英明コラム 7月第1週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》7月1週
 
【推移】
 
29日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数は2%を超える大幅反落。新型コロナウイルス感染拡大を受け一部の州で感染拡大抑制策が再度導入されたことが悪材料。「新規感染はかなり劇的に急増している。外食や買い物はまだ安全でないと人々が感じ始め株式相場にマイナスの影響が及ぶ」との見方だ。週間ではS&Pが2.87%、NYダウが3.31%、NASDAQが1.87%それぞれ2週ぶりの反落。
 
日経平均株価は517円安の21995円と反落。後場は指数先物売りをきっかけに200円強下落幅を拡大。500円安下落し心理的節目である22000円を割り込んだ。「6月末に向けた年金基金によるリバランス売りや、海外ヘッジファンドの決算期末売り」との指摘もあるが、取ってつけたような印象。東証1部の売買代金は2兆1407億円。レーザーテック、日電産が上昇。SBG、JTが下落。
 
30日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は反発。政府の刺激策で景気が回復するとの期待感が拡大。NYダウは580ドル上昇。ただ「上下の株価変動は激しいが結局相場はどこにも向かっていない。これが今月の相場の特徴。一日一日の動きが派手に見えても20日間の動きを足してみればゼロだ」という声がある。
 
日経平均株価は293円高の222888円と反発。朝方発表の失業率や鉱工業生産指数は悪化したがNY株高を好感した。ただ引けにかけて上昇幅を縮小。ほぼ安値引け。東証一部の売買代金は2兆2425億円。ファーストリテイリング、ファナックが上昇。武田、Jフロントが下落。日足は2日連続の陰線。月足は3か月連続陽線。22408円―22281円に空いた小さな窓をヒゲでは埋めた。
「前引けにかけてマザーズ先物が急落するなど小型株に売り物が一斉に出た。月末、上半期末という特殊な日らしい出来事」という声もある。6月の日経平均は410円(1.9%)高。
 
1日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は揃って続伸。6月の米消費者信頼感指数は98.1と前月の85.9から上昇。「景気の落ち込みにひとまず歯止めがかかった格好」と好意的解釈。
 
ただ「感染再拡大が回復の道筋を阻害する恐れもあり、先行きへの不安は根強い」という声もある。FRBのパウエル議長は「経済の道筋は著しく不透明」だとコメント。
米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は「安全で有効なコロナワクチンが得られる保証はない」と警告。新型コロナの感染第2波も懸念されている。先週の新規感染者数は前週から46%増加。21州でのコロナ検査の陽性率はWHOが懸念する水準を上回った。それでも株高だった月末。
 
日経平均株価は166円安の22121円と反落。東京都のコロナ感染者が60人以上と伝えられたことから後場は下落幅を拡大。東証一部の売買代金は2兆351億円。東エレ、SBGが上昇。トヨタ、任天堂が下落。NTレシオは14.38倍と今年最大値を連日の更新。39年ぶりの高水準だ。
 
2日 (木):
水曜のNY株式市場でNASDAQは3日続伸。過去最高値を更新。S&P500は3日続伸。NYダウは3日ぶりの小幅反落とマチマチ。ファイザーが独ビオンテックと共同開発中の新型コロナワクチンが初期段階の臨床試験(治験)で有効性や十分な忍容性(副作用への耐用性)を示したことを好感。新たなロックダウン(都市封鎖)措置は回避されるとの期待が追い風となった。
ISM製造業景気指数は52.6と4カ月ぶりに上昇。2019年4月以来の水準を回復。市場予想の49.5を上回った。ADP全米雇用レポートで民間部門雇用者数は236万9000人増加。ただ予想の300万人増には届かなかった。
 
日経平均株価は24円高の22145円と小幅反発。夜の雇用統計を待っての動意薄。「東京都知事選の選挙戦が行われていることが手控えの一因。都内で新たに107人が新型コロナウイルスに感染していることが確認された。リスクを取りづらい」という声が聞こえる。TOPIXも反発。東証マザーズ指数は6日続落。東証1部の売買代金は2兆2366億円。ガンホー、東エレが上昇。SUMCO、ファーストリテが下落。
 
3日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は上昇。NYダウは92ドル高と反発。好調な雇用統計を受けて上昇し一時26200ドル台を回復した場面もあった。ただ独立記念日の3連休控えから引け際に上昇幅を縮小した。
NASDAQは連日の史上最高値更新。S&Pも4日続伸。雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比480万人増で着地。1939年の統計開始以降で最多となった。市場予想は300万人増だった。失業率も11.1%と5月の13.3%から改善。
 
