英明コラム 2月第3週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》 2月第3週

 
14日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は揃って大幅に続落。連日で2%水準の下落となった。背景はインフレとウクライナの蒸し返しだが市場はまた反応した格好。金利変動とリスクオフの連動でつじつまはあまり合わない。エヌビディアが7.3%安、アマゾンが3.6%安。アップルとマイクロソフトが2%超値下落。SOX指数は4.83%安。VIX指数は27.36と上昇。1月末以来の高水準となった。週間ではS&P500が1.8%、NASDAQ総合が2.2%下落。
 
日経平均株価は616円安の27079円と大幅に4日ぶりの反落。ただ午後の米株価指数先物の上昇が支えで下値を売り込む動きは少なかった。日銀のETF買い観測も支えになった格好。「ただ追加の買い材料は乏しく値動きは限定的」との解釈だ。東証1部の売買代金は3兆1992億円。三菱UFJ、地所が上昇。レーザーテック、東エレが下落。日銀は昨日J?REITを12億円買い入れた。
前場のTOPIXの下落率が2.03%。東証REIT指数は同2.06%%安。日銀はETFを701億円買い入れ。日銀によるJ?REITの買い入れは2021年3月5日(9億円)以来、約11か月ぶり。
 
15日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は揃って小幅に3日続落。米国がキエフにある大使館を閉鎖するとの発表を受け午後終盤に大きく下落。NYダウの下落幅は一時400ドルを超えた場面があった。その後下落幅を縮小した。前週後半の2日で1000ドル超の下落となっており下値では押し目買いも入ったとの観測。セントルイス地区連銀のブラード総裁は「7月1日までに1%の利上げが実施される」との見解。これも警戒された。
 
日経平均株価は214円安の26865円と続落。前は寄り付き後に200円上昇。後場は一時300円超下落した場面があった。東証一部の売買代金は3兆589億円。電通、キリンが上昇。クボタ、ソニーが下落。
 
16日(水):
火曜日のNY株式市場で主要3指数は揃って4日ぶりに大幅反発。ロシアとウクライナの国境付近での緊張緩和の兆しを好感。フィラデルフィア半導体指数は5.5%高。昨年3月以来の大幅上昇となった。NY連銀製造業業況指数はプラス3.1。1月のマイナス0.7から上昇した。1月の卸売物価指数(PPI、最終需要向け財・サービス)は前月比1.0%上昇。昨年5月以来8カ月ぶりの大幅な伸び。
 
日経平均株価は595円高の27460円と3日ぶりに反発。一時600円以上上昇した場面もあった。東証一部の売買代金は2兆8246億円と今年最低。東エレ、ファーストリテが上昇。住友鉱、スズキが下落。「米インフレ懸念とウクライナ情勢だけでは想像欠如」。そんな声も聞こえる。
 
17日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は小動き。FOMC議事要旨は「FRBはインフレ抑制のため利上げを開始する意向。だが、決定は毎回の会合ごとに行う方針」。これを受けて下落幅を縮小。S&P500はプラスに転じた。ただウクライナ情勢については不安定感が漂う展開。1月の鉱工業生産指数で製造業の生産指数が前月比0.2%上昇。
市場予想は0.3%上昇だった。昨年12月は0.1%低下していた。1月の小売売上高は前月比3.8%増。前月の落ち込みからプラスに転じ、市場予想の2%増を上回った。
 
日経平均株価は227円安の2万7232円と反落。前日にウクライナ情勢への過度な警戒感が後退して600円近く上昇していたこともあり、利益確定売りや戻り待ちの売りが朝方から先行。ロシアの国営通信社スプートニクが親ロシア派武装勢力の実効支配する地域で「ウクライナ軍が砲弾と手りゅう弾を発射した」との報道を警戒。円が1ドル115台前半に上昇したことも嫌気した。東証1部の売買代金は2兆9200億円。物産、大平金が上昇。楽天、キーエンスが下落。
 
