9月4週
今週の相場感
(2) 欧米動向
興味深かったのは日経の「国際融資、邦銀が首位」の見出し。
BISの発表では国際金融の世界で日本勢が首位になったという。
背景は新興国への融資拡大。
2013年3月の残高ベースのシェアは13%。
米国が12%、ドイツが11%。
BISの分析は「邦銀の復活」。
89年の39%には及ばないもののプレゼンスは少しずつ増してきた格好。
これで債券運用偏重主義から脱してくれればさらに良いのだが・・・。
一方でFRB議長を辞退したのがサマーズ氏。
20年近く前にあった時から傲岸不遜な印象を抱いていたが、やはり敵の多さは拭えなかったのだろう。
というか、所詮円満な姿勢などもともと無理な人間像と解釈した方が良いのかも知れない。
金融緩和消極派だから、QE3の早期縮小→日米金利差拡大→円安というシナリオは崩れた。
しかし、金融緩和中立派のイエレン氏であれば早期金融緩和縮小観測後退→金余り継続→NY株高傾向のシナリオ。
大した違いはなかろうという市場関係者も多いが、白黒をつけたがるから厄介なもの。
08円9月12日から一番上昇した株価指数はフィリピン総合指数。
上昇率は先週までで125.8%。
次にインドネシア・ジャカルタ、タイ総合、トルコBIST100と続く。
その次が米国NASDAQ総合指数で上昇率61.9%。
ドイツDAXは上昇率32.7%。昨日過去最高値を更新した。
米S&P500指数が32.2%、NYダウが30.7%。
日本は日経平均こそ13.5%のプラスですが、TOPIXはマイナス2.5%。
マイナスとなっているのはアイルランド、フランスCAC、スペインIBEX、
オーストリアATX、ポルトガルPSI、イタリアFTSEMIB、
ギリシャアテネ総合とTOPIX以外は欧州の株価指数だけ。
上海総合ですらプラスの2.9%だから日本株復活なんて言ってもほとんど実感は伴わないもの。
5年もの時間を使って、それでも回復できていないのが東京株式市場の現状。
TOPIXは年初から33.5%上昇していますが、それでもまだまだ世界には及ばない。
この感覚と現実の乖離こそが、株価指数のギャップそのものなのだろう。
年初から3割上がったところで5年前の水準は回復できていない現実。
日経平均はほぼ四半世紀前の水準を回復できていない現実。
(3)アジア・新興国動向
週明けの中国HSBC製造業PMIが波乱材料か。もっともFRBの金融緩和縮小先延ばしは新興国市場では好感された格好。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
週末:ドイツ連邦議会選挙
23日(月)秋分の日で休場、シカゴ連銀活動指数、中国HSBC製造業PMI
24日(火)米消費者信頼感指数、ケースシラー住宅指数、2年国債入札、独IFO景況感、
25日(水)企業向サービス価格、米新築住宅販売、耐久財受注、5年国債入札
26日(木)米4〜6月GDP改定値、7年国債入札
27日(金)消費者物価指数、米個人所得、イタリア国債入札、中国工業利益、
先週末の裁定買い残は2216億円増加して3兆4242億円。
メジャーSQに向けて1兆円あまり減少したのが6月。
その後株価は低迷したが、今回は都合5000億円あまりとはいえ増加。
SQに向けて裁定買い残が増加したということは12月メジャーSQまで相場は強いと読みたいところ。
市場では「裁定残が重い。信用残が重い。だから上値が重い」と訳知り顔の解釈。
「需給の重さは株価が解消する」ということは理解できないのかも知れない。
一方で、信用の評価損率は4.38%も改善しマイナス6.56%。
それでも「重い」のかどうか。
需給や紙芝居だけ相場を図ると間違えやすいもの。