03月3週
今週の相場感
10日(月)
土曜の日経朝刊で目についたのは「マイナス4.1%成長予測」の見出し。日本経済研究センターの民間エコノミストのESPフォーカスト調査の結果。4〜6月の実質GDPの見通しは前期比年率マイナス4.10%。消費増税の影響でのマイナス成長見通しだが、前月調査はマイナス4.57%だった。 つまり小幅ながら上方修正。因みに駆け込み需要で1〜3月は4.60%増、そして7〜9月は2.20%増に回復見通し。つまり4〜6月の落ち込みは1〜3月の反動。しかしそれを超えないということ。7〜9月が年率2%台ということはあと1%程度の上積みがあれば次の消費税アップも可能。あれこれ騒いでいる割には、消費税は大山鳴動のねずみのような印象となる。月曜日経トップの見出しは「個人マネー、リスク志向」。これに棹差すような動きは財務省。読者の少ない日曜日に「配当への課税強化」と報じられている。法人税率引き下げの代替としての株式の配当などにかかる税率を強化する方向。政府税調の思惑とされているが、これは川上負担を軽くし川下負担の強化。依然として株式市場は富裕層の場所という間違った感覚が残っているのあろう。富裕層を擁護する訳ではないが、そもそも富裕層にお金が回らなければ消費は伸びない。従って景気もよくならない。押しなべて皆にお金を配っても決して景気回復にはならない筈。ここを罪悪視しては、市場の振興や景気の拡大などあり得ないだろう。本領を見たような気がしたのはアメリカがウクライナにLNGを供給する話「ロシアの影響力を低下させる」というのが狙いという。しかし「割安なシェールガスの生産が増え、LNGの輸出計画が相次いでいる」。中国にまでLNGを供給しようというのだから、それこそ「LNG」の営業姿勢。どうもシェールオイル・ガスがだぶついているような気がしてならない。日経平均株価は153円安の15120円と反落。野村・大和が下落。日ハムが上昇。
11日(火)
3.11は薄商いで通過。前場の日経平均株価は前日比111.33円高。さすがに311円高とはならなかった。一部で期待された日銀の金融政策決定会合。結論は「金融政策の現状維持」。もっとも輸出について「持ち直し傾向にある」から「横ばい圏内の動きとなっている」に変更。これが4月の会合での追加緩和への期待感につながったとの解釈。蜘蛛の糸のようなものでもつながれば良いのが市場ということだろう。もっとも東証1部の売買代金は1兆6853億円と連日で今年最低を記録。昨年の「夏枯れ」そして「貧秋」以来の「春霞」となった。中国景気の減速や債務不履行そし連動した格好の銅価格の下落。あるいは、クリミア議会の独立宣言など不透明要が渦巻く中。登場したのはOECDの経済見通し。見出しは「先進国の成長ペース早まる」。日本の成長率は消費増税前の駆け込み需要などから1〜3月は年率換算4.8%増。4〜6月は反動でマイナス2.9%。しかし民間エコノミストの予測はマイナス4%台だから悪くはない。消費税を上げろと迫ったOECDだけにあまり無茶なネガ予想は出来ないということもあろう。米国は1〜3月がプラス1.7%。4〜6月はプラス3.1%。ユーロ圏3国は1〜3月が1.9%、4〜6月が1.4%。見通しは悪くない。日経平均株価は103円高の15224円と反発。京セラ、東ガスが上昇。JFEが下落。
12日(水)
3月第2週。今来週は通常はウリが膨らむ週でもあるとの指摘。背景は信託や国内生保に売り観測4年から13年までの過去10年間の機関投資家(生損保・銀行・信託)の動向。3月の平均売り越し額は4405億円。他の月の平均の1463億円を遥かに上回っていた。ただ今年は売買エネルギー薄ということもあって、さほどは意識されてない印象。東証1部の売買代金は1兆9019億円で2日続けての2兆円割れ。値下がり銘柄数は1667で全面安の展開。解釈は銅先物相場の約4年ぶりの安値。中国の需要鈍化とデフォルトの影響への懸念。担保に取っていた銅を売却するのではないかという思惑からの売り先行。うまい具合に材料を見つけ出すもの。あるいは、材料になるようにアチラでもコチラでも市場を手当てしているのかも知れない。日経1面の見出しは「銅が急落、日経平均393円安、中国リスク、市場揺らす」。しかし日経平均株価は2.58%、TOPIXは2.13%の下落だが上海は0.01%の下落。あるいは見え隠れしているウクライナ問題。「ウクライナが落ち着かなければ欧州への投資は難しい」と言う指摘も聞かれる。それでも売られた日本株。どこは変な状況。日経平均株価は393円安の14830円と反落。ソフトバンク、東ソーが下落。ヤマトHDが小幅に上昇。