18日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は大幅安。ウクライナを巡り米国とロシアの関係が緊迫。ディフェンシブセクターや債券・金などの安全資産に資金が向かった。下落率は、S&P500が2週間ぶり、NYダウは昨年11月30日以来。NASDAQは今月3日以来の大きさとなった。1月の住宅着工件数は年率換算で前月比4.1%減の163万8000戸。
市場予想(170万戸)以上に落ち込んだ。30年物住宅ローン平均金利は4.05%。2019年10月以来初めて4%台に乗せた。週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比2万3000件増加し24万8000件。市場予想は21万9000件だった。これらを受けて国債利回りは低下。
 
日経平均株価は110円安の27122円と続落。後場下げ渋ったが反発にはならなかった。東証一部の売買代金は2兆8069億円。3日連続の3兆円割れ。ファーストリテ、トヨタが上昇。東エレ、ファナックが下落。
 
(2) 欧米動向
 
興味深い米FACTSETの調査、
2月10日までに決算発表のあったS&P500採用銘柄は337社。
そのうち246社が決算説明会中に「インフレーション(inflation)」の言葉を用いたという。
2010年度までさかのぼると、説明会中にインフレに言及していた会社数は過去2番目に多い数で推移。
直近は第3四半期の305社が最高記録。
S&P500企業で割った比率は6割。
割合でみた場合は現時点の第4四半期の73%(337社中246社)が最も高い水準。
 
(3)新興国動向
 
中国人民銀行は3月から個人預金の管理を強化。
現金の預け入れや引き出しが1回当たり5万元(約90万円)を超す際、出どころや使い道を登録するよう市中銀行に義務づける。
背景は不正所得のマネーロンダリング(資金洗浄)防止。
外貨も対象。
海外への違法な持ち出しを取り締まる狙いもありそうだという。
世界はマネーの監視強化の方向。
米証券取引委員会(SEC)はプライベートエクティ(未公開株)ファンドやヘッジファンドの監視強化に乗り出す。
多額損失を被った際の即時報告を義務付けるほか、高額の手数料にもメスを入れる。
金融政策が引き締めに向かう中、総資産18兆ドル(約2070兆円)規模に膨らんだ「シャドーバンク(影の銀行)」への警戒を強めている。
「カネ余り相場が転機を迎えるなか、価格の急変動でファンドが思わぬ損失を被る可能性は高まっている」との解釈だ。
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・。
 
【2月】6勝4敗、(勝率60%、4位)
    気学では「前半もたつくも中旬より反落し、月末には保ち合いとなる」。
   
2月21日(月)プレジデンツデーでNY休場
2月22日(火)企業向けサービス価格指数、米CB消費者信頼感、CS住宅価格、独IFO景況感
2月23日(水)天皇誕生日で休場
2月24日(木)米新築住宅販売、株安の日L、変化日
2月25日(金)米耐久財受注、米個人所得 大幅高の日
2月28日(月)鉱工業生産、米シカゴ購買部協会景気指数、モバイル見本市「MWC」開催(バルセロナ)、MSCIパッシブ売買インパクト
 
日銀は先週月曜に「指し値オペ」と呼ぶ公開市場操作を実施。
10年物国債を0.25%の利回りで無制限に買い取る。
理由は長期金利が上がらないようにするため。
「金利を低く抑えることで金融緩和を堅持する姿勢を鮮明にする」との解釈。
指し値オペの実施は2018年7月以来、約3年半ぶり。
金融緩和を進めている日銀にとって0.25%が許容範囲の上限。
週末10日には一時、0.23%と16年1月以来、6年ぶりの水準まで上昇していた。
欧米の中央銀行とは真逆の日銀。
巨人と戦う向きが登場するのかどうか。
ビビッてすくむのか。
市場の評価が興味深い。


(兜町カタリスト 櫻井英明)
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