06月3週
【推移】

6日(月):
週末のNYダウは119ドル安の17865ドルと続落。「原油先物価格の下落と世界経済への懸念再燃で市場心理が悪化」との解釈。23日の英国のEU離脱投票を控え安全資産志向が上昇という見方もある。週間ベースではNYダウが0.3%上昇。NASDAQ、S&P500が0.1%の下落。S&Pは2月の安値から13.3%反発したが勢いの陰りが見えてき始めたという指摘も聞かれる。
市場予想の4分の1以下の着地だった5月の雇用統計。噂されているのは推計ミス。これまでも特殊要因で雇用者数が急増・急減することは数多く発生。「推計を出すための計算式がうまく機能していない」との指摘もある。
今週はFOMC。今回は追加利上げ見送るとの見方。利上げ=景気良好なのか、利上げ見送り=景気後退なのかの分かれ道でもある。
日経平均株価は582円安の16019円と3日続落。東京ドーム、福井コンが上昇。マツダ、コニカミノルタが下落

7日(火):
23日投票のブレグジットの諾否。英国のEU離脱投票は前もってわかっていた。でも直前になってみれば期末試験を迎えたようにアレコレ議論。マメなようでいて、不精なマーケット。嫌なことは何でも出来れば先延ばしにしたいという心理だったのだろうか。誰よりも商いのスピードを競い、材料の解釈を急ぐのとは裏腹。ゆったりと迅速。結果はどちらでもそうは変わらないということを市場は根底では知っているのかも知れない。

「世界同時株安」なんて活字も散見されるが、前日一番下げたのはギリシャの3.89%。次は日経平均株価の3.51%。そして上海が3.21%。下落幅はギリシャと上海の間というのは日本の置かれたフツーの位置とは思えないもの。FTSE1.16%、DAX1.80%、そしてNYダウが0.75%。当のイギリスよりも日本株の下落幅が大きかったという現実。長い間、市場を信じられない習性が培われるとこんな風になってしまうのだろうか。
日経平均株価は160円安の15859円と4日続落。ソニー、オプティムが上昇。トヨタ、Jフロントが下落。

8日(水):
自信喪失が長らく続いてきた東京市場。特に225先物はシカゴやシンガポールの動向に揺れがちな風潮はぬぐえない。ただ所詮、10%程度シェアのシカゴに靡くのは情けないものがある。

日経朝刊では夜間取引の比率が15%程度まで低下してきたとの報。日中に堂々と取引するシェアが大半なのに、どうも夜と海外に気を使う傾向はどこか変。7月19日から夜間は5時30分まで延長。寄り付きは8時45分に前倒しされる。となると、寄りのシンガポールはあとだしジャンケンみたいなものになる可能性がある。
早朝もシカゴではなく夜間が主役になれる時間帯。システムの改善改良にはお金がかかるが、時間の変更はほとんどノーコストみたいなもの。もっと早く行ってくれていれば市場が自信を取り戻せる機会も早くなっていただろう。
他人に荒らされない自分の芝生はきっと心地よいものと思えてならない。東証マザーズ指数先物も同時に上場する。

浮動株調整後の時価総額上位は以下の銘柄群(5月末)。バイオの多さが目立っている。そーせい(4565)シェア16.9%、サイバーダイン(7779)同12.8%、ミクシイ(2121)同7.8%、ナノキャリア(4571)同2.0%。アンジェス(4563)同1.9%、オンコセラピー(1.8%)、モルフォ(3653)同1.6%、GNI(2160)同1.5%、アドウェイズ(2489)同1.4%、サンバイオ(4592)同1.2%。
日経平均株価は60円高の15919円と5日ぶりの反発。野村、ジェイコムが上昇。丸紅、大成建設が下落。

9日(木):
英国動向ばかりを気にする展開だが「2014年のスコットランド独立投票でも、昨年の英総選挙でも、直前の世論調査と違う結果になった」などというレポートが見られ始めた。FOMCは利上げ見送り、しかし年2回利上げの姿勢で結構微妙。FOMCと日銀金融政策決定会合の初夏の共演。NYは踊らず東京は阿波踊りのように「踊るというよりは見る間に」下落。「北海道での震度6弱の地震も投資家心理を冷した」との声。

