《マーケットストラテジーメモ》12月2週
【推移】
10日(月):
週末のNY株式市場は大幅安。ハイテクセクター中心に売り物優勢の展開で主要株価指数は2%を超す下落となった。週間では3月以来の大幅な下落。ナバロ通商製造政策局長のコメント。「米中が90日間の交渉期間内に合意できなかった場合は、米政府は関税の引き上げに動く」。これを悪材料視し米中の貿易関係に対する懸念が高まった。「米中貿易摩擦や米金利に対する懸念が市場の動揺につながった」との解釈だ。
日経平均株価は459円安の21219円と大幅反落。10月29日以来の安値水準に沈んだ。先週末のNY株安を嫌気し終始売り物優勢の展開。ただ後場の値幅は狭かった。
内閣府が発表した11月の景気ウオッチャー調査では、景気の現状判断DIは51.0と前月比1.5ポイント上昇。2カ月連続で上昇し横ばいを示す50の水準を11カ月ぶりに上回った。企業動向関連、雇用関連、家計動向関連の全てでDIは上昇が市場へのインパクトはなかった。新高値4銘柄、新安値425銘柄と急増。
TOPIXは1600ポイント割れ。ザーズ指数は5日続落。日立、ZOZOが上昇。パイオニア、ブレインPが下落。
11日(火):
週明けのNY株式は大幅安の後に4日ぶりの反発と目まぐるしい動き。英メイ首相がEUからの離脱案の議会での採決を見送り。原油相場の反落も悪材料となりNYダウは一時500ドル程度下落した場面もあった。引けにかけては一時3%程度下落していたアップルなど主力株の一角が持ち直したことから短期的な戻りを期待した買いも巻き込み反発。
「NYダウやS&P500など主要な株価指数が4〜5月の取引時間中の安値を下回らなかったことを好感した」との見方だ。NYダウは前週末までの3日続落で1400ドルあまり下落。「短期的な相場の戻りを見込んだ買いが相場を支えた」という声もある。
日経平均株価は71円安の21148円と反落。3月28日以来8ヶ月半ぶりの安値水準となった。相場を下支えしたのはアジア市場の落ち着きと日銀のETF買い観測。TOPIXは続落し年初来安値を更新。年初来安値更新銘柄は600.ソフトバンク、ソニーが上昇。ファナック、トヨタが下落。
12日(水):
NYダウは寄り付き直後に300ドル超の上昇がありながらも一時200ドル程度下落した場面もあり小幅反落。ボラの高い展開は継続した。「米中通商協議を巡る楽観と悲観の交錯。英国の政局不安とFRBの利上げの早期終了観測が圧迫要因」という見方だ。
トランプ大統領は朝方「中国とは極めて建設的な対話が行われている。重要な発表に注目するように」とツイート。これを受けた株式相場は昼前まで堅調に推移した。
ちゃぶ台返しの背景はやはりトランプ大統領。「メキシコとの国境の壁建設費用は民主党と11日に合意に至る可能性は低い」との見方を示した。「望むものが得られなければ、連邦政府機関を閉鎖する」。ホワイトハウスで民主党幹部との会談はテレビカメラの前で激しい言い合い。一部の連邦予算の期限が切れる21日までの合意がクローズアップされた。
日経平均株価は454円高の21602円と大幅反発。11月2日以来の上昇幅となった。カナダの裁判所が中国ファーウェイの副会長保釈を認めたと伝わり、米中の緊張緩和を期待した買いが幅広い銘柄に入った。ドル円の113円台半ばでの推移も追い風。ソニー、ファーストリテが上昇。ユニー・ファミマ、SOMPOが下落。
13日(木):
NY株式は取引終了前に失速し高値からは押し戻される展開。トランプ大統領は「中国との通商協議はすでに電話会談で行われている」とコメント。また中国は12日に50万トンの米国産大豆を購入。米中首脳が今月1日に通商戦争休戦で合意してから初めての大規模な購入となった。英国のメイ首相が保守党の党首信任投票で信任されるとの見通しからポンドは上昇。
結論は信任で着地。イタリアのコンテ首相は2019年予算案を巡る財政赤字の対GDP比率目標について、当初案の2.4%から2.04%に引き下げた。
日経平均株価は213円高の21816円と大幅続伸。NY株の上昇を、受けて買い物優勢の展開。コマツ、武田薬が上昇。ドーム、ソフトバンクが下落。連続日足陽線は達成。
14日(金):
NY株式市場は値動きの荒い展開で終値は小幅にマチマチ。NYダウは200ドル以上上昇した場面とマイナス場面が同居し結局小幅上昇。NSADAQとS&P500は小幅安。ディフェンシブセクターが買われ金融株・一般消費財セクターが軟調展開。材料の中心は米中貿易摩擦で「午前は楽観。
