《マーケットストラテジーメモ》2月 第1週
31日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って4日ぶりに反発。S&P500は2.4%上昇し2020年6月以来の大幅高。朝方は低調だったがハイテク株が上昇を主導。
年初来の大幅高となった。S&P500採用企業のうち168社が決算を通過。このうち77%が市場予想を上回った。
10─12月期決算で売上高が前年同期比11%増の1239億ドルと過去最高となったアップルが7%高。クレジットカード大手ビザが10.6%高。キャタピラーは5.2%安。シェブロンが3.5%安。
日経平均株価は284円高の27001円と続伸。3日ぶりに2万7000円台を回復した。前週末の米市場でのハイテク株高を支えに買いが優勢。「商船三井が昼休み中に業績予想と配当予想の上方修正を発表したのが投資家心理を上向かせた」との解釈。 東証1部の売買代金は3兆2130億円。東エレク、リクルートが上昇。ファストリ、オムロン下落。
1月の日経平均株価は月間で1789円(6.2%)安。月下落幅としては新型コロナウイルスの感染拡大で大幅安となった2020年3月の2225円(10.5%)安以来、1年10カ月ぶりの大きさ。
1日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は揃って続伸。朝方は早期の金融引き締めを警戒した売りで下落。その後下落が目立っていたハイテク株を中心に買いもの優勢の展開。取引終了にかけて上昇幅を拡大。「年金基金の買い」という指摘もある。「株価下落に伴い1月末の年金基金の資産配分のリバランスは大幅な株買い」との見方だ。
セールスフォースやアップル、マイクロソフトが上昇。ネットフリックス、テスラがともに11%上昇。ボーイングは5%上昇。NYダウの月間騰落率は3.32%。21年11月(3,72%安)以来のマイナス率。S&P500は5.25%安。下落率としては20年3月(12.51%安)以来の大きさ。
日経平均株価は76円高の27078円と3日続伸。一時400円超の上昇局面もあったがそこから上は重く上昇幅を縮小した。東証一部の売買代金は3兆4308億円。TDK、郵船が上昇。東レ、ガイシが下落幅。
2日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って続伸。ISM製造業指数の発表を受けて軟調だったが引けにかけて切り返した。エネルギーセクターが主導での上昇。アルファベットは1.7%高。UPSは2022年売上高見通しが市場予想を上回り14.1%上昇。AT&Tは4.2%安。ISM製造業景気指数は57.6と前月の58.8から低下。2020年11月以来1年2カ月ぶりの低水準となった。市場予想は57.5だった。12月の雇用動態調査(JOLTS)で求人件数は15万人増の1090万人。昨年7月の過去最高(1109万8000人)に近い水準となった。市場予想は1030万人だった。日経平均株価は455円高の27533円と4日続伸。買い戻しを交えグロース株主導の上昇となった。東証一部の売買代金は3兆3243億円と5日連続で3兆円台。サイバー、東エレが上昇。村田、デンソーが下落。
3日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は揃って4日続伸。アルファベットやAMDが前日発表した好決算が追い風。アルファベットは7.5%高。AMDは5.1%上昇。エヌビディア、クアルコム、マイクロン・テクノロジーも大幅高。一方、ペイパルは24.6%急落。メタ・プラットフォームズは引け後の決算発表を前に1.3%上昇。
ただ今四半期の売上高が市場予想を下回る見通しから時間外では20%下落。ADP全米雇用報告で民間部門雇用者数は30万1000人減。市場予想の20万7000人増に反して減少した。
日経平均株価は292円安の27241円と反落。前日までの4日続伸の反動との解釈。というよりはメタバースの夜間の下落を嫌気した格好。東証一部の売買代金は3兆3546億円。塩野義、ホンダが上昇。東エレ、ダイキンが下落。
