《マーケットストラテジーメモ》04月04週

【推移】

23日(月):
週末のNY株式市場は続落。金利の上昇基調やアップルに代表されるハイテクセクターの軟調が響いた。「金利や株式相場に影響が及ぶ可能性を懸念。今決算期の勢いもやや不足している」という声が聞こえる。
「債券は株価動向やインフレ期待の高まりに反応している訳ではなく国債発行に関連した動き」という見方もある。少し前までの地政学リスクと円高を警戒する地合いからは脱却。シリアと北朝鮮の両方で懸念が後退し為替は落ちてきた格好。

日経平均株価は74円安の22088円と続落。先週末のNY市場でのアップル株の下落を受けて電子部品や半導体などのハイテクセクターに売り物優勢の展開となった。もっともドル円は107円台後半だったことから売り叩く動きではなかった。

東証一部の売買代金は2兆1614億円。東証一部の値上がり銘柄数は955、値下がりは1035銘柄。第一生命、任天堂が上昇。TDK、アルプスが下落。

24日(火):
週明けのNYダウは小幅に4日続落。10年国債利回りが2.99%まで上昇し4年3カ月ぶりに節目の3%に迫る場面があったことを嫌気。「金利上昇が企業のコスト増や株式の割高感につながるとの警戒感が台頭」という見方だ。

日経平均株価は190円高の22278円と3日ぶりの反発。2月27日以来約22カ月ぶりの高値水準まで上昇した。なかなか抜けなかった75日線も上回り形も良くなってきた。ドル円の108円台が追い風。
東証一部の売買代金は2兆4349億円。東証一部の値上がり銘柄数は1609と全体の8割。値下がりは415銘柄。トヨタ、コマツ、ソニーが上昇。住友鉱、武田薬が下落。

25日(水):
NYダウは大幅に5日続落。年初から1.5%下落となったS&P500とともに下落幅は2週間半ぶりの大きさとなった。「10年債利回りが約4年ぶりに3%台に乗せたことからコスト高と資金調達懸念が台頭」と解釈。
もっとも金利上昇は昨日始まったことではなくたまたま10年債利回りが一時3%になっただけのこと。長期的金利上昇基調の中の一時的すくみという見方もできよう。
信用買残は928億円減の3兆4575億円。信用売残は140億円増の7865億円。日経平均のEPSは1696円と低下しPERは13.13倍。
ようやく13倍台に復活した。

日経平均株価は62円安の22215円と反落。NY株安を嫌気。機や電機など世界の景気変動の影響を受けやすい銘柄が下落。保険や電気・ガスなどの内需関連株の上昇が下値を支えた格好。円相場が1ドル109円前後に下げたのも追い風となった。マイナス展開とはいいながらも「強い動き」という」印象だ。

東証1部の売買代金は2兆4679億円。東証1部の値上がり銘柄数は1077と全体の5割超。値下がり銘柄数は894と全体の43%。エーザイ、大塚HDが上昇。武田、ファナックが下落。

26日(木):
NYダウは6日ぶりの反発。一時200ドル超下落した場面もあったがボーイングの好決算で踏みとどまってプラ転という格好だ。日米金利差、米独金利差が一段と拡大しドルは上昇。ドル円は109円40銭台で2ヶ月ぶりの円安水準だ。

4月20日時点の裁定買い残は1623億円増の1兆7705億円。2週連続の増加。裁定売り残は625億円減の6921億円。3週連続の減少。需給は株高方向を示してきた。

日経平均株価は104円高の22319円と反発。今年初の月足陽線の可能性は高まった。東エレの決算を通過して半導体市況の悪化への過度の懸念が後退。ドル円の109円台も好感された。もっともコマツやファナック。任天堂などの決算発表を控え上値を追う動きは見られなかった。
東証一部の売買代金は2兆7856億円。東証一部の値上がり銘柄数は1243、値下がりは765名柄。武田、マネックスが上昇。アステラスが下落。

27日(金):
NY株式市場は3指数そろって上昇。NYダウは200ドル超の上昇で一時300ドル超上昇した場面もあった。フェイスブックなど前日の決算発表を評価したという解釈。インテルなどの決算も好調だ。
日経平均株価は148円高の22467円と続伸。今期業績見通しが好調な銘柄に買い優勢の展開で2月5日以来およそ2カ月半ぶりの高値を付けた。

