3月4週
今週の相場感
(2) 欧米動向
「DOW15000」という表紙の今週号のバロンズ。
ペンシルバニア大学のジェレミー・シーゲル教授の分析。
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資産価値の上昇率がインフレ率よりも低い状況下で
経済学は実質上昇率と名目上昇率を区別するべき。
NYダウが07年10月につけた史上最高値を更新するには
15651ドル80セントを越える必要がある。
NYダウは名目ベースの新高値を更新したが、過去5年のパフォーマンスは平均以下。
これは強気派にとって良い兆候。
過去5年間の平均を下回るパフォーマンスの後には
その後2年は過去5年の平均を上回るパフォーマンスが続いているからだ。
これは1871年以降142年間の相場動向分析の結果。
この傾向で第二次世界大戦後最高のパフォーマンスは1975〜76年。
NYダウは29.5%上昇。
これを3月5日の終値から推測するとNYダウは今後2年で23904ドルに達する計算。
木曜の日経に登場していたあのNY大学のルービニ教授。
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「問題はすぐには露呈しない」。
米著名エコノミストのノリエル・ルービニ氏は先月末、
日本国債の急落を恐れる投資家に助言した。
国債は国内で消化しており、海外マネーの逃避で機器に陥った南欧諸国とは一線を画している。
あの恐慌論者の教授がどうも最近宗旨替えをしたような印象。
正月のFT紙への寄稿では「債務上限の延長は2ヶ月延長したが所詮一時しのぎ。
2ヶ月後に再びアメリカ国民を巻き込んだ一大エンターテイメントがあれば、
国民は爆発するのではないか」。
しかし爆発などどこにも起きていない。
先日の日経電子版では「ルービニ氏でさえ、ダークサイドでなくなってきた」。
「ルービニ氏悲観派の代表であり、"破滅博士"とさえ呼ばれてきた。
そのルービニ教授が、ネットで公開した自身の論文で
『ユーロ崩壊の危機は目覚ましく後退した』と書いたからだ。
テレビの経済番組に登場してのコメントは『FRBの緩和政策によって、
目に見える限りでは米国株にとっていい状態が続くだろう』と語り、
やはり楽観的な姿勢を見せたと市場で話題になった」。
面白かったのは以下のくだり。
「実のところ、ルービニ教授の楽観論も『目に見える限りでは』との条件付きだ。
ファンダメンタルズの改善による資産高でなく、
いまは"見えていない"リスクがあるとして教授自身が5つ並べている。
(1)米国で始まる歳出の強制削減の影響
(2)通貨ユーロが内包する構造的な欠陥
(3)個人消費中心の成長に移行しきれない中国の失速
(4)経済減速で直面する国家資本主義の限界
(5)深刻な地政学リスクと原油高
もしこの先、下振れリスクが再び表面化する場面があれば、
『だから指摘したのに』と、また悲観派の顔として映り直すに違いない」。
(3)アジア新興国動向
キプロスが課題となってきている。
100億ユーロ(130億ドル)を支援する代わりに、10万ユーロ超の預金に預金額の9.9%、それ以下の預金に6.7%の課徴金を課す内容。キプロスではATMから預金を引き出す動きが拡大。ATM内の現金は数時間で枯渇し電子送金は停止。ギリシャやイタリアでは事足りず、今度はキプロスを持ち出してきたという印象。
【展望】
18日(月):米NAHB住宅市場指数
19日(火):白川日銀総裁退任、半導体BBレシオ
20日(水):春分の日で休場
21日(木):貿易統計、JPタワーの「キッテ」開業、東京国際アニメフェア(ビックサイト)、米中古住宅販売、CB景気先行指数、BBレシオ、中国HSBC製造業PMI
22日(金):独IFO景況感指数
株価が上昇するためにはお金が潤沢に出回っていることが必要。
だからアベノミクスでも日銀の役割を重要視している。
株式市場を単純な構図にすれば、
お金があれば上がるしお金がなければ下がるというもの。
昨年2月14日に白川日銀総裁は、バレンタインプレゼントのような金融緩和策を発表。
市場の期待は高まり株価は上昇した。
しかし3月27日を天井としてほぼ半年間の低迷。
ツジツマが逢わない現象となった。
これを通貨供給量であるマネタリーベースから見てみると・・・。
2012年1月15%、2月11.3%と順調な伸び。
しかし3月マイナス0.2%、4月マイナス0.3%と減少。
言葉と実行が裏腹などと揶揄されたが、
まさしく金融緩和といいながらお金は絞っていたということ、
株価が当然の失速だったと考えられよう。
その後1ケタ台の伸びが継続して、株価は横ばいで推移。
9月が9%、10月が10.8%、11月が5%まで落ち込んだ。
ここ3ヶ月は12月11.8%、1月10.9%、2月15%と2ケタの伸びが継続。
株価も上昇基調。
マネーが順調に供給されることで株価は上昇するもの。
単純にマネタリーベースをただ眺めるだけでもシナリオは出来てくる。
米投資雑誌バロンズの最新号では「オバマラリー」との指摘。
オバマ大統領の09年以来の在任期間中に大半のポートフォリオが随分と
価値を増しているというのが現実。
S&P500指数は先週火曜日までに91.2%も上昇。
この記録に近いのはクリントン大統領の就任後1505日で85.1%だったという。
今考えてみて興味深いのは09年3月5日のオバマ大統領の演説に「株を買うチャンス」とちりばめられていたこと。
S&P500は当時682ポイント、それから4日後に底を打って反転。
市場最高値まであと数ドルの水準になる1500ポイント台まで上昇した。
ワシントンとウォールストリートの素敵な関係だったとい言えるのかも知れません。
一方、永田町では2月初めに甘利大臣が「株価は期末に13000円を目指すくらいの気概が欲しい」と遠回りなコメントを発していた。
それでもあと3週間で13000円が狙えそうな水準まで来ている。
「冬のあとは春」という常識がここでは通用して欲しいもの。