4日(金):
木曜のNY株式は揃って大幅に続落。NYダウは518ドル(1.45%)安。NASDAQは538ポイント(1.74%)安。S&P500は111ポイント(2.44%)安。メタの決算が嫌気され同社株は26%急落。イングランド銀行は政策金利を0.5%引き上げた。
米10年国債利回りは1.841%。2年国債利回りは1.205。ドル円は114円台後半。VIX指数は24.35。原油は1バレル90ドル台に乗せた。
日経平均株価は198円安の27439円と反発。アマゾンの好決算を背景に夜間取引でNASDAQQ先物が上昇。買い物優勢の展開となった。東証一部の売買代金は3兆3078億円,コナミ、任天堂が上昇。花王、第一三共が下落。
(2) 欧米動向
12月の米個人消費支出(PCE)価格指数は前年同月比5.8%上昇と1982年以来の高い伸び。食品とエネルギーを除いたコアPCE指数も前年同月比4.9%上昇。
83年以来の高い伸びとなった。21年第4四半期の雇用コスト指数(ECI)は前期比1.0%上昇。第3四半期の伸び率は1.3%だった。
(3)新興国動向
アジア諸国は春節で多くが休場となった。ロシアの国営天然ガス会社ガスプロムは中国向けの天然ガス輸出を年間480億立方メートルに拡大する計画。北京五輪を背景に東側の動き。
【展望】
スケジュールを見てみると・・・。
【2月】6勝4敗、(勝率60%、4位)
気学では「前半もたつくも中旬より反落し、月末には保ち合いとなる」。
2月7日(月) 景気動向調査、大規模接種大阪で開始、米消費者信用残高
2月8日(火) 家計調査、景気ウォッチャー調査、米貿易収支
2月9日(水) マネーストック、変化日、MSCI四半期リバランス発表
2月10日(木)オプションSQ、企業物価指数、都心オフィス空室率、米消費者物価指数、財政収支
2月11日(金)建国記念日で休場、米ミシガン大学消費者信頼感、
2月13日(日)NISAの日、ドイツ大統領選出、米スーパーボウル
日経朝刊では「ゲームチェンジ」
【メタバース】仮想世界で働き、買い物し、イベントに参加できる。
ゲームなどで使われてきた仮想現実(VR)や拡張現実(AR)の技術活用して誕生した新しい世界は日常生活の一部になる。
人のコミュニケーションのあり方すら大きく変える可能性がある。
メタバースの登場でブロックチェーン(分散型台帳)技術を使った経済圏は一段と広がる。
【金融】お金は「見えないモノ」へ姿を変える。
電子マネーや暗号資産(仮想通貨)が普及し、中央銀行発行のデジタル通貨(CBDC)も登場する。
ブロックチェーン(分散型台帳)という新しい技術の登場で物理的な存在だったお金はデジタルな存在に変わる。
お金の動く速度や範囲、役割が一変し、人々は低コストで瞬時に送金でき、国・政府も課税や分配などの製作を迅速に打ち出せるようになる。
銀行口座を持たない低所得国の人々に金融サービスが行き渡る期待もある。
【循環経済】世界は新しい資源を使わず、廃棄物を出さない「循環経済」への転換が急務。
資源・環境問題は未来の存続そのものを左右する。
未来を変えるカギは、新たな資源を使わずにモノをつくりだす技術、国・企業・個人の意識や行動の変化。
日本のように自ら資源を持たない国でも世界で主導できる可能性がある。
【教育】仕事や学びは大きく変わる。2030年までに世界で4億?8億人の雇用が自動化によって失われ、
うち現役世代の4億人近くは新スキルを身につけ、新しい仕事に就く必要があるという。
日本は新たな能力を身につける「リスキリング(学び直し)」が急務。
リスキリングによって「人ならでは」の仕事を創出し、次世代ビジネスの育成を急ぐ必要がある。
【宇宙】宇宙はぐっと身近になりそう。
30年には資源探索や研究開発、娯楽を求めて宇宙に旅立ち「宇宙の大航海時代」が幕を開ける。
低コストでモノやヒトを宇宙に運べる時代はそう遠くない。
(兜町カタリスト 櫻井英明)