13日(木)
大引け直前にマイナス。背景は中国の経済指標だったとの解釈。同国国家統計局のWEBの不具合で14時半に発表予定が東京の大引け直前まで遅延。「遅れる」ことは「悪い知らせ」の通り結果は軒並み市場予想を下回っての着地。小売売上高プラス11.8%(市場予想はプラス13.4%)、鉱工業生産プラス8.6%(同プラス9.5%)、固定資産投資プラス17.9%(同プラス19.4%)。そもそもあの国の統計というのが信じがたいものが多そう。それでも根拠にするから市場は凄い場所。日経平均株価は14円安の14815円と小幅に続落。自動車セクター、武田薬が下落。日東電工が反発。
14日(金)
暫定メジャーSQ値は14429.87円。前回12月メジャーSQ値は15303円。2月SQ値は14536.09円。3月期末権利落ち分80円程度を足しても届かず。まさかの下回りとなった。それにしても商品系には格好の材料提供。東京金は9ヶ月ぶりの高値。NY金は半年ぶりの高値。悪辣な材料が出てくると「ブル」になるマインドは日本にはあまり馴染まない。でも世界は逆に好む。どうもこのデモーニッシュな感覚に東京株式は不慣れに思える。日経平均株価は488円安の14327円と続落。トヨタ、イオンなど1749銘柄が下落。
(2)欧米動向
雇用統計通過。
結論は非農業部門雇用者数が前月比17万5000人増。
市場予想の14万9000人増を上回る伸びとなった。
1月の12万9000人増からは大きく加速。前月分も2万5000人の上方修正。
終わってみれば「雪もせず」の感。
むしろ中国からの輸出が1140億ドルと前年同月比18.1%減少した方が大きかろうか。
輸出額のマイナスは昨年9月以来5ヶ月ぶり。
待ち望んでいたのはNYのサマータイム。
引けが東京時間の午前5時になる。
米投資雑誌バロンズの今週号は「日米礼賛」あるいは「手前味噌」の感。
まずは日本について。
紹介されているのはある日本株ファンドのFM氏。
「昨年、企業が何年かぶりに価格を引上げ始めたのは歓迎すべき兆候。
15年もの間、企業に価格決定力はなかった。
インフレになれば、すべての日本企業は助かる」。
紹介されているのは主力ではトヨタ、ホンダ、オリ、三菱UFJなど。
小型ではカカクコム、M&Aセンターなど。
「この2社はあまり競争力がないので利益率が高い」とのコメント。
そして「日本にはみな懐疑的でその理由も確かにある。
何度も失望してきたため無理もない。
今回こそは違う日本であって欲しい」。
この「今回こそは」が曲者なのだが・・・。
「来年あたりソニー伝説の新たな幕開けが期待できる」というコメントが印象に残った。
そしてアメリカ。
「株式市場は戦争さえ起きなければ上がるようになったのかも知れない。
ただし、21世紀型の株式市場のバブルが生まれつつあることも確かなようだ。
株式市場はバブルかバブルでないかとの語論で盛り上がっている。
S&P500指数は3月6日にザラバ安値666.79から5周年を迎えた。
S&P500はそこから180%上昇したことになる。
NASDAQバイオ指数は今年に入って14%上昇。
2012年からは75%上昇。
09年3月からは360%超の上昇となっている。
また94年12月〜2000年3月のネットバブル。
NASDAQ100指数は1900日で1118%も上昇した。
09年3月の底値からbNASDAQバイオテック指数は1800日で361%上昇した。
しかし他の指数と比較してみると・・・。
例えばS&P500の住宅建築株指数は2000年3月から05年7月までに835%上昇。
とするとバイオバブルではないということになる。
加えて・・・。
S&P500指数は、7日に1ポイント上昇し強気相場の誕生日を前に最高値を更新。
重要なのは、この5年間の上昇で投資家の保有している価値が16兆ドルほど増加したこと。
もう一つの記念日はNASDAQ総合指数が5048.62の高値をつけた3月10日。
ここから14周年記念となった。
同指数はピークを更新していないが、09年の底からは242%の上昇。
「NASDAQ5000は二度と戻ってこないとウォール街は見ていた。
しかし昨年11月に4000ポイント台を回復。
大きな上昇にはしばしば大きな上昇が続くという声も聞こえる。
NASDAQ指数が25%以上上げた翌年は総じて16%上昇しているのが過去の歴史。
