07月4週
【推移】

21日(火):
日経平均は5日続伸。TOPIXは6日続伸。7月月足陽線基準は20329円なので月足は陽線。たった1週間前のSQ値は19849円。いつの世界の話?といった感じとなった。海外投資家の現物先物売りに果敢に買い向かったのは、国内の個人投資家さん。まさにアマがプロに勝つ事態。毎朝、外国人動向やNY株の動きなどに振り回されがちな東京市場。その中では快哉といっても良いだろう。
7月8日の安値19737円、7月10日の安値19720円。営業日数ではそこから7日目だが1000円幅の水準訂正。ROEを高める経営=EPSの上昇+コーポレートガバナンスによる免罪符。これを踏まえれば、日本株は少し魅力的な存在。この間、2万円を下回ったのはわずか3日間。たぶん市場はこの流れを肌で感覚的にとらえているのだろう。
日経平均株価は191円高の20841円と6日続伸。古河電池、エコナックが上昇。長府、LIXILが下落。

22日(水):
火曜は思いがけなく後場からも100円高で20800円台を回復。ここは5〜6月の日経平均12連騰した時の山の頂上との指摘。しかしさほどの抵抗もなく、ほぼ高値引け。期待感を持たせた動きとなった。ただ夜のNYダウは大幅安。背景はIBMなど採用銘柄の決算を嫌気したとの解釈。本筋はギリシャや中国でなく米景気と金融動向というご本尊が現れたという格好だろうか。
トムソン・ロイター調査のS&P500採用銘柄の4〜6月期決算は1.9%の減益予想。7月1日時点の予想の3%減益よりも改善。しかし1月1日時点の予想の5.9%増益からは悪化。 決算発表を終了した企業のうち、70%は利益がアナリスト予想を上回っている。1994年以降の平均である63%を上回っている。しかし売上高が予想を超えた企業の比率は53%で、2002年以降の平均の61%より低い水準。
ご本尊が目覚めたのか、価格下落に困惑中の商品系ファンドがまた新たな海外視点を持ち出すのか。あるいは「そんなの関係ねぇ」なのか。付和雷同の右往左往の空しさにそろそろ気づくべきでもある。楽しみは東証1部の売買代金の2兆円超の連続記録。72日で記録に並んだ。
日経平均株価は248円安の20593円と7日ぶりの反落。TOPIXは8日ぶりの反落。三井化学、神戸物産が上昇。三菱UFJ、クレセゾンが下落。

23日(木):
野村のエコノミスト氏の面白い資産がある。それは1998年3月末の日本の個人金融資産の構成比率が米国とおなじだったという試算。17年後の今年3月末に個人金融資産は2245兆円になっていたかもしれないという。
因みに現実の3月末の資産は1708兆円。527兆円=ほぼ東証1部の時価総額分とかGDP分の差が発生したことになる。米国との資産配分の大きな差は現金比率の54%。株式7%、債券5%、投信2%。これが米国では現金が14%で株式36%、投信8%、債券6%。「株は上がるもの」というDNAと「株に手を出してはならない」という家訓の日本。リスクがなければ当然だがリターンもない。株は永遠に下がり続けるものという誤解が解けないとより金融面では劣ることになってしまう。
日経平均株価は90円高の20683円と反発。日電産、ワタベが上昇。航空電子、エーザイが下落。


