11月4週
今週の相場感
(2) 欧米動向
NY市場で気を吐いたのがカール・アイカーン氏。 著名な投資家のひとりである。 NYにはこの「著名な投資家」とか「教授」とかが出没することが多い。 コメントは「株について非常に懸念している。大きな調整があるかもしれない。 企業利益は経営陣の力からではなく、低金利によってもたらされている」。 確かにS&P500は6週間連続上昇。 4年にわたる上昇期間でのバッケンレコードは7週間。 その意味でアイカーン氏のコメントは時宜を得ていた格好。 もっとも・・・。 多分にポジショントークの匂いも漂うが・・・。 怪しげなのが仮想通貨のビッドコインの連日の史上最高値更新の動き。 ネット上の仮想コインに人気が集まる動きはかつてのチューリップのような雰囲気もある。 市場では「最近は中国でも人気。実態もフェアバリューもない」との指摘。 週刊新潮までが「米国で何でも買えるビッドコインとは」の記事を掲載。 面白い動きである。 バブルのようでバブルでない動きも指摘される。 例えばS&P500のPERは17倍台。 ネットバブルの2000年には30倍水準まで買われたことからすればバブルでない。 今年NYダウ、NASDAQは20%台、S&P500は30%台の上昇。 アノマリーは「米株価指数が年間25%上昇した年の翌年はせいぜい10%程度の上昇」。 直近では02年〜03年に年間25%上昇し翌年はダウが3.88%、 S&Pが9.36%だった。 「翌年は下落」のアノマリーでないところがミソだろうか。

11月第4週からはもう「サンタクロースラリー」の時期。 その最初は感謝祭アノマリー。 感謝祭前の水曜日(27日)から金曜日(29日)の株高アノマリー。 1988年から2012年までの25年のうち15回上昇。 平均上昇幅は598ドルという。 ということはニューヨーカーにとって感謝祭前は買いの感覚があろうか。 興味深いのは金融当局に従順なJPモルガンと対決姿勢のGSだろうか。

(3)アジア・新興国動向
中国動向も多少話題にならなくなってきた印象。先進国市場の堅調は、新興国へのマネーの流れを少し押し留めた格好なのだろう。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
25日(月)米2年国債入札
26日(火)企業向けサービス価格、米住宅着工件数、ケースシラー住宅指数       消費者信頼感、5年国債入札
27日(水)米耐久財受注、CB景気先行指数、
28日(木)商業販売統計、イタリア国債入札、米感謝祭で休場
29日(金)失業率、有効求人倍率、家計調査、消費者物価、鉱工業生産、       米ブラックフライデー、インドGDP
いよいよブラックフライデー。
11月末株高のアノマリーになろうか。

マーケットは移ろう心理の戦の場。 過去の需給や現在進行形としての業績動向、そして紙芝居の罫線などは所詮昨日までのもの。 ほとんど言及されることはないが、本当に大切なのはきっと心理のべクトル。 明日がまぶしく輝いているのか暗く沈んでいるのか。 ということは世相がどちらを向いているのかに大きく左右されるということ。 ところがこの世相というものは簡単には説明できないものだから滅多に話題にはならない。 誰が買ったとか売ったとか、どの業者がああだこうだ、裁定残が心配だ、消費増税が上がるから、年末までの益出し売り。 それに付随して、もしも為替が円高に戻ったら、あるいは原材料高が圧迫感などなど。 未来を語る悪材料は、いつも過去を消してくれる好材料を凌駕している 20年以上慣れ親しんできて心地良さの残る「やっぱり」の諦念を持ち出して説明する方がきっと楽なのだろう。 「過熱感からの警戒感」という言葉を免罪符にして「だから言ったでしょ」と後から振り返るのは簡単なこと。 「今そこにある果実」なのか「今そこにある危機」の別れ道。 今に始まったことではなく、永田町も兜町も常にこの二者択一に遭遇し、そして多くの場合間違ってきたのが歴史。 そして多数派の相場観はたいていは少数派の相場観に負けてきたのも相場の歴史の一部。 負けシナリオの多くが多数派意見だからいつまで経っても市場解釈が稚拙なのかも知れない。

為替相場と株式市場の微妙な絡み。 黒田日銀総裁の「政策余地」発言で101円台。 「円安株高」論がまた台頭してきた。 興味深かったのは大和のコメント。 「過去1年のドル円相場では日米実質金利差の1%拡大で3円弱の円安効果がある。 米国株PERの1倍上昇で8円ほどの円安効果があった」との指摘。 ということは米国企業の業績向上は円安効果につながることになる。

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