09月第5週
【推移】
22日(月):
日経平均の25日線は15704円で3.19%のプラスカイ離。週末は4.6%まで上昇した。75日線は15416円で5.12%のプラスカイ離。200日線は15096円で7.345%のプラスカイ離。ソコソコいい水準まで来た。課題は200日線の10%越えだろうか。計算上は16605円でまだ相当上に位置している。多分ココを越えれば拍車とか加速というイメージになるのだろう。常識的には4〜5%のプラスカイ離が第1次限界水準。そこにとどまっているうちは面白くない相場。しかしワープすれば風景は変わる筈。昨年5月23日はプラス47%のカイ離だったことは記憶に新しいところ。因みに日経平均採用銘柄の今期予想PERは15.71倍。前期基準PERは15.80倍。つまり今期のEPSはほとんど増えていない。しかし自社株買いに上方修正が続けば、当然増加していく筈。だから株価は上昇継続している。日経平均採用銘柄のEPSは依然として1030円レベル。これは半年以上変わっていない。中間決算の発表とともにこれは増えてくるとすれば、10%増益でEPSは1133円。PER15倍で17000円。PER16倍で18128円。20%増益でEPSは1236円。PER15倍で18540円。PER16倍で19776円。計算だけは誰でも出来るの。少なくとも株式益回りは6%台、長期国債利回りは0.5%台。どこかでこのアンバランスの修復は行われるに違いない。日経平均株価は115円安の16205円と3日ぶりの反落。武田、新日鉄住金、サイバネットが上昇、宮越、ソフトバンクが下落。

24日(水):
「自社株買い高水準」というのが火曜日経の見出し。上期の自社株買いは1.85兆円。08年度上期以来6年ぶりの高水準となった。当時は株価下落への歯止めとしての自社株買い。今回は利益還元強化やROE向上が理由。全く違うのだが、今キャッシュを使うのは自社株買いがふさわしいのかどうか。自社の株価の先行きに対する自信の裏返しとも読めないことはない。しかし、自社株買いは資本市場の論理でしかない。自社株を買ったところで株価は発展するかも知れない。しかし数値は別にして企業そのものが決して成長しない。新たな事業への投資とかM&Aなどを忘れた経営でいいのかどうか。経営者はすべからく財務指標の虜でいいのかどうか。市場至上主義に毒されたアナリスト的経営がいいのかどうか。微妙なところ。一方で、外国人は日本国債を8月に2兆円買い越したという。こちらは2011年5月以来の高水準。0.5%の国債を好んで買う外国人。安全性の重視なんて所詮お題目にしか聞こえない。因みに外国人投資家が保有する日本国債は35兆円。一歩で日銀が保有する日本株は7兆円。日銀は債券からエクイティ、外国人は相変わらずボンド尊重主義。どちらが正しいのかは時間が決めてくれるのだろう。日経平均株価は38円安の16167円と続落。ダイエー、イチケンが上昇、エイチーム、エムアップが下落。

25日(木):
壮大な演出の劇が開幕した印象なのは地球温暖化対策。米国と中国が積極的に枠組を作るという国連での方向転換。京都議定書など何処吹く風だったこの両国の変身は何を示しているのだろうか。原発問題などで発言力の低下した日本から表面上の主導権を奪うような動き。たぶん裏側にはシェールガスを持て余したアメリカの事情があるのかも知れない。世界は、過去から現在まで所詮エネルギーで動いているもの。しかし、二酸化炭素が本当に地球温暖化の元凶なのかどうかの検証がないままの政治的策動。不可解ではある。米国や中国に「我慢」という哲学」が通じるのかどうか。演じる者の真剣さが問われる課題でもある。日経平均株価は206円高の16374円と反発。東証1部の売買代金は2兆3317億円。9月権利配当取り最終日で配当取りの買いが目立ったとの指摘も聞かれる。東ソー、ドワンゴが上昇。ダイエー、サニックスが下落。

26日(金):
日経では「自動車・電機に資金。時価総額比率25%に迫る」の見出し。円安の進行を背景として、1円の円安でトヨタは年間の営業利益が約400億円増加する。「10月下旬から本格化する決算発表を前に業績予想の上方修正を期待して、買いを入れている海外勢は多い」との)声も聞こえる。日経平均株価は144円安の16229円と反落。三晃金、蛇の目が上昇、トヨタ、ホンダ、ソフトバンクが下落。

