02月1週
今週の相場感
【推移】
27日(月):「上がれないのなら下がる、しかし永遠に下がらないのが株価」。所詮この繰り返しなのだが、解釈が一方通行になるから困りもの。興味深いのは日経でも指摘されていた空売り比率の上昇。24日金曜は30.5%と前日比0.2ポイント上昇し3日連続で30%超え。5日移動平均は30.2%で2012年9月以来の水準。30%を超すと株式相場が「陰の極」に達したサインとされるとの解釈。どこまで続くかというのが興味の対象。日経平均株価は385円安の15005円と3日続落。週明月曜は今年3連敗となった。T&D,クボタ、商船三井が下落。大林組が逆行高。
28日(火):遠回りな悪材料湧出での株価下落。市場の解釈も遠回り。スタートは中国の景気後退を懸念しての株安。でもお膝元の上海総合株価指数はほとんど下がらなかった。こちらの本質は、シャドーバンキングの行方だろうがなかなか登場はしてこない。そういう意味での遠回り。あるいはアルゼンチンやトルコなどの通貨や株価の下落。こちらの本質はこれら新興国の赤字が海外資本で穴埋めされてきたということだろう。これらを含めての世界同時株安状態。「リスクオフ」というわかったようなわからないような遠回しな言葉で解釈され、安全通貨の円が買われるというところまでは、何とか理解の範疇。でも、それ以上のNY株の下落や東京株式の下落はどうして?という素朴な疑問が生じている。安全資産としての円を買うのなら、それに伴う輸出産業のマイナス面はあるにしても、叩き売りのような状況は極めて不可解な現象。もっともらしい解釈はバロンズ誌の指摘だろうか。「グローバル市場が下落した場合、トレーダーは最もさげているものを売却しようとするが、実際には最も良いものを売らなくてはならない。最も下げているものには買い手がなく、最大安全資産のキャッシュをつくるためには売りたいものではなく、売れるものを売らざるを得ない」。この投資行動の解釈がなかなかできないから、堂々巡りの悪材料を刹那的に解釈するということなのかも知れない。いつの相場もきっとその本質はその相場の蚊帳の外が多いもの。日経平均株価は25円安の14980円と4日続落。日立、ソニーが下落。ゲームのスクエニやコーエーテクモ、鳥インフルエンザ関連で大幸薬品が上昇。
29日(水):日経1面では「KDDI最高益」の見出し。「今期連結営業利益は660億円程度と前期から3割増え、会社側の従来予想を300億円程度上回りそうだ」。スマホが牽引し、前期比拡大基調の印象と前日は外資系証券の投資判断の引き下げ。ファーストリテやファナックでは物足りず、KDDIとソフトバンクが獲物になったのだろうか。先物が先なのか、レーティングが先なのかは不明。今年になってからの曜日別の騰落は月曜3敗、火曜1勝3敗、水曜4連勝、木曜3敗、金曜1勝3敗。水曜の破竹の4連勝、そのうち2回は高値引け。圧倒的な強さとなった。しかし、目先的に考えれば「月曜カイ→水曜ウリ」あるいは「水曜ウリ→木・金・月曜カイ」。圧倒的上昇日ながら、投資心理は売り目線の勝ちだった。日経平均株価は403円安の15383円と5日ぶりの反発。上昇幅は昨年9月以来の大きさ、いすゞ、日野、三菱重工が上昇、逆にSMKはストップ安。
30日(木):FOMCは債券購入額を月額で100億ドル減らし、計650億ドルにすると決定。大方の予想通りの結果なのに株価は下落という奇妙な現象。しかも為替は一時101円台。金融緩和の縮小継続=お金ジャブジャブ減少→米金利上昇→日米金利差拡大→円安。これが常識的なシナリオ。それでも円高トレンドということはつじつまが合わないことこの上ない。米金融緩和縮小→新興国からの投資マネー引き上げ→リスクオフ→安全資産・通貨選好。 この解釈なのだろうがいささか苦しい。明るいニュースは万能細胞作成がマウスで成功したこと。弱酸性の溶液に入れることがミソだったという。注目すべきは売買エネルギーの拡大。東証1部の売買代金は3兆222億円、売買高は30億4108万株。売買エネルギーは上げで衰退、下げで拡大傾向。「売買エネルギーが盛り上がらなければ株価は上昇しない」というのがセオリー。ということは、ここ数ヶ月は、セオリーの通じない状況。本来の「売買エネルギー拡大→株価上昇」に戻れば指数は高値を取りにいくのだろう。 日経平均株価は376円安の15007円と反落。好業績観測のトヨタが売られ6000円割れ。新日鉄住金が逆行高。
