12月5週
【推移】
28日(月):
週末25日は海外のクリスマス休暇での参加者減少の中で年内最終受け渡し。年内換金売りも最終だったが東証1部の売買代金は1兆6049億円に低下し今年最低となった。そして年初来安値更新銘柄数は155銘柄(新高値は6銘柄)。9月29日の314銘柄以来の多さとなった。
日経平均は小幅ながら5日続落デ週間で580円下落。下落のきっかけは日銀の補完的金融政策だったという声も聞かれる。期待感が怨嗟に変わるから市場というのは怖い場所でもある。
週間ベースで日経平均株価は1.1%下落で4週続落(累計5.6%下落)、TOPIXは1.4%下落で5週続落(累計5.4%下落)。しかし騰落レシオは76.58%まで低下。このままいくと12月30日に74.9%、1月12日に74.0%というのがシミュレーション。底打ち反転はそう遠くなかった。因みに今年は9月24日に64.5%、8月25日に67.2%と言うのが下限。(上は11月5日の140.3%だった)。悪いことはそう続かないし、良いことにも適度に飽きるのが相場。そのリズムからはそろそろ反転のシナリオ。世の中は御用納め。業界はまだ年末あと3日。
日経平均の権利配当落ち分は20円40銭。これを埋めて引けてくれればそれでよしだったが日経平均株価は104円高の18873円と6日ぶりの反発。ただし売買エネルギーは低調で東証1部の売買代金は1兆5433億円。郵船・郵政hが上昇。キャノン・Jフロントが下落。
29日(火):
あと2日で2015年相場も終了。残り2日は付け足しのようで余計なようで何ともいえない盲腸みたいな感じ。取引機会の提供という意味では、それなりに意味があるのだろう。株式のリズムということに結構こだわって相場を見ることは大切なこと。続落のあとの反発タイミングが2拍子なのか3拍子なのか。続伸の限界は奈辺にあるのか。時々に同じリズムで動くことは多いが、一気にリズムが崩れて別のリズムに移行することもある。
しかしリズムだけでは当然見逃しもある。「反復、緊張、解決」というのがメロディならば、相場にも反復・緊張・解決がきっとあるに違いない。旋律の上下運動のように株価の上下変動があるのだろう。そして音楽の三要素はリズムとメロディとハーモニー(和音)。ハーモニーは音の調和だから、相場のハーモニーだって、たとえば輸出関連と新興株とか、あるいはETFとバイオ株とか意外なところに共鳴があってもおかしくはない。
先週と打って変って相場は続伸。しかも火曜の後場までプラス転換で3ケタの上昇。先週の下落を取り戻した。これは少し流れが変わったと言っても良いかも知れない。
前場は8銭安、大引けは108.88円高の18982円と続伸・。八が続いて末広がりの暗示だとしたら喜びである。市場の声は「ホップ・ステップ・ジャンプ」。実現すれば2012年以来3年ぶりとなる。
個別では大成建・さくらネットが上昇。鉄、リニカルが下落。東証1部の売買代金は5日連続で2兆円割れ。
日経平均の25日線は19342円で1.65%のマイナスかい離。75日線は18881円で0.91%のプラスかい離。200日線は19506円で2.69%のマイナスかい離。一目均衡の雲の上限は19260円。勝手雲の下限は19102円で上限が19287円。
3月月中平均19197円、あるいは3月期末10206円が欲しいところ。昨年末17450円は上回り大発会終値17408円は上回って年足は陽線。12月1日終値20012円は遠く月足は陰線。12月メジャーSQ値18943円はクリア。騰落レシオは80.05%。サイコロは5勝7敗で41.7%。
松井証券信用評価損益率速報で売り方はマイナス9.919%。買い方はマイナス8.395%。空売り比率は35.6%。日経VIは19.18。
日経平均採用銘柄のPERは15.54倍でEPSは1221円。
30日(水):
日銀のレポートは「2020年東京オリンピックの経済効果」。訪日観光需要については訪日観光客数が「20年に3300万人に達するペースでの増加が続く」と予想。2020年までの投資総額が10兆円に達するとの前提から試算すると15〜18年の国内の実質GDP成長率を「毎年0.2〜0.3ポイント程度押し上げる」という分析。
「オリンピック関連需要により追加的に必要となる労働力」は、15年の17万人。16年が31万人、17年52万人、18年73万人と想定。建設業やサービス業を中心に「さらなる人手不足」が見込まれるという。そのため「労働生産性の向上にしっかりと取り組んでいく必要があろう」と指摘。
「東証・建設株指数は8月18日の1149.23ポイントを新春相場でトライ」との声も聞かれる。気になるのは企業の預金の伸び。今年は10月末までに8兆円増加し、201兆円になった。2013年の7兆円を抜いてリーマンショック後最高の伸び。前期の営業利益は6兆円の増加だが賃金や設備投資が減って預金が増える構図は良いとは思えない。リスクを取れない企業が増えれば経済は当然停滞する。