一方で3月と4月を合わせた失業者数は2200万人。「まだ一部の人しか再就職できていないのが実情」という声もある。この先の焦点は第2四半期の決算。S&P500採用銘柄は43.1%の減益見通しだ。
 
日経平均株価は160円高の22306円と続伸。「国内での新型コロナウイルスの感染拡大傾向は懸念材料。ただ下値の堅さも意識されている」という見方だ。東証マザーズ指数は7日ぶりに反発。東証1部の売買代金は1兆6954億円。NYの連休を控えて商いは低調だった。SBG、ガンホーが上昇。トヨタ、武田が下落。
 
(2) 欧米動向
 
S&P500種は四半期ベースで19%上昇。
1998年以降で最大の伸び。
NYダウは四半期で約18%上昇と87年以降で最大。
NASDAQはも30%上昇。
99年以降で最大となった。
 
 
(3)アジア・新興国動向
 
小さなウソは許されないが大きなウソは許されるのかも知れない。
それが香港の国家安全法施行。
英国から中国に香港の主権が返還されて23年。
高度な自治を返還後50年間にわたって保障した「一国二制度」は事実上消滅。
英国は100年前の約束を守って99年の租借で返した。
受けた中国は23年で約束を反故に。
中華人民共和国政府は2047年まで香港で社会主義政策を実施しないことを約束した。
これは事実。
でも大きなウソは許されるのだから不可解ではある。
 
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・。
 
【7月】陽線確率5勝5敗、(陽線確率50%)、過去15年7勝8敗(10位)
    気学では「悪目買い。買い方針にて下旬戻り売り方針」
 
 3日(金):需給ギャップと潜在成長率(日銀)、GPIFの19年度運用状況発表、米独立記念日で休場、米議会休会(→19日)、変化日
 5日(日):東京都知事選投開票
 6日(月):米ISM非製造業 
 7日(火):家計調査、景気動向指数、米週間小売り売上高、中国生産者・消費者物価
 8日(水):景気ウォッチャー調査、主なETF分配金基準日、米消費者信用残高
 9日(木):機械受注、工作機械受注、マネーストック、さくらレポート、変化日
10日(金):オプションSQ、国内企業物価、主なETF分配金基準日、米生産者物価、シンガポール総選挙
11日(土):香港立法会選挙の予備選
12日(日):水星順行、鹿児島県知事選
13日(月):第三次産業活動指数、米財政収支、民主党大会は延期
14日(火):日銀金融政策決定会合(→15日)、米週間小売り売上高、消費者物価、中国貿易収支
15日(水):黒田日銀総裁会見、展望れレポート、米鉱工業生産、輸出入物価、ベージュブック、NY連銀製造業景況感、変化日
16日(木):米小売り売上高、フィラデルフィア連銀製造業景況感、ECB理事会、中国各種経済指標
17日(金):米住宅着工件数、ミシガン大学消費者信頼感
18日(土):G20財務相・中央銀行総裁会議(サウジ)、香港立法会総選挙立候補届け出開始
22日(水):下げの日
23日(木):海の日で休場
24日(金):スポーツの日で休場、鬼宿日・天恩日
28日(火):米FOMC(→29日)、変化日
29日(水):株高の特異日
30日(木):米GDP速報値
31日(金):ユーロ圏GDP速報値
 
「上場企業6−14%減益」という報道。
以下は各社の見通し。
野村:20年度▲13.9%、21年度41.3%。
大和:20年度▲9.5%、21年度31.4%。
日興:20年度▲5.9%、21年度29.5%。
 
結局今年度は減益でも来期は2ケタ増益。
18年度実績には届かないという見方もあるが2ケタ増益。
相場はここを先取りしている格好なのだろう。
 
6月月間ベースでは日経平均株価は1.9%高、3カ月続伸。
TOPIXは0.3%安、3カ月ぶりに反落。
東証マザーズ指数は3.0%高、3カ月続伸。
日経ジャスダック平均は0.8%高、3カ月続伸。
東証2部指数は7.2%高、3カ月続伸。
東証REIT指数は2.0%安、2カ月ぶり反落。
 
年の半分を通過した時点での確認。
年初来騰落率では東証マザーズ指数が12.8%上昇。
米NASDAQが12.1%上昇。
一方東証REIT指数が22.3%の下落。
一時2013年の水準まで下落したからこれは目立った。
また四半期ごとでは・・・。
日経平均は3371円13銭上昇(17.8%)。
2013年1?3月の19.3%以来の水準だ。
またこめ NASDAQは2358ポイント(30.6%)の上昇。
1999年10?12月の48.2%以来20年半ぶりの大きさとなった。
「株、下げたら上がる」の好例だった。


(兜町カタリスト 櫻井英明)
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