英明コラム 8月第2週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》 8月第2週

10日(火):
週明けのNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。NYダウ3日ぶりに反落。NASDAQは小幅反発。中国で新型コロナのインド型(デルタ型)の感染が拡大。大型イベントが一時的に中止されたとの報道を嫌気したとの解釈。
 
また7月の中国貿易統計で輸出の伸びが6月から大幅に減速したことも警戒された。ゴールドマンは7ー9月期の中国の実質GDPの伸び率を大幅に下方修正。年間の成長率予想も引き下げた。第2四半期決算を発表した443社のうち利益が市場予想を上回った企業の割合は87.4%と過去最高。
 
日経平均株価は68円高の27888円と3日続伸。一時28000円台に乗せた場面があったが終値ではキープ出来なかった。東証一部の売買代金は2兆3076億円。三井金、塩野義が上昇。住友鉱、ソニーが下落。イスラム・ヒジュラ暦の新年期間。
 
 
11日(水):
火曜のNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。NYダウとS&P500は終値ベースの過去最高値を更新。議会上院で超党派による1兆ドル規模のインフラ投資法案可決を好感した格好。
一方NASDAQは反落。米上院は1兆ドル規模のインフラ投資法案を可決。鉄道や道路、空港の改修や、EV充電施設、家庭向けブロードバンド通信網の整備などが盛り込まれている。新規歳出は5500億ドル程度。残りはこれまでに承認されたインフラ投資となる。上院は、社会福祉や気候変動などに対応した3兆5000億ドル規模の財政支出法案についても審議入りを承認。民主党は共和党の賛成がなくても可決する方向。
 
日経平均株価は182円高の28070円と4日続伸。終値で28000円台を回復したのは7月16日以来。もっとも上値は重かった。東証一部の売買代金は2兆6453億円。ダイキン、鉄が上昇。東エレ、SBGが下落。
 
12日(木):
水曜のNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。NYダウとS&P500は終値ベースの最高値を更新した。NASDAQは続落。CPIは前年同月比では5.4%上昇と13年ぶりの高水準。市場予想は前年同月比が5.3%上昇、前月比は0.5%上昇だった。変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数は前月比0.3%上昇。市場予想は0.4%上昇だった。
 
日経平均株価は55円安の28015円と5日ぶりに小幅反落。「利益確定などの売りが優勢となった。主要企業の決算発表がほぼ一巡。新規の材料を欠くなかで持ち高調整の売りも出やすかった」との解釈。だったら寄り付きの上昇はなんだったのかという気もする。東証1部の売買代金は2兆3844億円。川船、昭和電工が上昇。楽天、サイバーが下落。
 
13日(金):
木曜のNY株式市場で主要3指数はマチマチの動き。NYダウとS&P500は3日連続で終値ベースの最高値を更新した。ハイテク大手が上昇を主導した格好。アップル、マイクロソフト、アマゾン、アルファベット、フェイスブックが上昇。NASDAQの反発をけん引。テスラ、エヌビディア、モデルナなどが上昇した。7月の卸売物価指数(PPI)は前年比7.8%上昇。市場予想は7.3%だった。比較可能な2010年11月以降で最大。
 
日経平均株価は37円安の27977円と続落。大引け直前にプラスに転じた場面もあったが結局はマイナス。TOPIXは小幅反発。後場はほぼ横ばい圏での推移。「好決算銘柄への買いが続いているが、週末とあって持ち高を一方向に傾ける動きは限られている」との見方。「SQ済んで動きなし」という格好だ。暫定SQ値は28093.15円。
今日の高値は28079円だったからまだ「幻のSQ値」のままで1敗。東証1部の売買代金は2兆3208億円。JFE、リクルートが上昇。東芝、アドバンテストが下落。
 
(2) 欧米動向
 
雇用統計で非農業部門雇用者数は前月比94万3000人増加。
前月の93万8000人に続く伸びとなった。
市場予想は87万人増だった。
雇用者数は今年に入り430万人増加。
しかし2020年2月に付けたピークをなお570万人程度下回っている。
失業率は5.4%と前月の5.9%から低下。
20年3月以来1年4カ月ぶりの低水準となった。
時間当たり平均賃金の伸びは前月比で0.4%。
労働参加率は61.7%と6月の61.6%から小幅上昇。
人口に占める雇用者の比率も58.4%と6月の58%から上昇した。
 
消費者物価指数(CPI)は前月比で0.5%上昇。
6月の0.9%上昇から伸びが大幅に鈍化。
「インフレへの懸念が緩和した」との解釈だ。
 
(3)新興国動向
 
7月上海総合指数は月間で5.4%下落。
「ナスダック・ゴールデン・ドラゴン・チャイナ・インデックス」は22%下落した。
「背景には、中国共産党政権による大手企業への締め付け強化がある」との指摘。
デルタ型の拡大も懸念されており、中国の動向は要注意という視点は変わらない。
 
 
【展望】
 
スケジュールをみてみると・・・。
 
【8月】4勝6敗、(勝率40%、10位)
    気学では「前半は活況。中旬以降は戻り売り。月末保合いに終わる」
 
13日(金):オプションSQ、米輸出入物価、ミシガン大学消費者信頼感、
16日(月):4ー6月GDP、米NY連銀製造業景況感、対米証券投資、米国債利払い費、中国各種経済指標
17日(火):第三次産業活動指数、米小売売上高、鉱工業生産、NAHB住宅価格指数
18日(水):貿易統計、機械受注、米住宅着工件数、変化日
19日(木):首都圏マンション販売、米フィラデルフィア連銀製造業景況感、
20日(金):消費者物価、鬼宿日、FTSE日本指数9月半期リバランス発表
 
企業の業績を反映するのが株価。
そして市場関係者が重視するのが企業業績。
これは否定されないだろう。
先週までの決算で明らかになったのはその企業業績の好調さ。
決算開示した企業のうち7割の最終利益が前年同期より改善した。
特に製造業の強さは目立っている。
また、今通期の純利益は前期比35%増の見通し。
3ヶ月前の期初は30%増の見通しだったから3か月で5%増加した。
「自動車や鉄鋼などの回復が顕著」との解釈だ。
期初予想からの上方修正額は1兆1500億円。
市場が懸念するSBGの純利益5兆円維持をカバーするには、あと4兆円弱の上積みが欲しい。
SBGの株式評価益が前期並みを維持できればラッキーという感じだ。
しかし・・・。
昨日の相場を見てもわかるように、東京の陣は攻めにも守りにも弱い。
買い方はおっかなびっくり上値を攻める。
売り方は堂々と下値を攻める。
この堂々として売り方の攻撃に対して買い方はほとんど首をすくめて撤退姿勢。
上でオドオド、下で守らず気配を消すなんて攻撃はないだろう。
売り方の買戻しという旗印の異なる援軍だけを期待している滑稽さ。
「好業績」よりも「コロナ・半導体不足・原材料高」など敵の攻め材料を自分で選んで身をすくめる姿勢。
これでは勝てない。
市場は「誰かが守ってくれる」のではなく「自分で守る」ものだろう。
「根拠のない他力本願」ではいつまでたっても自立できないし孤立したままだ。


(兜町カタリスト 櫻井英明)
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