフー、重工、野村、任天堂、ファナック、日立国際、NTT、タカタ、ルネサスが下落。
28日(金):
NY株式市場は反発。コムキャスト、フォードなどの好決算を背景に上昇。NASDAQ総合指数は連日の過去最高値更新となった。財源が示されていなかったトランプ政権の税制改革案。実現可能性への期待外れ気味の諦念は払しょくされてはいない。
しかし市場の注目は企業決算に戻った格好。S&P500の第1四半期決算は12.4%増益になるとの見通しで日ごとに拡大してきた。米議会は週末の政府機関の閉鎖回避のために5月5日までの政府資金を手当て。予算協議の期限を先延ばしにする方向。
月末を迎え機関投資家の債券買いの動きから国債価格は上昇。新規失業保険申請件数は前週比1.4万件増の25.7万件だった。市場予想の24.5万件は上回ったが4週移動平均は約2カ月ぶりの低水準に改善。2週間以上手当てを受けている失業保険受給者の総数は2000年6月以来の低水準。来週末発表予定の雇用統計での失業率はさらに低下する可能性が指摘されている。ECBのドラギ総裁は「緩和縮小にはまだ障害がある」とコメント。ユーロのイベントリスクは追加したと解釈された。4月月足陽線基準は18983円だから月足陽線。
3日新甫で始まった4月は、波乱はあったものの「終り良し」。大引けの日経平均は55円安の19196円と続落。後場下落幅を拡大した。朝方からの軟調を受けて「海外投資の手じまい売り」との解釈。「実質的に大型連休入りしたような雰囲気。上値を追う動きななかったことも失望売りにつながった」との声も聞こえる。ただ4月は月足陽線で終了した。語呂合わせは「GOGOいいさ」と悪くはない。
東証1部の売買代金は2兆5460億円。休み控えの割には盛り上がった印象。値上がりは697と全体の34%。東芝、任天堂、トクヤマ、ドコモ、コマツ、フタバ、アンリツ、アイビーシーが上昇。ソフトバンクは9日続伸。三菱UFJ、野村、トヨタ、アステラス、アドバンテスト、東光高岳、東邦チタが下落。
(2) 欧米動向
★ナスダック指数
節目 抜いた年月日 終値 日数
1000 1995年7月7日 1005.98 6171日
2000 1998年7月17日 2000.95 758日
3000 1999年11月3日 3018.51 329日
4000 1999年12月29日 4041.46 38日
5000 2000年3月9日 5046.86 49日
6000 2017年4月25日 6025.49 4308日
毀誉褒貶というのは洋の東西を問わないようである。
フランス大統領選で1位になったマクロン候補。
著名ビストロ「ラ・ロトンド」で祝勝会を行ったことを批判されている。
マクロン氏と争うルペン党首。
「彼がすでに勝った気でいるのを全国民が目撃した。
民主主義や投票者を軽んじている」と非難。
与党・社会党カンバデリス第1書記も「終わったことと誤解しているが、終わっていない」。
脇の甘さも洋の東西を問わない。
「4月は海外投資家が2001年以降16年連続で日本株買い越し。
ただし前半は弱い場面の年もあったから4月の第2週半ばまでは注意。
第1週〜第2週にかけて底値形成。
4月の最終週に向かってあげてくる傾向も・・・」という声があったのは4月7日。
第3週までの外国人投資家は3週連続の買い越し。
これで17年連続となった。
先週の買い越し額は2770億円。
昨年12月第1週の5625億円以来の買い越し幅となった。
2〜3月に1兆円以上を売り越しているからまだ買い戻したに過ぎないのだろう。
それにしても恐るべしの「アノマリー」である。
(3)アジア・新興国動向
4月25日の北朝鮮創軍85周年は通過。
核実験やミサイル発射でなく砲撃訓練で終了したところにアメリカの強さがあったのだろう。
核もミサイルも場合によっては即時攻撃を惹起する可能性がありココは自制という印象。
過去最大規模とはいえ、砲撃訓練で地政学リスクを感じるのは韓国。
その韓国の株式市場は4日続伸で2年ぶりの高値に上昇していたのだから察して知るべしだろう。
うわべの警戒感はFXかぶれに任せておけばよいだけのこととも言えようか。
「経済スケジュールにはやけに詳しいがそれが何を意味するのかは知らない」という揶揄。
これは「地政学リスクの事柄にはやけに詳しいが、それが何を意味するのかは知らない」。
こう言い換えることも可能かも知れない。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
1日(月):米ISM製造業景況感
2日(火):マネタリーベース、日銀金融決定会合要旨、米FOMC(〜3日)、ユーロ圏失業率
3日(水):憲法記念日で休場、米ADP雇用レポート、ISM非製造業景況感、ユーロ圏GDP
4日(木):みどりの日で休場、ADB年次総会(横浜)、米貿易収支、製造業受注
5日(金):こどもの日で休場、米雇用統計、消費者信用残高
昨年11月のトランプ選挙は9日。
半年経過した信用期日は11月8日。
11月9日に日経平均は16111円まで下落していたから売り方は約3000円担がれている。
この週(11日)信用売り残は前週比318億円増加し7522億円。
翌週(18日)はさらに1133億円増加し8655億円。
12月16日の週には9898億円まで増加した。
その後下がってはいるのでいくらかは買い戻せたにしても直近は8437億円。
この踏みがあるとすれば連休のハザマもまた楽しからずやになるのかも知れない。
因みに昨年2月12日14952円までの下落の期日は8月11日。
日経平均は14952円→16919円。
上昇幅は約2000円。
昨年6月24日14952円までの下落の期日は12月24日。
日経平均は14952円→19427円。
上昇幅は約4500円。
3匹目の泥鰌になるとすると日経平均は16111円→約3000円の上昇。
空売り比率は期初の4月3日に39.9%。
4月7日に45.3%と過去最高水準。
SQの4月14日に一度39.4%まで低下。
週明けの4月17に日経平均は安値を付けたが41.5%。
先週金曜に40.0%と微妙な水準に低下した。
今週は38.2→36.8→35.8→36.8%と見事に40%割れ。
過去のピークは2016年」6月9日の47.0%。
最近は4月6日の45.3%。
意外と反発タイミングを示してくれる指標である。
因果応報、輪廻転生、永劫回帰。
どうもシックリ来ない。
盛者必衰、諸行無常、生者必滅、会者定離。
邯鄲の夢、 一炊の夢、世間虚仮、栄枯盛衰。
上がった株は、いつかは下がるし、下げた株もいつかは上がる。
そう考えれば大切なのは直観的経験的な「見極め」。
あるいは相場の息使いを感じること。
これだけはAIも叶わないだろう。
(兜町カタリスト 櫻井英明)
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