03月4週
【推移】
22日(火):
世界株高の傾向の中で日本だけが取り残された格好。円高のせいとしてしまえばそれまでだが、「どうしてウチの株だけが」という声も聞かれる。
NYダウは先週毎日上げて6日続伸。週間ベースでもNYダウは1.8%、S&Pは1.3%、NASDAQは1.0%のプラス。 「全人代終了後はPKOがなくなる」と言われた上海株も6日続伸。
一方の東京、週間ベースでは、日経平均株価は1.3%安で2週続落。TOPIXは1.0%安でこれも2週続落。かろうじて東証マザーズ指数は0.5%高で5週続伸(41.7%上昇)。日経ジャスダック平均は0.2%高で5週続伸(10.5%上昇)。日経平均は「ダメ押し」という声も聞こえないではないが・・・。
考えておきたいのは、日本は世界と違うというころ。原油がバレル40ドルになれば株価は下落。他の国と同じように原油安株安で一緒に踊る愚かしさは何だったのだろう。アメリカの金利上昇観測が緩めば円高。そしてどういう訳は円高を嫌う。いずれ円安が激しくなった時にエコノミストはどう言い訳するのだろう。消費増税株高を唱えたエコにミストも今は何もなかったかのように「増税反対」。市場は何が正しく何が間違っているかの判断ではなく、大きな声に反応しがちだから間違えやすい。
東証REIT指数は1925ポイントと上昇し高値引け。今年の高値をつけた。公示地価の上昇期待も当然あっただろう。結果は8年ぶりの上昇だから「地価下落が止まった」という活字も見られる。しかし直接の要因は13時過ぎに報じられた「国土交通省は不動産投資の市場規模を30兆円程度に倍増させる。上場REITへの税優遇措置などを検討」とのニュース。REITを通じて内需拡大という図式は十分に考えられようか。東証REIT指数は一足早く今年の高値を更新しており株価の露払いと考えたい。
日経平均株価は323円高の17048円と反発。日立。GMOクラウドが上昇。クラリオン、国際帝石が下落。
23日(水):
NYダウは41ドル安の17582ドルと8日ぶりの反落。さすがに永遠の上昇はあり得ないので当然の一服となった。ただ、NASDAQは小幅高で5日続伸とマチマチの動き。ブリュッセルで起きた同時爆破攻撃直後には下落した。しかし一方的に売り込む動きは航空・旅行関連銘柄を除いて限定的。気になるのはシティグループへのドイツの税当局による調査。金融当局と金融機関のバトルは海を越えて始まったという印象。気になるのは25日移動平均からのかい離がまたプラス3.1%と拡大したこと。先週の続落はこのかい離が縮小する時間を過ごしたとの解釈も聞かれる。
短期的には5日線(16960円)を上回り中期的には13週線(16923円)を上回ってきており紙芝居チックには悪くない。75日線(17492円)まではまだ少し時間が必要かも知れないが目指していることは間違いなかろう。
消費増税に対する反対の風圧が高まってきた。先週の経済分析会合ではコロンビア大教授のスティグリッツ教授が反対。そして著名経済学者のクルーグマン教授も「消費増税今ではない」と反対。むしろ「延期なら今でしょ」の雰囲気。合わせて解散総選挙の路線も見えてきた。不可解なのは18日に外国特派員協会に登場したルービニ教授。「消費増税は延期される可能性がある。延期するなら早く表明すべきだ」とのコメント。破滅博士が何をお望みなのかが定かでない。
3月の日経平均は8勝8敗。下落合計は928円。上昇合計は1903円。下落は小幅で上昇は大幅という傾向になってきた。3月2日661円高、22日323円高。上げの方が目立つ月になってきた。そして日経VIは今月13日上昇3日下落。今年の低水準になってきた。決して悪い傾向ではない。
日経平均株価は47円安の17000円と反落。東証1部の売買代金は1兆7399億円と今年最低。前週同様の水曜の商い薄となった。鹿島、きちりが上昇。クボタ、千代建が下落。
24日(木):
