03月2週
今週の相場感
3日(月)
土曜の日経1面は「女性管理職4.9%に」の見出し。少子高齢化でやむに止まれぬ事情もあるのだろう。しかし業績とか景気の問題とは関係なく政策の主眼であることは間違いない。大和のレポートではIMFの指摘を紹介している。それによると「日本の働く女性数が男性に追いつくことでGDPは9%押し上げられる」。 安倍首相はダボスで「女性の社会進出を促進することでGDP16%拡大は可能」と発言。折にふれて女性支援、子育て支援、あるいは婚活関連が市場テーマとなろうか。46都道府県で税収が増加したという報道もあった。マイナスだったのは山梨県だけ。逆に伸びが大きいのは愛知県。そして大阪府、福島県、愛媛県、青森県、東京都、千葉県、宮城県、群馬県と続く。愛知はトヨタの業績回復を中核に自動車関連が好調。これは06〜97年と同じ構造。そして福島・宮城・岩手などは復興需要による建設業の活況が背景。山梨は主力産業のファナックの低迷が響いたとの解釈。税収から少しは相場の未来が垣間見えることもある。因みに有効求人倍率にもバラつき。6割超の職種で人出不足が目立つという。特に建設躯体工事、電気工事などでは顕著。介護サービスや商品販売、接客・給仕なども不足気味。前場ウクライナ半島情勢の緊迫化を懸念しての大幅安。一時25日線(14736円))を割れ2月SQ値(14539円)も下抜けた。クリミア半島という火種の場所でありいつものこと。特に驚きはない筈だがそれでも懸念を活用しての売り優勢。安全資産としての円買いを嫌気しているとの解釈も聞かれる。日経平均株価は188円安の14652円と続落。アステラスアが下落。ファーストリテが逆行高。
4日(火)
3月弥生は早くも4日。振り返ってみれば1月行くで日経平均株価は約2000円安。2月逃げるで前月比マイナスながら月足陽線というアンバランス。しかも為替は2円程度の小幅な値動きでトレンドのない展開。3月去るは、商品業界にとっては干天の慈雨のようなウクライナ問題からの出発。どうせ格言があるのなら、悪材料に「去って」欲しいもの。日々揺れ動き、一挙手一投足に気を取られ、瑣末にこだわることが多いのが市場。アムロの手口がどうとか、GSのレポートがこうだったなどの議論よりも、「その事象で誰が儲かるのか」を考えることの方が大切なように思える。特に世界の出来事についてはそうだろう。たくさんの犠牲者を出した「9.11テロ」はアルカイダに利があったのか、ネオコンに利があったのか。多くの金融機関と世界市場に影を投げかけたサブプライムショックで、消えたものはわかっていても、それで利したのは誰だったのか。今回のウクライナの問題にしても、そういう思考法がきっと大切だろう。浮沈し明滅するそれぞれの事象。決して単品で動いている訳ではなく、実は複合汚染チックな展開の筈。地政学的リスクなんてもっともらしい修飾をされてしまうと、どことなくわかったようなつもりになってしまうことこそ、きっと忌むべこと。無様だったのは前場の先物の売買停止。11時4分から11時30分まで225先物とオプションが売買停止。その間、告知はまったくなし。その後の大証のコメントは「担当者がシステム操作の際にミス」。おかげで売買高は減少し、東証1部の売買代金は1兆7706億円。2月26日の1兆7869億円を下回り今年最低を記録した。それよりも奇異だったのが昨年3月4日も10時半過ぎに先物オプションが売買停止となっていたこと。このときはシステム障害だった。同じ日付の同じ時間に先物の売買停止が起こる確率は低いだろう。日経平均株価は69円高の14721円と反発。三越伊勢丹、不二サッシが上昇。伊藤園が下落。
5日(水)
2月SQ値14536.09円は抜けた。12月メジャーSQ値15303.19円も視野に入った。25日線14695円も抜けた。75日線15250円はまだ上。2月末終値は14841円。3月月足陽線基準は14652円。因みに3月4日ポイントの日はプラスで通過。この意味の方が大きいように思える。次のポイントの日は3月20日。相場に変化と捉えたいし、勝手雲が白くねじれる7日の週末に期待したいところ。「ウクライナ騒ぎたてても実りなし啓蟄過ぎて相場も変化」だろうか。日経平均株価は176円高の14897円と続伸。JTが7日ぶりに反発。富士通が上昇。富士重工が4日続落。
6日(木)
日経でもNTTが年50回の個人説明会を開催するとの報道。企業側もようやく個人株主パワーに気がついたということだろう。頼りにならない金融法人や機関投資家に業を煮やしたとでも言えるかも知れない。しかし事業法人や金融法人あるいは海外担当が優位で個人営業が劣後していたのが歴史。ようやくこの誤解と錯覚が解かれるのかも知れない。8連敗中の木曜日はプラスで終了。アノマリーも多少変化したとみたいところ。木曜安のアノマリーが払拭されれば来週のSQに向けての明るい材料となる。信用の評価損率はマイナス10.67%で2週間ぶりの悪化。裁定買い残は1334億円減少し2兆6603億円。空売り比率は28.7%とようやく30%を割れた。これも変化の兆し。日経平均株価は円高の円と3日続伸。「米雇用統計の発表を前に一部の投資家が先回り的な買いを入れ、相場を押し上げた」との観測も聞かれる。NTT、東京エレクトロン、セイコーエプソン、ライト工業など23銘柄が昨年来高値更新。値がさのソフトバンク、ファストリが後場に入って上げ幅を拡大。2銘柄で日経平均を約70円押し上げた。一方、イオン、。NECなどが逆行安。
7日(金)