そして前回のハイテクサイクルのテーマは「インターネットの約束する未来とその可能性」。
今回は「その約束の実現」だという。
だからNASDAQ5000があっても何ら不自然ではないとの解釈。
NYの「中間選挙の年の株高アノマリー」。
2010年(オバマ大統領):年始から選挙日まで7.3%上昇、そこから年末まで3.5%上昇。
06年(ブッシュ大統領):同13.4%上昇、同2,5%上昇。
02年(同)同14,5%下落、同2,7%下落。
98年(クリントン大統領):同10.1%上昇、同5.5%上昇。
94年(同):同1.5%上昇、同0.7%上昇。
90年(ブッシュパパ):同9.1%下落、同5.3%上昇。
86年(レーガン大統領):同22,5%上昇、同0.1%上昇。
82年(同):同14.9%上昇、同4.1%上昇。
そして上昇相場が5年続き6年目に突入したS&P500指数。
第二次世界大戦以降、上昇が5年続いたのは5回。
そのうち6年以上続いたのが3回(1949年〜。74年〜、90年〜)6年目で終わったのが2回(82年〜、02年〜)。
49年のパターンであれば2015年末に38%の上昇となる2600ポイント。
90年のパターンでだと21%上昇の2271ポイント。
74年パターンであれば18%上昇の2216ポイント。
逆に82年パターンだと21%下落の1483ポイント。
02年パターンであれば42%下落の1092ポイント。
できれば6年以上の上昇が欲しいもの。
(3)アジア・新興国動向
中国は人民元の対ドル相場の変動幅を2%に拡大。一方的な人民元高相場が終了した格好。ウクライナの問題から新興国市場もボラティリティが高いが、この人民元問題も株価変動の静かな要素となろうか。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
14日(金)米卸売物価、ミシガン大学消費者信頼感
週末:中国貿易収支、北朝鮮最高人民会議代議員選挙、米夏時間、
17日(月)首都圏マンション販売、米鉱工業生産、NY連銀景気指数
18日(火)米消費者物価、FOMC(〜19日)、独ZEW景況感
19日(水)貿易統計、訪日外国人数、日露フォーラム(東京)黒田日銀総裁国際金融シンポジウムで挨拶、イエレンFRB議長会見
21日(木)コンビニ売上高、黒田日銀総裁日商で講演、米フィラデルフィア連銀景気指数、PM2.5に関する日中韓実務者会議
22日(金)春分の日で休場、NY市場SQ
週末:アニメジャパン(〜23日)、大阪市長選挙、フランス統一地方選挙
1月に1兆円を売り越した外国人投資家の売りは大半がフランス経由だったとの指摘。
財務相が発表する国際収支速報の1月分。
フランス経由で日本株は8057億円の売り越しで外国人売りの8割を占めていた。
英国経由が1981億円、米国経由が400億円。
もっとも昨年11月と12月の2ヶ月で1兆6000億円の買い越しだったからその反動。
もっとも、単にフランス経由だっただけ。
フランスの投資家が日本株を大きく売買している訳ではなかろう。
俗に言う「黒い目の外国人」の範疇もあろう。
日本の機関投資家だってロンドンやNYを経由すれば海外動向になる。
もっともパリバやソジェンは仕組み債の組成の跳ね返りでの売買が特異だった。
アムロやニューエッジなどはヘッジファンドの売買なども行っていよう。
これらの複雑な売買が余計に市場を曇らせているのだが・・・。
東日本大震災から3年経過。
その3年でもっとも上昇した日経平均採用銘柄は富士重工(7270)の332%。
以下、日野自(7205)247%、OKI(6703)229%、
太平洋セ(5233)218%、ファーストリテ(9983)198%、
ドーム(9681)196%、大成建(1801)154%、横河電(6841)144%、
マツダ(7261)143%、大日住友薬(4506)142%と続く。
逆に最も下落したのは東電(9501)78%、日電硝(5214)64%、
シャープ(6753)61%、太平金(5541)51%、SUMCO(3436)49%、
旭硝子(5201)47%、パイオニア(6773)47%、関電(9503)45%、
板硝(5214)40%、中部電(9502)。
自動車とインフラ関連が上昇し電力とガラスが下落した構図となっている。
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