英明コラム10月第4週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》 10月第4週

【推移】
 
19日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数はマチマチの展開。NYダウは4日ぶりに反発。NASDAQは4日続落。SP500は小幅に上昇。ファイザーは新型コロナウイルス感染症ワクチンについて11月下旬に米当局に緊急使用許可(EUA)を申請する公算が大きいと発表。これは好感された。「市場を動かす2大要因はワクチン開発を巡る日程と追加刺激策への楽観」という声が聞こえる。週間では主要3指数いずれも上昇。
 
日経平均株価は260円高の23671円と3日ぶりに反発。日中値幅は160円程度。後場は70円程度。TOPIXは4日ぶりに反発。東証1部の売買代金は1兆6863億円と6日連続2兆円割れ。NYダウ先物の上昇を頼りに後場も確りした展開だった。SBG、ソニーが上昇。フィルム、KDDIが下落。
 
20日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数は大幅に下落。NASDAQは5日続落。「追加の新型コロナウイルス経済対策協議が期日の20日までに合意に至る道筋はまだ見えていない」というのが下落の理由。ただこれはわかっていた材料。ホントは「各地で拡大する新型コロナ感染を巡る懸念や大統領選への警戒感が圧迫要因」という指摘の方が正しいのだろう。
コロナ対策はいずれ何かしら行われること。その時間差を材料に売られた訳ではないと見たいところ。
 
日経平均株価は104円安の23567円と反落。米国株の下落を受けての反落。東証一部の売買代金は1兆7349億円。19年8月以来の記録だ。ソニー、良品計画が上昇。任天堂、SBGが下落。
 
21日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数は反発。民主党のペロシ下院議長は「来月初旬までの支援実現に向けホワイトハウスと合意できる。20日中にも合意の兆しが見られるはずだ」とコメント。これで市場に表面的楽観論が台頭した。所詮「風任せ」のマーケットの面目躍如の印象。
 
日経平均株価は109円高の23676円と反発。「追加経済対策の協議に進展があったことを受け、投資家のリスク許容度が改善した」というつまらない解釈。米バイオ製薬モデルナが12月にも緊急使用を申請すると伝わったことで、経済活動が早期に本格回復するとの期待感も追い風になった。「11月に入れば買うチャンスも広がり、今は手を出す局面ではない」とう意味不明の解釈も聞こえる。一時23700円台を回復した場面もあった。
東証1部の売買代金は9179億円。KDDI、ファナックが上昇。ファストリ、エムスリーが下落。水曜は3連敗後の2連勝。
 
22日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数は終日不安定な展開の中、揃って小幅反落。相変わらず材料は追加経済対策の行方。民主党のペロシ下院議長は「合意に至る可能性はまだ残されている。議会通過は大統領選後になる可能性がある」とコメント。ただペロシ氏の報道官は「きょうの話し合いで法案の実現にさらに近づいた」とした。市場が政争に右往左往させられているだけのことに映る。
 
日経平均は166円安の23474円と反落。ドル円の104円台への円高トレンドやコロナウイルスのワクチン開発での死亡例が嫌気され売り物優勢の展開。25日移動平均の23429円近辺に近づくと押し目買いが入ったものの終日マイナス展開。
東証1部の売買代金は1兆7740億円と9日連続の2兆円割れ。ファーストリテ、SUMCOが上昇。任天堂、ニトリが下落。
 
23日 (金):
木曜のNY株式市場で主要3指数は相変わらず不安定な展開ながら反発。追加経済対策への期待は高まるが進展は遅い。市場では最後の大統領候補討論会に注目が集まっている状態。
これまでにS&P500採用企業の約5分の1が決算発表を通過。84.1%が予想を上回った。週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は78万7000件と、前週の84万2000件から減少。ただ依然として高止まり状態。市場予想は86万件だった。
 
日経平均は42円高の23516円と反発。米大統領選討論会を通過し後場は一時100円超上昇した場面もあったが上値は重かった。「半導体大手のインテルの時間外取引での急落で、東エレクやアドテスト、スクリンなど半導体関連株に売りが出て上値を抑えた」との見方だ。
東証1部の売買代金は1兆9159億円。10日連続での2兆円割れは昨年8月以来。重工、第一生命が上昇。ZHD、日ハムが下落。
 
 
(2) 欧米動向
 
9月の小売売上高は前月比1.9%増と市場予想の0.7%増を上回った。
ミシガン大学消費者信頼感指数(速報値)は81.2と9月確報値の80.4から上昇。
3月以来7カ月ぶりの高水準となった。
9月の鉱工業生産統計は製造業生産指数が0.3%低下。
市場予想(0.7%上昇)に反して低下した。
米財務省は2020年会計年度(9月30日まで)の財政赤字が過去最悪の3兆1320億ドルに達したと発表。
過去最悪だった09年度(1兆4160億ドル)の2倍を超える水準に膨らんだ。
 
(3)新興国動向
 
世界の株式時価総額は10月12日時点で過去最高の91兆3000億ドルに達した。
日本円では約9600兆円。
日経新聞の指摘は「ITにマネーが集中し、金融、エネルギーなどの比率が低下」。
低金利の影響もあるのだろうが、それにしても世界の投資熱は暖かい。
兆を超えれば次は「京」の世界。
あと400兆円でやってくる。
 
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・。
 
【10月】陽線確率6勝4敗、(陽線確率60%)、過去15年9勝6敗(6位)
気学では「急落することあり。安値を買い拾うこと」、火星大接近の月
 
26日(月):企業向けサービス価格指数、臨時国会召集、菅総理所信表明演説、米シカゴ連銀全米活動指数、新築住宅販売、独IFO景況感、中国5全中開催
27日(火):米耐久財受注、SP住宅価格指数、CB消費者信頼感
28日(水):日銀金融政策決定会合(→29日)、展望レポート、グーグル公聴会、大幅高の特異日
29日(木):黒田日銀総裁会見、消費動向調査、日経平均臨時入替、ECB理事会、米GDP速報値、TOPIXパッシブ売買インパクト
30日(金):失業率、鉱工業生産、米個人所得、ユーロ圏GDP速報値、株高の日
31日(土):中国製造業PMI、非製造業PMI
 
米国金利の上昇というファクターがあり円高トレンドというファクターが重なる。
本来為替と金利は二律背反の関係にあるもの。
金利が下がればドル安円高、金利が上がればドル高円安。
しかし現状は金利上昇基調でのドル安。
どちらかが間違っているのだろう。
「金利の上昇が続けばFRBは抑えにかかる」。
これが常識論。
ただFRBがもっとも恐れてるのはドルの信認低下。
しかし、ユーロは停滞し、円などドルの足元にも及ばず。
せいぜい人民元だけが次を待つ姿勢。
となると米中対立はまだまだ収まらない。
局地的な米中問題はこれからも市場を悩ませるのだろう。
「金利上昇下でのドル安」。
これはNYが一番いやがることでもあろう。


(兜町カタリスト 櫻井英明)
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