日経平均株価は139円高の15274円と今年初めての4日続伸。NYでの日本証券サミットが奏功したのかも知れない。中国企業の債務不履行が報じられたが、ほとんど材料視されず。トヨタ、キャノン、ファーストリテが上昇。三井物産が昨年来高値を更新。一方でJTが反落。
(2)欧米動向
米投資雑誌バロンズの楽観さが目立つ。例えば「悪材料がないだけだが」という一文。
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・・・過去2年間、この上昇相場を横で眺めていた投資家にとって大きな問題はずっと「パーティに参加するには遅すぎる?」だった。しかし心配することはない。このパーティは決して終わりそうになりのだから。
・・・S&P500の場合、この数週間上値抵抗線だと投資家が考えていた1850を上抜けた点が重要だ。
・・・FMグローバルのファンドマネージャー氏のコメント、
「先週、特に強気の材料があったとは思えない。おそらく悪材料がないので資金の豊富な投資家が戻ってきた」。
・・・3月9日(日)はS&P500が676.53の底値で引けてから5周年。
それ以降、株式市場は配当を含めると3倍以上になった。
この上昇の大部分はPERの上昇によるものだとされる。
同じ業績に対して投資家が支払う金額が増えた結果だ。
「絶望的だが、深刻ではない」というもうひとつのコラム。
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ギリシャの暴力的なデモを目のあたりにして市場が混乱に陥ってからまだ4年足らず。
2010年5月のフラッシュクラッシュウにつながり当時NYダウは1000ドル急落した。
しかし同じくらい急速に下げ幅のすべてを取り戻した。
それ以降、テレビで繰り返し放送される抗議デモに市場はあまり反応しなくなった。
アラブの春やシリア内戦など消化しきれなくなってしまったのかも知れない。
ベネズエラやタイの抗議デモやアルゼンチンの通貨危機、そしてウクライナ危機。
にも関わらず、アメリカ株式市場が最高値であることに驚く必要はない。
ナイジェリアとトルコは政府上層部の汚職疑惑で通貨に売り圧力がかかっている。
しかし、こうした危機をすべて追跡すべき理由がどこにあるのだろうか。
米国人は海外の出来事に無関心であることに誇りさえ感じている。
そもそもウクライナの株式市場の時価総額はディズニーと一緒、
GDPトルコの5分の1、一人当たり国民所得はエジプトをわずかに上回る程度。
ロシアの半分程度でポーランドより少ないと見られている。
世界各地の紛争によって米国株式市場は投資家にとってさらに魅力的なものになる。
欧州も同様。
懸念すべきは中国という論調だが・・・。
(3)アジア・新興国動向
中国企業の債務不履行などが小出しにまかれる展開。相場が上向きなので見えないフリとなっている。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
10日(月)日銀金融政策決定会合、国際収支、GDP改定値、景気ウォッチャー調査、ロシア休場
11日(火)黒田日銀総裁会見、マネーストック、東日本大震災追悼式、米3年国債入札
12日(水)法人企業景気予測調査、国内企業物価指数、春闘一斉回答日、米10年国債入札、財政収支
13日(木)機械受注、米小売売上高、企業在庫、輸入物価、中国経済指標
14日(金)メジャーSQ、鉱工業生産確報値、米卸売物価、ミシガン大学消費者信頼感
公的年金はカナダと組んで最大2800億円のインフラ投資を行うという。
10〜12月は5.7兆円の運用黒字。
四半期ベースでは過去2番目。
通年では18兆円となり過去最大の運用益。
なにもしないでも年金原資が18兆円増えて運用資産は128兆円と過去最大。
当然ながら、海外のインフラには多少の紐も着くと見れば、まだまだインフラの芽は大きい。
一方でノルウェーなどの「政府ファンドは日本株買い」。
1年前からはほぼ倍増したという。
足元の日本株に見向きもせずに海外を目指す公的年金。
この国の経済成長に期待を持つ海外資金。
青い鳥を見つけられずにまだ羽ばたこうとする構図は結構面白い。
一番大きかったのは予算案が異例の早さで衆院を通過したこと。
これで手かせ足かせがなくなり安倍首相は重要政策に軸足を移せるとの解釈。
3月のエネルギー基本計画、6月の新成長戦略と骨太の方針が目玉になろうか。
今日発売の週刊誌の見出しは「乗り遅れるな!3月末『日本株売り』が始まる」。
サブ見出しは「アベノミクス大急転!勝負のときが来た」。
逆転アノマリーになって欲しいもの。
ミクシイが増資を発表してストップ高。
63億円の増資を行いスマホ向けゲーム事業を拡大するという。
解釈は「課金収入が増加し、業績拡大する」。
これが本来の解釈だった。
希少例かも知れないが、
これで少しは増資=1株当たり利益の希釈解釈優先の慣行が崩れるだろうか。
ウォーレン・バフェット氏は3時間のインタビューでこう言っていた。
「投資家がやってはいけないことのひとつは、ウクライナでの事件のような世界のイベントで
投資判断をしないこと。
私はまだ株を買うつもりだ。
2つ目は株が下がったときも気分を悪くしないこと。
3つ目は株から利益を得ようとする専門家になるなということ。
4つ目は短期的な利益を求めるなということ。
最後はビットコインに長期間資産をおかないこと。
あれは大昔のチューリップバブルのようなものだ」。
自己礼賛と言うべきか大局観と言うべきかは不明だが、首肯できる。
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