1月23日に付けた年初来高値(24124円)から3月23日の年初来安値(20617円)までの下落幅の半値戻しの水準22371円を上回たことは好感されよう。もっとも今期減益予想のファナックは全体の足をひっぱり上値を重くした。日銀金融政策決定会合は金融政の現状維持で通過。

東証1部の売買代金はで3兆3144億円と増加し3月23日以来の高水準。東証1部の値上がり銘柄数は983で全体の47%。値下がりは1019銘柄。ソフトバンク、富士電 機、東電HDの、菱地所が上昇。アルプス、日立建機、商船三井が下落。


(2) 欧米動向
「米経済にとって金利が高すぎるのか、それはどの金利水準なのかというのが年間を通じ疑問視されよう。
このような行きつ戻りつを続けなければならないだろう」という声も聞こえる。
アマゾンやグーグルの持ち株会社アルファベットなど5銘柄は終日売買停止。
「株価に関する技術的な障害による」というのが理由だった。
国債増発懸念が強まり10年債利回りが3%台で上昇。
「商品価格の上昇や金利先高観からインフレ上昇懸念が高まっていることも、債券売りにつながっている」という見方だ。
14年1月に記録した3.04%を上抜ければさらに金利は上昇。
11年夏の水準を試す可能性がでてきた。


(3)アジア・新興国動向
韓国文在寅大統領と北朝鮮金正恩朝鮮労働党委員長は「板門店宣言」に署名。
南北共通の目標として、朝鮮半島の「完全な非核化」実現すると明記した。
年内に、休戦状態にある朝鮮戦争の終戦宣言すると表明。
地政学リスクの低下には期待が高まろうか。


【展望】

スケジュールを見てみると・・・

30日(月):振替休日で休場、シカゴ購買部協会景気指数、中古住宅販売仮契約、中国製造業PMI
1日(火):新車販売台数、国債決済が翌日に変更、米FOMC(〜2日)、ISM製造業景況感、個人所得、新車販売
2日(水):マネタリーベース、消費動向調査、米ADP雇用レポート、ユーロ圏GDP、ASEAN+3財務相・中央銀行総裁会議
3日(木):憲法記念日で休場、米貿易収支、ISM非製造業景況感、製造 業受注、ADB年次総会
4日(金):みどりの日で休場、米雇用統計

【5月】
1日(火)国債取引の決済を翌日に早期化、米FOMC(〜2日)
2日(水)ECB理事会
3日(木)アジア開発銀行総会(マニラ)
7日(月)ロンドン休場(メイ・バンク・ホリデー)
8日(火)変化日
11日(金)SQ
15日(火)新月、MSCI定期見直し(半期)発表
16日(水〉ECB理事会、イスラム圏がラマダン入り、変化日
22日(火〉変化日
29日(水)満月
28日(月)NY、ロンドン休場(メモリアルデー、スプリング・バンク・ホリデー)、変化日
30日(水)米ベージュブック
31日(木)MSCI定期見直し(半期)リバランス

5月のMSCI入れ替え予想が出始めた。
新規採用はSGHD(9143)、東セン(8439)、小林製薬(4967)、サイバー(4751)。除外はCYBERDINE(7779)、九州FG(7180)。
浮動株比率変更の売り圧力は3000億円超。
平均売買インパクトは12.5%程度で影響薄との見方。
京王(9008)、味(2802)、小糸(NY7276)、豊田織(6201)、京銀(8369)、商事(8058)阪急阪神(9042)、NOK(4118)、カネカ(4118)、
久光(4530)などがインパクト上位。


海外投資家が日本株を1兆円分買うと、日経平均を2.4%押し上げる効果があるという。
海外勢は1〜3月までに現物・先物合計で日本株を約9兆円分売り越した。
「そこから1兆円程度しか買い戻しておらず、買い余力は大きい」という見方もある。
1月23日のザラバ高値(24129円)から3月26日の安値(20347円)までの下落幅の半値戻しはすでに達成。
「上昇一服で決算待ちの状態」だ。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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