02月2週
【推移】

9日(月):
米雇用統計通過。1月の非農業部門雇用者数は25.7万人で着地。市場予想の23万人台を上回った。11月分は35.3万人増→43万人増。12分月も25.1万人増→32.9万人増と上方修正された。ただ失業率は5.7%で前月の5.6%から上昇。
平均時給は前月比0.5%上昇。12月と1月の民間部門労働者の週平均労働時間は34.6時間。雇用統計だけは相変わらず力強い米国経済の印象。そもそも毎月毎月騒ぐ方がおかしい。そのうち他の指標でも見つけ始めるのだろうか。そして経済指標で一喜一憂させられている愚に早く気がつくべきなのだろう。経済指標がなければ相場を語れない世界にあわせる必要はなかろう。
日経平均株価は63円高の17711円と続伸。一時150円高の場面もあった。大和小田急、旭硝子が上昇、PS三菱、コムシスが下落。

10日(火):
日産自の通期連結純利益は前期甫8%増に上方修正。円安効果と北米の好調、中国市場の底固さとの分析。一方で気になるのはトヨタのディーゼル車の8年ぶりの投入。燃費や減税を背景にSUVでのディーゼル車をつくるという。水素自動車「MIRAI」はどうするのだろうか。虎の子の特許を公開し、全面参加を呼びかけている裏側でのディーゼル車の投入。どこかチグハグな印象は拭えない。燃料電池車では2016年にホンダが投入する機種の方が圧倒的にトヨタを凌駕しているという話もある。因みにホンダ(7267)のPERは11倍台、PBRは1.15倍。配当利回り2.3%台。自動車セクターの静かなバトルが繰り広げられている。
日経平均株価は59円安の17652円と3日ぶりの反落。三菱UFJ、ホトニクスが上昇。スカイマーク、ワタミが下落。


12日(木):
日経1面では「日台バイオ企業に投資、大和証券100億円ファンド」の見出し。医薬品や再生医療製品などバイオテクノロジー向けで国内最大となる100億円規模。日本や台湾の公的機関からの出資も受け、未上場のバイオベンチャーに投資するという。サブ見出しは「米中市場視野」。1面記事のバリューではないのかも知れないがいよいよバイオの狼煙の発端となろうか。また、キヤノンは街角や工場の監視などに使うネットワークカメラの最大手を買収の方向。監視カメラの市場規模は今後4年で現状の2倍の約3兆円になるという。外を見る監視カメラと中を見る監視カメラ。この動きもサイバーセキュリティ同様に見逃せない。日経平均の25日移動平均は17355円で1.71%のプラスカイ離。75日移動平均は17103円で3.21%のプラスカイ離。200日移動平均は15909円でプラス10.96%のカイ離。罫線的には悪くない格好。松井証券信用評価損益率速報は売り方マイナス11.717%。買い方マイナス7.583%。Quick調査の信用評価損率(1月30日現在)はマイナス8.83%。
日経平均株価が327円高の17979円と反発。一時18005円まで上昇した。東証1部の売買代金は3兆1600億円まで拡大。丸井、セイノーが上昇。スミダ、三井海洋が下落。


13日(金):
日経1面は「日経平均、7年7ヶ月ぶり高値。車・通信『稼ぐ』力で牽引」。今期の上場企業の経常利益は最高益だった08年3月期を7年ぶりに上回る見通しだという。稼ぐ力のトヨタ、構造改革のソニー、独自の技術力の村田製作所などが登場してきている。
日経平均株価は66円安の17913円と反落。鹿島、林兼が上昇。キリン、東洋紡が下落。SQ値は17886円で通過。

(2) 欧米動向
G20の共同声明は「低インフレは経済停滞につながる。必要な場合には断固として行動する」。
各国に成長戦略の加速求める声が相次いだという。
低インフレでなく、高インフレというならば世界経済は新興国に牽引期待。
そうは問屋がおろさないので先進国に牽引期待。
そんなにインフレが欲しいというのも奇妙な構図。
一方で英国有力シンクタンク国際戦略研究所(IISS)の「ミニタリー・バランス2015」。
アジアの国防費支出に占める中国の割合は2010年に28%、14年までに38%増えた。
中国の軍拡による懸念は増大。
だが日本の国防費用も増加している。
ネオコンは静かに儲けを増やし始めた格好。

さほど話題にはならなかったがMSCI定期銘柄見直しが発表された。
内容は・・・。
日本銘柄の新規採用・除外はなし。
FIFの変更もなし。
複数銘柄で組み入れ時価総額の変更を発表。
2月27日の引け値段階で反映。
組み入れ増加はソニー(6758)、高島屋(8233)、忠(8001)、
名鉄(9048)、みずほ(8411)、日本プロロジスREIT(3283)。
組み入れ減少はパーク24(4666)、ヤマト(90645)、
リクルート(6098)、東急(9005)。

(3)アジア・新興国動向
中国の貿易統計が発表された。輸出は前年比3.3%減、輸入も19.9%減で市場予想を大幅に下回った。
日本向け輸出は2割程程度減少。
前月比では全体で輸出12%減、輸入21.1%減。貿易黒字は600億ドルで月間では過去最大。
中国の輸出と輸入を合わせた2014年の貿易総額は前年比3.4%増。
中国政府の目標7.5%増に届かなかったというのが結論。
そして景気後退のために金融緩和を求める声も聞かれる。
どこも一緒の感。


【展望】
スケジュールを見てみると・・・

16日(月)10〜12月GDP、米休場(プレジデンツデー)
17日(火)日銀金融政策決定会合、米NY連銀製造業景気指数、独ZEW景況感
18日(水)黒田日銀総裁会見、1月訪日外国人、米鉱工業生産、住宅着工、対テロ首脳会議(ワシントン)、中国・台湾・韓国休場
19日(木)貿易統計、米CB景気先行指数、中国・台湾・韓国他休場
20日(金)コンビニ売上高、中国・台湾・韓国他休場

良くわからないのは円安が景気をしてくれるという声とインフレを求める姿勢。
通貨が買われて滅びた国は無い筈だが通貨が売られて呻吟した国は古今東西数多く見られる。
あるいは、デフレで暴動は起こらないがインフレが暴動に結び付いた例が数多い。
適度な円安、適度なインフレは確かに居心地は良い。
しかし果たして一度回り始めた歯車を適度な場所で止めることができるのかどうか。
名目上、物が明日の方が今日よりも確実に高くなるならば、確かに明日よりも今日買うという購買行動につながるだろう。
そして消費は一時的に拡大する。
でもモノの価格が上がり続けると、消費どころではなく買えなくなることになる。
それでも、適度な地点で止められるという強い自信があるのかどうか。
得てして、市場で観測される未来予想図は結果が逆になることが多いもの。
一昨年の米QE3の終焉観測でも、5月の前触れから11月まではQE3終焉株安論だったのに、12月に実際にQE3が終わったら、その後、株価が上昇に転じた。
今の利上げ観測も同じ轍を踏まないとは限らない。
その場その場で微分してみれば、一見正しそうな相場観測。
でも時間軸を長くしてみれば結果論的には正反対だったなんてことにならなければ良いが。
市場はしばしば間違うという経験則は十分に積んでいる筈なのに刹那的な支配的論理にしばられることは多いもの。

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