午後は楽観後退」という声が聞こえる。3市場の売買高は75億株と減少。日銀短観は通過。企業の景況感を示す業況判断指数(DII)は大企業・製造業がプラス19。9月調査のプラス19から横ばいだった。12月メジャーSQ値は21618.88円。
日経平均株価は441円安の21374円と3日ぶりの反落。5日移動平均(21432円)も3日ぶりに下回った。シカゴ市場で米株価指数先物が急落したことから下落幅を拡大。中国の工業生高が市場予想を下回ったことから上海総合指数やハンセン指数などアジアの主要株式指数が軒並み軟調に推移したことも悪材料視。
東証1部の売買代金は3兆1637億円。フィルム、大日住友薬が上昇。ソフトバンク、東エレが下落。日経ジャスダック平均と東証マザーズ指数が3日ぶり反落。マザーズの下落率は2%に迫った。騰落レシオは82%台に低下。
(2) 欧米動向
11月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が15万5000人増と前月の23万7000人(改定)から鈍化。
市場予想の20万人増を下回ったことから「2019年の利上げ回数が少なくなる」との見方につながった。
時間当たり平均賃金の伸びは前月比0.2%と前月の0.1%から拡大。
ただ市場予想の0.3%に届かなかった。
失業率は3.7%と、49年ぶりの低水準を継続。
S&P500採用企業の第3四半期決算は、前年同期比28.4%の増益見通し。
エネルギーセクターを除いた増益率は25.0%の見込み。
これまでに第3四半期決算を発表した500社のうち、利益がアナリスト予想を上回った企業の割合は77.2%。
長期平均の64%を上回り、過去4四半期平均の77%をやや上回る水準。
第3四半期の売上高は8.6%増加の見通し。
エネルギーセクターを除けば、増収率は7.4%の見込み。
売上高がアナリスト予想を上回った企業の割合は61.6%。
長期平均の60%を上回ったが、過去4四半期平均の73%は下回った。
第4四半期の1株利益について、悪化もしくは市場見通しを下回ると予測している企業は68社。
改善もしくは市場見通しを上回ると予測した企業は47社。
悪化を改善で割ったネガティブ/ポジティブレシオ(68/47)は1.4。
S&P500企業の今後4四半期(18年第4四半期〜19年第3四半期)の予想PERは15.8倍。
(3)アジア・新興国動向
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち11指数が上昇。
上位1位週間騰落率南アフリカ1.16%、2位英国0.99%、3位ポーランド0.96%、
4位イタリア0.90%、5位フィリピン0.85%。
下位25位ロシア▲3.58%、24位トルコ▲3.38%、23位タイ▲2.46%、
22位日本▲1.40%、21位オーストラリア▲1.37%。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・
17日(月):首都圏マンション販売、NY連銀製造業景況感、NAHB住宅価格指数、対米証券投資
18日(火):米FOMC、住宅着工件数、独Ifo景況感
19日(水):日銀金融政策決定会合、貿易統計、訪日外客数、ソフトバンク通信子会社(9434)上昇、米パウエルFRB議長会見、中古住宅販売、経常収支
20日(木):黒田日銀総裁会見、全産業活動指数、米CB景気先行指数、フィラデルフィア連銀製造業景況感
21日(金):消費者物価指数、米GDP改定値、耐久財受注、個人所得
【12月】
18日(火)米FOMC(〜19日)
19日(水)日銀金融政策決定会合(〜20日)、ソフトバンク通信小会社上場、変化日
23日(日)満月、東京タワー開業60周年
24日(月)天皇誕生日の振替休日で休場
25日(火)クリスマスでNYロンドン休場、年内受け渡し最終日、変化日
26日(水)ボクシングデーでロンドン休場、上げの特異日
27日(木)株高の日
28日(金)失業率、大納会
30日(日)「TPP11」が発効
31日(月)ニューイヤーズイブでロンドン市場短縮取引
月内:税制大綱とりまとめ、19年度予算案策定
大手証券の「亥年銘柄」のレポート。
↓
本社玄関前に猪像(幸運と子宝に因む)があるピジョン(7956)、
「ウリボー」をグループ会社キャラクターに持つ三井住友(8316)、
「豚」関連でアリアケ(2815)など食品株
「シシ」つながりの西武(9024)
本社所在地(猪之馬場町)でGSユアサ(6674)など。
重なったのはGSユアサだけだった。
(兜町カタリスト 櫻井英明)
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