日経平均、TOPIXともに4月8日の安値を割り込み2月15日以来4ヶ月ぶりの安値水準となった。メジャーSQ以降、6月SQ値(16639円)を終値で上回ることは1回もない。日経平均の25日線からのかい離はマイナス6.8%。PERは12.90倍と13倍台割れ。騰落レシオは81.14まで低下した。
空売り比率はまた44%台まで上昇。日経VIも35まで上昇。一方で6月10日時点の裁定買い残は前週比4799億円減少し1兆3633億円 と記録的低水準。メジャーSQを通過した影響もあろうが、日本株やる気なしの証拠ともなった。
日経平均株価は485円安の15434円と反落。日製鋼、サンドラッグ、PCデポが逆行高。三井不、キャノンが下落。

10日(金):
FOMCと日銀金融政策決定会合の初夏の競演だった。NYは踊らず、東京は踊った格好で前日の日経平均株価、TOPIXともに4月8日の安値を割り込んだ。6月10日現在の裁定買い残は1兆3633億円と記録的低水準となった。
日経朝刊では「英国のEU離脱問題に備え日米欧が緊急のドル資金供給を検討」との見出し。これが奏功した感もあるが日経平均株価は165円高の15599円と反発。西松屋、旭化成が上昇。三井不動、ニチユが下落。

(2) 欧米動向
FOMC、英国のEU離脱、米大統領選挙など波乱要因には事欠かない。
弱気筋の代表のジョージ・ソロス氏が長い休止期間を経てトレーディングを再開と報じられた。
ソロス氏は最近世界経済の先行きと、市場が近く大きく変動することへの懸念から
大規模な弱気のポジションを取るよう指示したという。
「さまざまな経済・政治問題が世界を苦しめている中で、
今が売りでひともうけの好機とみている」と。
得てしてこういう報道とは逆に相場が動くことが多いもの。
投資心理は揺れ動いているだけと見た方が良いかも知れない。

(3)アジア・新興国動向

中国A株はMSCIの新興国指数への採用が見送られた。システムの不安定などが理由だが、その割には、中国市場はしっかりの印象。
いずれ影響が出てくるのだろうか。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・。

20日(月):貿易統計
21日(火):イエレンFRB議長米上下両院で証言、独ZEW景況感
22日(水):米中古住宅販売       
23日(木):米新築住宅販売、CB景気先行指数、英国国民投票
24日(金):企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、独IFO景況感

19日 選挙年齢18歳に引き下げ
20日 満月
21日 ポイントの日、上げの特異日
23日 EU首脳会議(〜24日)、改正風俗営業法施工、ポイントの日
27日 テニス・ウィンブルドン(〜10日)
28日 大幅高の特異日
29日 石田浩二日銀審議委員の任期満了、ポイントの日、上げの特異日

先々週は東京のメジャーSQ。
先週はNYのメジャーSQ。
やっと通過した。
因みに・・・。
97年1月以降のSQで1000円以上のかい離が出たのは過去に57回。
上が27回、下が30回となっている。
しかし下の30回のうち3回が2016年。
1月マイナス1523円、2月マイナス2263円、4月マイナス1079円。
一方で3月プラス1430円、5月プラス1338円。
つまり毎月1000円以上のかい離だったのが今年。
それがようやく6月に止まった意味は何だったのだろう。
SQ以降700円近い下落となったが、意外と小さくないサインであるような気がする。

ゴールドマンがまとめた今年下期の需給見通し。
日本株の潜在買いニーズは最大23兆円。
内訳は自社株買い7兆円、年金9兆円、日銀7兆円。
自社株と公的のオンパレード。
個人と投信の動向如何ということになろうか。

一方アメリカではS&Pのブル相場期間が2650日を越えたとの声。
高値から10%下落のテクニカルベア相場には見舞われた。
しかし20%下落のオフィシャルベア相場はまだ来ていない。
どころか過去最高値の2130ポイント(昨年5月21日)は遠くない。
歴代トップは1987年〜2000年の4494日だったという。
まだ熟して落ちる時間軸ではないと読みたい。
興味深いのは「大統領選挙3ヶ月前のインジケーター」。
8〜10月のS&P500が上昇→現職・与党の勝率82%。
同下落→野党の候補者勝率86%。
1944年以降の記録ではあるが、さて今年はというところ。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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