市場では2017年の消費増税を控え、2016年は前半高との声が多い。しかし特に根拠のあるものでもないだろう。2008年までは半場だったが09年からは一日立ち会いとなり世相感が遠のいた印象。
大納会のゲストは指揮者の佐渡裕氏。因みにこの制度は2002年から導入された。以下は歴代ゲスト。2002年長嶋茂雄氏(プロ野球)2003年毛利衛氏(宇宙飛行士)2004年野村忠宏氏(柔道)2005年為末大氏(陸上)2006年井口資仁氏(プロ野球)2007年茂木健一郎氏(学者)2008年鈴木孝幸氏(水泳)、小椋久美子氏、潮田玲子氏(バトミントン)2009年石川遼氏(プロゴルファー)2010年川口淳一郎氏(工学博士)2011年佐々木則夫氏、安藤梢氏(サッカー)2012年吉田沙保里氏(レスリング)2013年佐藤真海氏(パラリンピック陸上)、安倍晋三氏(首相)2014年シャーロット・ケイト・フォックス氏(女優)。指揮者の佐渡氏がゲストということから読めばやはり来年のテーマは「リズム・メロディ・ハーモニー」ここに「シンフォニー」が加わると考えたいところ。
因みに大納会の最後は手締め。物事が無事に終わったことを祝うしきたりで関係者が掛け声とともにリズムを合わせて打つ手拍子。最近は一本締めが蔓延しているが兜町のしきたりは格調高く正調三本締め。因みに江戸締めは「タンタンタン タンタンタン タンタンタン タン」。拍数の「3回・3回・3回・1回」となる。3回の拍が3回で「九」になり、もう1回手を打つと「九」に点が打たれて「丸」になる。「丸く納まる」の意味になるからという説もあるという。
日経平均株価は51円高の19033円と3日続伸。一応「掉尾の一振」となった。クラリオン、山パンが上昇。武田薬、住友鉱が下落。
週間ベースでは、日経平均株価は1.4%高、5週ぶりの反発、東証株価指数(TOPIX)2.1%高、6週ぶりの反発。東証マザーズ指数は6.7%高、3週ぶりの大幅反発、日経ジャスダック平均は3.2%高、4週ぶり反発。東証2部指数は3.0%高、4週ぶりの反発で終了。
年間ベースでは、日経平均株価は9.1%高、東証株価指数(TOPIX)9.9%高。東証マザーズ指数は2.5%安、日経ジャスダック平均は12.0%高、東証2部指数は7.7%高。
(2) 欧米動向
専門紙では「日本株売り目立った外国人」のコメント。
15年の売買動向を見ると全般的には外国人投資家や個人投資家の売り。
一方で公的年金などが買い向かう構図。
15年1月第1週から12月第3週までの投資主体別売買動向を見ると・・・。
外国人は約2兆8600億円売り越し。
個人は4兆6200億円売り越し。
一方、公的年金の動向を示すとされる信託銀行は1兆4750億円の買い越し。
月ごとの動向を見ると市場に影響力の強い外国人は年初を除き5月頃まで積極的な買い姿勢を継続。
2・4・5月の買い越し額はそれぞれ1兆円を超した。
年前半、日経平均が2万1000円に迫る原動力となったのは紛れもなく外国人の買いだった。
ところが外国人は6月以降、利益確定売りに転換。
さらに8月中旬以降は中国の景気減速懸念や米国の利上げに対する不透明感から売りを加速。
9月は単月で3兆3400億円売り越し。
外国人は10〜11月に再度買い越しに転じ売り一服感。
もっとも・・・。
外国人は13年に15兆6700億円、14年は5400億円買い越し。
因みに12月第3週間までで1兆6700億円売り越し。
(3)アジア・新興国動向
元旦の日経朝刊の見出しは「アジアひと未来。目覚める40億人の力」。
インドやフィリピンの成長が描かれている。
中国中心に動いてきたアジア新興国に変化が訪れたということだろう。
おそらくこの動きからは目が離せない年になるはず。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
4日(月)大発会、通常国会召集、米ISM製造業景況感
5日(火)マネタリーベース
6日(水)米ADP雇用レポート、ISM非製造業景況感、貿易収支、製造業受注、家電見本市(CES〜9日ラスベガス)、FOMC議事録
7日(木)都心オフィス空室率、
8日(金)オプションSQ、景気動向指数、米雇用統計
1月の相場は過去26年で11勝15敗で9位。
4日(月)大発会、ポイントの日。
6日(水)水星逆行開始。
8日(金)SQ。
10日(日)木星逆行開始、新月。
13日(水)ECB理事会。
15日(金)ポイントの日。
18日(月)NY市場休。
20日(水)ダヴォス会議(〜23日)。
21日(木)ECB理事会、ポイントの日。
24日(日)満月。
26日(火)FOMC、水星順行開始。
28日(木)日銀金融政策決定会合、ポイントの日。
過去5回の申年相場の年間騰落率
1956年プラス29.08%。
1968年プラス33.6%。
1980年プラス8.3%。
1992年マイナス26.4%。
2004年プラス7.6%で4勝1敗。
そのスケジュール。