31日(金):日経1面では「日立23年ぶり最高益」の見出し。経済面では「みずほ、6年ぶり増配、最高益も視野」「新日鉄住金の収支改善、利益率で韓国ポス子逆転」というのもあった。前日は「トヨタ6年ぶり最高益」だった。周囲の雑音をかけはなれて市場環境を眺めてみれば、重厚長大企業の復活感。20年もリストラを続けてきたのだから、復活しない方がおかしい。一番明るかったのは一休の森社長。「消費税が3%上がる4月から従業員も3%のベースアップを実施する。海外からの訪日客で5月の連休以降は消費増税の影響はなくなる」。そして「来期も増収増益でいける」だった。日経平均株価は92円安の14914円と続落。新日本化学、富士通。マンダムが上昇。一方ショーワ、東芝、フォスターが下落。
(2) 欧米動向
懲りない面々というか、脚色の好きな連中と言うか・・・。中国HSBCの製造業PMIだけではもの足らなかったらしい。米国の金融緩和縮小をネタに、新興国からの資金流出の可能性を懸念。小国通貨の下落をネタに為替と株を組み合わせたベアシナリオを創作。残念ながら見事な演出となった。しかし材料視されたのはアルゼンチン・ペソとかトルコ・リラなど。片隅マーケットの経済が世界経済全体にそれほどの影響力があるのかどうかは疑問。針小棒大に騒いで、踊るという大袈裟な傾向はいつものこと。「株価は上がり続けないし、下げなければ上がらない」。この法則に従っただけとの見方もある。事の本質のひとつは「経済の成長、企業利益の成長はどうか」という命題。もうひとつは「マネーの供給は順調かどうか」という命題。周囲の雑音にかき乱されるとココが見えなくなるから困りもの。ダヴォスではUBSの会長氏が「欧州で実施される銀行へのストレステストは銀行に対する懸念を一部で再燃させる可能性がある」とコメントしている。本当は金融機関と金融規制当局の不毛の争いの再燃を防ぐため。あるいは、金融規制当局に対する一種のブラフといえなくもない。もっともブラフにしては、大掛かり過ぎるが、結果的にはいつもの流れでしかなかろう。
(3)アジア・新興国動向
中国は春節で休場。新興国からのマネーの逃避は折に触れて話題にされようか。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
31日(金)バーナンキ議長任期満了、個人所得、シカゴ購買部指数、ミシガン大学消費者信頼感、中国春節
週末:中国製造業PMI、米スーパーボウルNFL勝利株高のアノマリー
3日(月)節分、自動車販売台数、米1月ISM製造業、建設支出
4日(火)1月マネタリーベース、米製造業受注
5日(水)米ADP雇用統計、ISM非製造業景況感
6日(木)都心オフィス空室率、米貿易収支、ECB理事会、ドラギ総裁会見
7日(金)景気動向指数、リッツカールトン京都開業、1月雇用統計、ソチ五輪開幕、米債務引き上げ上限延長期限、
週末:都知事選挙
2月の日経平均13勝11敗勝率54.2%4位
「3日新甫は荒れる」と言うアノマリーもある
02日(日)金星順行開始
07日(土)水星逆行開始
14日(金)バレンタインデーは上げの特異日
15日(土)満月
17日(月)米国休場
20〜21日 東証IRフェスタ
「テクニカルは過去から未来を推測できるという願望。
ファンダメンタルズは現状から未来を推理しようとする努力」。
なかなか言い得て妙だと思う。
しかもこの両者がお互いに交わらないから面白い。
グリコのおまけのように業容や業績を扱うチャーチスト。
数本の線に固執して、業績など見る間も少ない。
一方でこちらも話題の最後に取ってつけたように罫線を扱うファンダメンタリスト。
この両者の縄張りというのが歴然としている。
信用評価損益率はマイナス3.84%と前週(マイナス2.66%)比1.18ポイント悪化。
とはいえ、まだマイナス3%台で決して悪くはない。
裁定取引買い残は前週比2017億円減少し3兆5213億円。
週連続減少し昨年11月8日来の水準。
当時の日経平均は14086円、TOPIXは1176ポイント。
裁定買い残よりも株価指数は割高推移ということになるのだろうか。