東京は一言でいえば「上値の重い展開」。なんで重いのかという解釈は千差万別。「買ってもダメなら売ってみな」の心理からの下落。3月も20日を過ぎ機関投資家やファンドの決算も固まり動きづらいことは間違いない。先週水曜も1兆9000億円台で2兆円を割れていたから水曜の売買エネルギー低下のアノマリーが今年は出来るのかも知れない。消費税は増税延期方向の声も大きくなってきており、売り叩くにも相当の勇気がいる局面だろう。
チョッと興味不快はKDDIが月面探査に挑戦すること。今年末から来年末の間に予定されているグーグル委主催の月面ロボット探査レースへ参加するという。そのために産学連携の「HAKUTO」とパートナー契約を締結。月面探査の無線操作やデータ送信を支えるという。優勝すれば賞金総額3000万ドル(33億円)以上の価値はありそうである。ソフトバンクがAIで携帯の販売予測をするという話よりは期待感が高い。
日経平均の25日線は16576円で2.56%のプラスかい離。75日線は17451円で2.54%のマイナスかい離。200日線は18733円で9.16%のマイナスかい離。一目均衡の雲の上限は17439円、下限は16526円。勝手雲は白く、3月30日の上限が17011円。3月18日(金)の安値は16613円だったが勝手雲の上限16632円がサポートしていた。騰落レシオは125.42%。サイコロは3勝8敗で33.3%。
松井証券信用評価損益率速報で売り方はマイナス8.985%。買い方はマイナス9.085%と再逆転。日経平均採用銘柄のPERは14.48倍でEPSは1174円。
日経平均株価は108円安の16892円と続落。イーレックス、ヒトコムが上昇。物産、カーボンが下落。
25日(金):
資源価格の下落は日本の大手総合商社を直撃している。
日経での「三菱商事初の連結赤字、今期最終資源安で」の見出し。三井物産は700億円の赤字を木曜に発表。商事は1000億円台になりそうだという。大手商社5社の今期の減損は1兆円近く。前期も7000億円あったから恒常的に資源で損する総合商社の構図。しかし、資源がなければ困る日本にとってはなくてはならない必要悪みたいなもの。資源が儲からないからとはいえ、自動車販売や病院経営だったら別に大手商社が手掛けなくてもよいような気がする。
3月の相場リズムは「続伸・続落」。4日続伸、3日続落、3日続伸、4日続落。反発反落反発ではないのが特徴だろうか。となると、4日続落のあとは続伸と言うリズムなのだが・・・。その3月終盤戦のアノマリー。
3月末までの8日間の勝敗は過去15年で11勝4敗。平均騰落率は1.72%。1位は12月の13勝2敗、騰落率2.83%。ついで3月、6月、11月となる。買っていたのは過去10年のうち8年が外国人。国内機関投資家のお化粧ではなく、海外投資家のドレッシングだという。しかし今年の3月第2週の外国人は現物1兆1932億円と過去最大の売り越しだった。SQ関連の売りは7000億円程度の観測だったから宙に浮くのは5000億円。「期末を意識した海外アカウント→国内アカウントへのシフト」との指摘。だからほとんど株価インパクトはなかったということなのだろう。
因みにアベノミクススタート以降外国人の累積日本株買い越し額のピークは2015年5月。21兆6000億円だった。それが3月11日時点で8兆7000億円。もう売る玉もないような気がする。若年層に商品券を撒くという話が出始めた。「平成28年度補正予算案の目玉として、若年層の低所得者対策を盛り込む方針を固めた」という。「生活必需品などの購入に充てられる商品券の配布を検討。1月に成立した27年度補正予算は高齢者への臨時給付金が柱だった。今度は若年層の消費の落ち込みが目立つため、ピンポイントでテコ入れを図るという解釈。1月の家計調査(2人以上世帯)で34歳以下の若年層の消費支出が前年同月比11.7%減と大幅なマイナス。全世帯平均の3.1%減と比べても落ち込みが目立った。