【1月】
4日 大発会、通常国会召集、安倍首相が海外帰国報告、麻生財務相が財政演説
5日 経済3団体が新年祝賀パーティ
8日 日銀、金融政策決定会合の「主な意見」初公表(12月17・18日分)
12日 オバマ米大統領が一般教書演説
15日:ユニバーサル・スタジオの「クールジャパン開催」(〜6月26日)
16日 台湾総統選挙
20日 世界経済フォーラム年次総会(ダボス〜23日)
21日 ECB理事会・記者会見
24日 宜野湾市長選
26日 米FOMC(〜27日)
28日 日銀金融政策決定会合(〜29日)、展望リポート
30日 民主党大会
【2月】
1・2日 米大統領選・アイオワ州党員集会
7日 中国春節(〜13日まで)、NFLスーパーボール
15日 10〜12月期GDP速報値
18日 EU首脳会議(〜19日)
26日 G20財務相・中央銀行総裁会議(上海〜27日)
【3月】
政府・訪日外国人客数の目標設定(年度内)
1日 10〜12月期の法人企業統計
米大統領選・スーパーチューズデー
10日 ECB理事会・記者会見
11日 東日本大震災から5年
13日 自民党大会
14日 日銀金融政策決定会合(〜15日)
15日 米FOMC(記者会見あり〜16日)
17日 EU首脳会議(18日)
26日北海道新幹線一部開業
31日 白井さゆり日銀審議委員の任期満了
【4月】
1日 電力小売自由化、3月日銀短観
15日 国際通貨基金(IMF)・世銀総会(ワシントン、〜17日)東京ディズニーシー「ザ・イヤー・オブ・ウィッシュ」がスタート
21日 ECB理事会・記者会見
24日 衆議院北海道5区補選
26日 米FOMC(〜27日)
27日 日銀金融政策決定会合(〜28日)、日銀展望リポート
1億総活躍社会に向けた総合的対策案の策定(5月めど)
【5月】
中旬 1〜3月期GDP速報値
18日 ECB理事会
20日 主要7カ国財務相・中央銀行総裁会議(仙台〜21日)
26日 伊勢志摩サミット(〜27日)
政府が骨太方針や成長戦略を決定
【6月】
1日 通常国会会期末、1〜3月の法人企業統計
2日 ECB理事会・記者会見、OPEC総会
6日 イスラムラマダン入り(〜7月7日)
14日 米FOMC(記者会見あり〜15日)
15日 日銀金融政策決定会合(〜16日)
23日 EU首脳会議(〜24日)
29日 石田浩二日銀審議委員の任期満了
【7月】
参議院選挙
21日 ECB理事会・記者会見
26日 米FOMC(〜27日)
28日 日銀金融政策決定会合(〜29日)、日銀展望リポート
【8月】
5日 リオデジャネイロ・オリンピック(〜21日)
11日 初の祝日「山の日」
中旬 4〜6月期GDP速報値
下旬 カンザスシティ連銀経済シンポジウム(ジャクソンホール)
【9月】
1日 4〜6月期の法人企業統計
4日 G20首脳会議(中国、杭州〜5日)
8日 ECB理事会・記者会見
20日 米FOMC(記者会見あり〜21日)
21日 日銀金融政策決定会合(〜22日)
【10月】
1日 中国・国慶節(〜7日)
7日 IMF・世銀総会(ワシントン、〜9日)
19日 文部科学省が「スポーツ・文化・ワールドフォーラム」開催
20日 ECB理事会・記者会見
20日 EU首脳会議(〜21日)
31日 日銀金融政策決定会合(〜1日)、展望リポート
【11月】
中旬 7〜9月期GDP速報値
1日 米FOMC(〜2日)
7日 豊洲新市場会場
8日 米大統領選挙・上下両院選挙
【12月】
17年度税制改正大綱
17年度政府予算案を閣議決定
1日 7〜9月期の法人企業統計
8日 ECB理事会・記者会見
13日 FOMC(記者会見あり〜14日)
15日 EU首脳会議(〜16日)
19日 日銀金融政策決定会合(〜20日)
20日 大納会
2015年のIPOは92社。
2016年も100社前後が想定される。
先回りしてみると・・・。
文京区のZMPは自動運転関連のベンチャー。
山形県鶴岡市のスパイバーは鋼鉄の340倍の強度を持つ人工のクモ糸素材を手掛けている。
JP九州は今年の郵政並みの話題に。
名古屋のコーヒー店コメダも俎上。
フリマのメルカリ(港区)や通販のジュピターショップチャンネル(中央区)も候補。
面白い見方は大和。
(1)安倍政権の誕生以降、これまで選挙に向けて相場堅調とのリズムを繰り返してきた。
1997年の消費増税の前年には6月に株価がピークアウトした。
(2)同じ消費増税前年の2013年は1996年の6月ピークに対して5月に一旦ピーク。
しかし年末に高値を更新した。
通常、株価は企業業績の悪化を半年から9ヵ月くらい先行して織り込み始める。
しかし2013年は春の異次元緩和やそれに伴う円安が年末まで続いたことで景気悪化懸念が和らいでいた。
結果的に株価は2013年末が高値だった。
(兜町カタリスト 櫻井英明)
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