8月2週
今週の相場感
(2) 欧米動向
25年以上「バーブレーション分析」で変動を予測してきたロバート・モロー氏。
毎日の終値を使ってS&P500指数を分析しているという。
その結果は「近日中にベアマーケットがやってくる」。
今年の初めに同氏が予測したのは「S&P500は今年6回の下落を見る」。
第1回目は6月20日で1598ポイントまで下げると予測したが、その日のS&P500は1588だった。
あと5回残っていることになるが、次回の調整のメドは1592という。
バロンズ誌のコメントは「しぼれるほどの下げではない」となっているが・・・。
倒れそうで下げないNY市場の最近のニックネームは「ゾンビ相場」。
一方で世界に関係なく大幅に下げる最近の東京市場は「怪談相場」。
単に欧州系ブローカの自己売買部門の撤退の影響であるならば、
それこそ「怪談」ではなく「枯れ尾花」なのだが・・・。
オバマ米大統領の来日は春の予定。
2010年11月以来3年も半ぶりのことになる。
解釈は「安定した政権とは話が出来る」。
それほど信用されていなかったのだから日米関係からいえばねじれ解消は悪くない筈。
春には何らかのおみやげ期待となるのだが、たぶん同時に中国も訪問する予定。
となると、まだまだ綱引きは続くということだろうか。
(3)アジア新興国動向
木曜の東京株式上昇の背景は中国の国家統計局発表のPMIが市場予想の48を上回って50.3で着地したこと。解釈は「中国景気への過度な懸念が後退する形に」。しかし日経1面の特集「変調中国」でも指摘されているが、シャドーバンキングの弊害はあまりにも軽視されている。ある市場関係者の指摘は「リーマンショックだった数年間は『大丈夫』と言われて最後の最後に現実化した。本当に重要なこと、あるいは本当に危険なことは、最後まで『大変』とは言われないのが市場の歴史」。このことは忘れてはいけないところ。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
5日(月)米ISM非製造業、米国議会夏休み(〜9月6日)
6日(火)景気一致指数、米貿易収支、3年国債入札、豪準備銀行理事会
7日(水)日銀金融政策決定会合(〜8日)、米消費者信用残高、10年国債入札、独鉱工業生産
8日(木)日銀黒田総裁会見、貿易収支、都心オフィス空室率、景気ウォッチャー調査、米30年国債入札、中国7月貿易収支、ラマダン明け
9日(金)オプションSQ、7月マネーストック、米6月卸売在庫、中国各種経済指標
米国債の入札と週末のオプションSQにむけてのポジション推移というところだろうか。
北半球は夏。
バケーションの週でもあるが・・・。
多少の変化を感じたのが三井住友FGの決算。
三井住友銀行は多額株式売却益を計上しましたが
一方で国債の保有残高も3月末の20.7兆円→6月末11.5兆円と9.2兆円減少。
金融機関が株を売ってきた歴史は継続しているが、国債まで減らしたのは先駆者的な存在。
この流れに他社が追随するのかどうかという課題が登場してきた印象。
「やはり債券の方が」という声と「債券よさようなら」という声の葛藤。
「いつまでもあると思うな低金利と金」という流れの先駆けになってくるのかも知れない。
わずか1日の相場の動向の違いが月足陽線と陰線の分かれ目。
価格にすればたかだか300円程度の違いであって大したことはない。
しかし陽線と陰線では風景は違う。
しかも7月は月末にかけてどうしても売りたかったのだろうという印象。
市場関係者は「外国人のせいにしているけど、実は国内金法じゃないの?」との指摘。
確かに先週の裁定買い残は499億円だけ減った。
そして先週の外国人投資家は8週間ぶりに509億円の売り越しとなった。
前週の2513億円の買い越しから見れば確かに売りには転じた。
しかし生損保113億円、信託銀行715億円、その他金法78億円の売り越し。
銃弾は前方向からやってくるのではなく、後ろから襲い掛かってきている印象。
それにしても「あと一歩で届かず」というのは高校野球の地方大会決勝で頻繁に目にすること。
甲子園に出場するとしないでは大きな違い。
その意味では月末の下落と月初の反発も大きな違いに映ってならない。
結論は「7月中に株を処分しておきたかった向きがいた」。
需給だけから言えばそういうことになる。
8月。
陰暦では葉月。
語源は「葉落月(はおちづき)」という説が有力。
穂張月(稲穂が張る月)という説や「黄葉の月」や「初来(初めて雁が渡来する月)という説もある。
昨年は月足陽線でその後9ヶ月の連続陽線のスタートとなった。
しかし過去2年は月足陰線。
09年は陽線だったがその前2年も月足陰線。
最近は負け戦のつきの印象が強い。