政府は低迷する個人消費の底上げを図るためには、若年層の消費刺激策が欠かせないと判断。貯蓄に回る可能性が指摘される給付金ではなく、商品券の配布を検討している。低所得者の対象や事業規模などの細部は4月から詰める。「なぜ高齢者ばかり優遇するのか」などと異論が出ていた。参院選を控え、若年層向けの支援策をアピールする狙いもある」。現役世代はいつも何の恩恵もない。毎年豆撒きを眺めるようなもの。
日経平均株価は110円高の17002円と反発。もっとも東証1部の売買代金は1兆7746億円と低調。村田、イーブックが上昇。クックパッド、芝浦メカが下落。
(2) 欧米動向
驚いたのは石油王ロックフェラーファミリーの石油離れ。
もともと化石燃料から代替燃料への移行を進めてはいた。
しかしロックフェラー・ファミリー・ファンドは化石燃料関連投資を可能な限り早期に中止。
エクソンモービルの株式保有も解消する方針。
石油で巨額の財をなしたロックフェラーの石油離れ。
地球温暖化の原因が石油にあるのかどうかは不明だが、環境を考えた行動ともされる。
が、何とも不可解な決定であり、この背景の意味は知りたいところ。
(3)アジア・新興国動向
大和のテクニカルレポートの指摘。
「中国株の大天井(2007年)から9年目。
国際的な協調金融緩和が進展してきた。
1989年の日本株の大天井から9年が経過した2000年。
国際協調緩和による過剰流動性がIT関連株に集中したのが98年〜2000年の相場。
同様に、新分野で大相場が期待できる状況にあると言えるだろう」。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
28日(月):3月末権利付き最終、米個人所得、中古住宅仮契約
29日(火):有効求人倍率、家計調査、米CB消費者信頼感、ケースシラー住宅指数
30日(水):鉱工業生産、米ADP雇用レポート、
31日(木):シカゴ購買部協会景気指数、核安全サミット(ワシントン)
1日(金):日銀短観、電力小売り自由化、女性活躍推進法施行、ジュニアNISA導入、米雇用統計、ISM製造業景況指数、中国製造業PMI、ユーロ圏失業率
動意づいているフィンテック関連だがそのブロックチェーンの連携。
ブロックチェーンの特長はデータ改ざん不可能、ダウンタイムなし、劇的コストダウン。
そして様々なフィンテックをカバーできることになる。
例えば決済・信用・融資・送金のサービス等が視野に入る。
またブロックチェーンは単に金融のフィンテックだけではない。
これは結構ミソ。
FinTech(金融)、TransTech(流通)、ManuTech(製造)、
MediTech(医療)、GovTech(公共)など。
さまざまな領域での応用の可能性が視野に入っている。
背景は改ざん許されないデータがあらゆる業界の存在していること。
流通はトレーサビリティ、製造は検査・検証データ、医療は治験データ、公共は登記・試験データなど。
管理者権限での書き換え不可能なmijinの領域は広い。
この可能性は大きい。
言葉だけが先行して「わかったようでわからない」のがフィンテック。
ようやく現実の未来が見えた気がする。
プロ野球がお金にまみれているから今後はラグビー人気という声もある。
そうするとプロ野球売りのトップリーグ買いというツーショットバスケットもありだろうか。
【売り】
ヤクルト(2267)、阪急阪神(9042)、マツダ(7261)、DeNA(2432)、ソフトバンク(9984)、日ハム(2282)、西武(9024)、オリ(8591)、楽天(4755)プラスドーム(9681)。
【買い】
NEC(6701)、NTT(9432)、ドコモ(9437)、キャノン(7751)、近鉄(9041)、クボタ(6326)、神戸鋼(5406)、コカウエスト(2579)、サントリー(2587)、東芝(6502)、トヨタ(7203)、豊田織機(6201)、パナ(6752)、ホンダ(7267)、ヤマ発(7272)、リコー(7752)。
(兜町カタリスト 櫻井英明)
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