24日(金):
月曜の日経では1面に「上場投信残高、初の15兆円」の見出し。ETFの運用資産は昨年末が10兆600億円だから昨年末比4割増加し15兆円。拡大ペースは世界の市場でも突出しているという。
16日現在の残高は15兆3085億円で6月末比8000億円の増加。日銀が今年1兆7000億円購入し保有残高は簿価ベースで5兆6000億円。時価では約8兆円に迫る。15兆の半分の8兆円を中央銀行が保有しているのだかは指数は上がるということになる。誰が考えてもこの図式は変わらないだろう。というか、日銀が今年ETFを3兆円購入すると表明した時点で指数高は見えたことになろう。単純な図式である。もっともアメリカのETF資産は250兆円。上には上があるし海の向こうは個人中心。まだまだ道のりは遠い。
個別では相変わらずモンスターの日経レバ(1570)。純資産は5000億円を超えた。先物との関連で考察したレポートがある。相場下落局面では先物買いが入り上昇局面では先物売りが入っている。つまり逆張り特性といえるのだろう。下落局面で強烈な買いが入るので下値抑止力になる。しかし上昇局面では利食い売りのせいで上値を追うパワーにはならない。下落局面で買いが集中し上昇局面での先物買いが分散される構図。下値硬直性という解釈からすると、相場の下支えと言えるのだろう。
日経平均株価は139円安の20544円と反落。KNT、秀英が上昇。北沢産、スターティアが下落。

(2) 欧米動向

今年の外国人の動き。
現物先物合計の売り買いと日経平均の月間騰落率の関係。
1月:1兆1292億円の売り越し→日経平均プラス1.28%、TOPIXプラス0.53%。
2月:2兆5950億円の買い越し→日経平均プラス6.35%、TOPIXプラス7.68%。
3月:4034億円の買い越し→日経平均プラス2.17%、TOPIXプラス1.26%。
4月:1兆6760億円の買い越し→日経平均プラス1.62%、TOPIXプラス3.21%。
5月:1兆5143億円の買い越し→日経平均プラス5.34%、TOPIXプラス5.07%。
6月:9266億円の売り越し→日経平均マイナス1.59%、TOPIXマイナス2.58%。

因みに2013年は約16兆円の買い越しで日経平均は年間56%上昇した。
1兆円の買い越しで日経平均を3%上げていたことになる。
2014年は2500億円の買い越しで日経平均の上昇率は7%。
2015年は約2兆円の買い越しで日経平均は18%の上昇。
9%の上昇寄与となっている。
外国人があまり買っていなくても上がる日本株とみたいところ。

(3)アジア・新興国動向

興味深いのは中国の証券税制。
日本はキャピタルゲイン課税が20%。
ところはあの国は課税がない。
売却益が手元に残るのだから、株式投資にのめりこむのも多いだろう。
そしてその特徴は長期分散投資なんかではなく短期集中投資。
銘柄研究など関係なく、トレンド追随型の典型のような投資スタイル。
上がるから買い、下がるから売る。
逆張り思考の日本とは対極の位置にある。
総トレーダ型市場とも言えるだろう。
上海取引所の5月の売買代金回転率は46.5%という高さ。2月は10.8%→5月54.5%。
因みに東証の5月の回転率は9.8%。
1年平均でも約10%の水準。
日本とは少し隔たりがあるのだろう

【展望】
スケジュールを見てみると・・・
27日(月)企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、製造業受注、独IFO景況感
28日(火)米FOMC、ケースシラー住宅指数、TPP交渉閣僚会合
29日(水)米中古住宅仮契約
30日(木)鉱工業生産、米4〜6月期GDP
31日(金)失業率、家計調査、IOC総会

一方で、企業は個人投資家を向いているのか、機関投資家を向いているのか。
けっこうわかりにくい面がある。
会社説明資料に「個人投資家『様』向け説明会」というのは珍しいものだが、たまに見かける。
これはたぶん個人投資家さんを向いている証の一部になるだろう。
一方で、「2015Fr」とか「第1QのOP」などという記載の説明書。
FrとかOPなんて一般的な個人投資家さんの使う言葉ではない。
市場関係者の一部のアナリストが使う言葉。
フツーの説明書には2015年度とか第1四半期の営業利益となっている。
FrとかOPとかよりもフツーの言葉で語ってもらう方がよほど理解されるように思える。
単なる会社説明会資料からでもいろいろなことが浮き彫りになってくるもの
些細なことかも知れないが、細かいところに企業の姿勢というのが現れる。

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