(2) 欧米動向
多くのアノマリーの中で最近目についたのは「NY株の曜日のアノマリー」。
特に「火曜日のNY株高」。
金融緩和でFRBが買い入れた資産の払い込みは月曜日に金融機関に着金。
火曜日にその資金の一部が株式市場に入るからという解釈。
もっともらしく面白い説である。
因みに・・・。
今年の曜日別のパフォーマンスでは火曜日がプラス0.19%でトップ。
2位が水曜のプラス0.11%、3位が月曜のプラス0.01%。
木曜はマイナス0.09%、金曜はマイナス0.01%。
勝率でいくと、水曜がトップで勝率64.9%、火曜62.2%。
月曜(55.9%)、木曜(52.6%)、金曜(51.4%)となっている。
金融緩和によるFRBの資産買い入れが消えた時のアノマリーはどうなるのだろう。
興味津々である。
アメリカはシリア空爆への動き。
軍事路線からの撤退を続けてきた米オバマ政権も、とうとう武器弾薬の在庫一層に走り出した。
本来は悲しむべきことであることだし、地政学的リスクは高い。
しかし・・・。
叱責を受けるかも知れないが、過去の例からは軍事的行動は米景気の制御弁でもあった。
不動産バブル→イラク戦争。
ITバブル失速→アフガン・イラク侵攻。
そして武器弾薬在庫を一掃してからは、再度究極の不動産バブル。
その行き着いた末がリーマンショック。
ここで不良債権在庫を一掃して今の株価は過去最高値。
しかし、不良債権も落ち着き、金融機関と当局も和解の姿勢。
となると、次の選択肢は当然軍事侵攻というシナリオは読めなくはない。
どんない嫌戦モードが高まろうと、軍事的強気姿勢を見せる背景はココにありそうな気がする。ネオコンなん言葉は民主党オバマ政権の6年で忘れかけてはいたものの、消えてはいない筈。このデモーニッシュなサイクルは結構重要あるような気がする。

(3)アジア・新興国動向
中国は国慶節で秋の民族大移動の時期。1日発表予定の製造業PMIに注意と言うところ。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・
29日(月)臨時国会召集、米個人所得
30日(火)失業率、鉱工業生産、自動車生産台数、家計調査、米ケースシラー住宅指数、シカゴ購買部協会指数
1日(水)日銀短観、都民銀行・八千代銀行が統合、KADOKAWA・ドワンゴが統合、東海道新幹線開業50周年、米ADP雇用レポート、ISM製造業、新車販売台数中国休場(国慶節〜7日、香港〜2日)
2日(木)マネタリーベース、ECB理事会、米製造業受注
3日(金)米雇用統計、貿易収支、ISM非製造業、韓国休場

NY株は反発の動き。
新たな好材料があった訳ではなく自立反発。
過去最高値圏での頑強な展開を継続している。
株高が多くの悪材料を消してくれることを体感的に知っているNY市場。
その経験則を信じられない東京市場。
この対比が彼我の差に他ならない。
もっとも・・・。
ようやくかつてのドンキホーテチックな相場見通しも聞かれるようになった。
「小泉政権時の2007年7月9日の高値が18261円。
ここを上回れば・・・。
日経平均構成銘柄30銘柄入れ替え前日の2000年4月12日の20833円が視野。
さらにここを抜ければ・・・。
バブル崩壊後の戻り高値でもあった96年高値22666円。
そしてここを越えれば一気に89年12月の38915円」。
夢は広がるものではある。
日経の元旦の見出しは「空恐ろしさから豊かさへ」。
残り3ヶ月はこの「豊かさ」の時間帯と読みたいところ。

日経平均で今年の安値を追ってみると・・・。
2月5日13995円、4月14日13885円、5月21日13964円。
その後は8月11日14973円。
5月までは14000円割れが反発レベル、8月からは15000円割れが反発レベル。
直近は16000円割れが反発レベルに移行した格好。
売り方の視点で見てみると、2月安値の期日は8月5日に通過。
4月安値の期日は10月11日でまもなくやってくる。
5月21日の期日は11月21日。
株価上昇時は安値で売った売り方期日での踏み期待。
株価下落時は高値で買った買い方の期日の投げ期待。
オセロゲームの白と黒のような格好である。

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