1週間のうちに安心して1日を過ごせるのは水曜しかないというのも異常な世界。
下げの連続に遭遇して市況解説をしている市場関係者。
毎週下落が続くと知らずにネガになってしまうだろう。
同じ相場を見ても、上げの解説をしている人と逆の立場では180度感じ方が異なる。
ここが相場の面白い点なのかも知れない。
ある人にとってはこよなく良い相場でも、ある人にとっては史上最悪ということがあり得る。
百人百様だから市場は困りものとも言える。
上げ下げのつづらおりに遭遇しているときは、基本に戻ってしまうことも必要かも知れない。
例えば「逆ウォッチ曲線」。
言葉は難しそうだが、株価と出来高の関係を折れ線グラフにしたもの。
古典的な指標で出来高の増加が株価上昇にシナリオという固定観念から発生したもの。
最近は、株価下落=出来高増、株価上昇=出来高薄の構図だから、すこし古いかも知れない。
それでも基本やイロハのイはこういうときに抑えておきたいもの。
株価と出来高の25日移動平均を用いるのは一番良いだろうか。
まずは買いの法則
(1)株価は底値圏で横ばい、出来高は増加=買い
(2)株価が上昇しながら出来高も増加傾向=買い
(3)出来高は横ばいだが株価は上昇継続=買い
(4)株価は上昇継続だが、出来高は減少=買いは見送り、売りも考える。そして売りの法則が買いの逆
(1)株価は高値圏で横ばい、出来高は減少=売り
(2)株価が下落しながら出来高は減少傾向=売り
(3)出来高は横ばいだが株価は下落継続=売り
(4)株価は下落継続だが出来高は増加=売りは見送り、買いも考える
こういう古典的手法でマーケットを語れた時代は良かったというのが実感。
でもいつかは基本に戻る日があるに違いない。
ところで新興企業の見つけ方の一考。
IPO企業の場合、上場から1ヶ月程度は市場も幹事証券もマスコミもチヤホヤ。
しかし2〜3ヶ月程度経過すると落ち着いて静かになっていくのが定石。
だから株価が低迷しやすい時期。
上場のスケジュールと企業業績はリンクするものではない以上、
時間が経過しても企業の中身に変化はない筈。
そのタイミングで有望企業を発掘することは結構できるのではなかろうか。
トコロテン式IPOスケジュール投資法とでも言えば良いのだろうか。
日経朝刊の業績観測記事の傾向調査。今年にはいってからの記事と、実際の決算発表とのタイムスケジュールを図ってみるのも良いかも知れない。
(31日)1面「日立23年ぶり最高益」企業総合「シャープ営業黒字1000億円」財務「伊藤忠、純利益14%増」「川重、営業益630億円に」
(30日)1面「トヨタ6年ぶり最高益」企業総合「郵船、経常益3倍」「三越伊勢丹が最高益」
(29日)1面「KDDI最高益」企業総合「日航、営業益18%減」
(28日)1面「新日鉄住金、経常益2600億円」財務「ヤマトHD,営業益3%減」「住友商事、純利益2400億円、実質上方修正に」
(27日)1面「富士重工、いすゞ、日野自、海外好調で最高益」
(25日)企業総合「OLC,営業益最高1000億円」財務「アドテスト200億円赤字」「ANAHD、4割現役」
(24日)王子HD営業益12%増」「日触媒、営業益34%減」「サイゼリア、アジア部門営業益2.8倍」
(23日)財務「富士フィルム、5割増益」「ミネベア、営業益2.2倍」「一休、最高益に」
(22日)企業総合「花王、苦戦の中国15年黒字へ」財務「HOYA、実質2割増益」「ディスコ、営業益3割増」「三井金、経常益36%増」「フランスベッド、インテリア事業部門営業益2.6倍」「フジシール、最高益」
(17日)財務「TDK営業益150億円
(16日)財務「ユニチャーム、営業益最高」「Uアローズ、5%減益」「リンテック、経常益3割増」「ペプドリ営業益2億円に拡大」「オーデリック、営業益最高」
(15日)財務「グリー、営業益80億円」
(11日)財務「東レ、営業益3割増加」「東洋電の経常益、6〜11月2.5億円」
(10日)財務「日立建機、営業益4割増」
(09日)財務「旭硝子、営業益23%減」「コムチュア最高益」
(08日)財務「アサヒ営業益1220億円」
(07日)財務「不二越、純利益46%増」「サッポロHD、前期営業益150億円」「4℃HD最高益」「共立メンテ、寮事業が最高益」