英明コラム 1月第4週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》1月4週

【推移】
 
20日(月):
週末のNY株式市場で主要3指数はそろって終値ベースの過去最高値を更新。昨年12月の住宅着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比16.9%増の160万8000戸。2006年12月以来13年ぶりの高水準。12月の鉱工業生産指数は、製造業部門は0.2%上昇。市場予想は0.2%低下だった。週間ではNYダウが1.82%、NASDAQが2.29%、S&P500が1.96%上昇。
 
日経平均株価は42円高の24083円と3日続伸。昨年12月17日以来ザラバ終値とも約1カ月ぶりに更新し18年10月3日以来の高値水準。日中値幅は47円と動意薄。東証1部の売買代金は1兆4179億円と低調。ソニー、東エレが上昇。SBG、パナが下落。
 
22日(火):
週明けのNY株式市場はキング牧師の生誕記念で休場。本当は1月15日がキング牧師の誕生日だが、現在は1月の第3月曜日が祝日。「1998年以降の22年間。キング牧師誕生日の祝日がある4営業日に米株は弱いジンクスがある」との指摘。NYダウは平均で0.79%、S&P500は0.51%の下落だった。ただ「2012年以降の8年間のうち6回はNYダウ、NASDAQ、ラッセル2000指数が上昇。S&P500とラッセル10000指数は8年間のうち5回は上昇した」という声もある。日経平均株価は218円安の23864円と4日ぶりの反落。新型コロナウイルスへの警戒感から香港ハンセン指数が大幅に下落した影響を受けた展開。東証一部の売買代金は1兆6704億円。トヨタ、バンナムが上昇。ファーストリテ、東エレが下落。
 
23日(水):
3連休明けのNY株式市場で主要3指数は反落。中国で発生した新型コロナウイルス感染拡大やIMFが世界経済見通しを引き下げたことが背景との解釈。米疾病対策センターは新型肺炎について米国内で初の患者を確認したと発表。患者は中国からの旅行者がワシントン州シアトルで確認された。「投資家は今後数週間、数カ月は、この問題に注目するだろう」という見方だ。
IMFは世界経済見通しで米経済成長率を2.0%と0.1ポイント下方修正。債券市場もコロナウイルス感染問題でリスク回避の安全資産志向。
 
日経平均株価は166円高の24031円と反発。寄り付きは小幅に軟調だったが電子部品セクターなどに買い戻しの動きが見られてプラ転。香港ハンセン指数の堅調さも追い風となった。
東証1部の売買代金は1兆8868億円。リクルート、信越が上昇。ファーストリテ、三菱自が下落。TOPIXは前日の下落分をほぼ帳消しにした。「天赦日(もっとも縁起の良い日)」は7週ぶりで今年初の水曜高。曜日のリズムは変わったかも知れない。
 
23日(木):
NY株式市場でNYダウは反落、NASDAQとS&P500は小幅反発とマチマチの動き。新型コロナウイルス感染拡大を巡る懸念は依然燻ぶった格好だ。
 
世界的に警戒態勢が敷かれ世界保健機関(WHO)は「国際的な公衆衛生上の緊急事態」に相当するかどうか判断するため緊急委員会の会合を開催。第4四半期の売上高が市場予想を上回って増加し通期利益見通しが市場予想を上回ったIBMが上昇。オランダの半導体製造装置メーカーASMLの強気な業績見通しを好感。フィラデルフィア半導体株指数は0.8%高。
 
日経平均株価は235円安の23795円と大幅反落。1ドル109円台前半の円高トレンドを嫌気。「海外投資家による株価指数先物への売りが優勢となった。新型肺炎の感染拡大も警戒され、香港や中国・上海の株式相場が急落したことも買い手控え要因」という解釈、サポートしていた25日移動平均も下回った。
東証1部の売買代金は1兆9516億円。アドバンテスト、TDKが上昇。楽天、Fマートが下落。
 
24日(金):
木曜のNY株式市場でNYダウは続落。S&P500は小幅続伸。NASDAQは続伸で過去最高値を更新した。もっともほぼマイナス圏で推移した動き。引け際の製薬大手ギリアド・サイエンシズの発表は「自社のエボラ用試験薬を新型コロナウイルス感染の治療に利用できるかどうか検証している」。
これを受けてS&PとNASDAQはプラス圏に浮上した。ただ新型コロナウイルス感染拡大懸念は継続しており上値は重い。週間新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比6000件増の21万1000件。市場予想21万5000件は下回った。4週間移動平均は前週比3250件減の21万3250件で昨年9月以来の低水準。恐怖と欲望指数は89→82→74→68に低下。
 
日経平均は31円高の23828円と反発。新型肺炎の感染拡大への警戒感が継続で売り物がちだった下値は限定的で持ち直してのプラス圏。
週足は3週間ぶりの陰線。週足陰線は今年初。TOPIXは微妙に続落。東証1部の売買代金は1兆8103億円。ディスコ、SUMCOが上昇。日電産、ネットワンが下落。
 
(2) 欧米動向
 
「魔の山」ダヴォスで開催された第50回ダヴォス会議。
テーマは「ステークホルダーがつくる持続可能性」。
最近では、ダヴォス会議で相場が動くことは滅多にない。
市場からは「所詮金持ちの集まり」という声もある。
119人の大富豪が参加し合計資産は約55兆円。
気にされていたトランプ大統領の2年ぶりの演説も通過した。
「アメリカはこれまでにないほど経済的に繁栄している。
第1段階の署名に至った米中の貿易交渉は21世紀の中でも模範的な新しいものとなった。
交渉は公平で、労働者や家族の要望を優先したものだった。
環境問題について今は悲観的になる時ではなく楽観的になる時だ。
恐怖と疑念はよい思考ではない。
地球が破滅するという予言は否定しなければならない」と主張したとの報道。
イラン問題など都合の悪いことはオミットして自画自賛。
秋の大統領選に進むということなのだろう。
 
(3)アジア・新興国動向
 
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち6指数が上昇。
上位1位ベトナム週間騰落率1.28%、2位トルコ0.55%、3位ドイツ0.37%、
4位オーストラリア0.32%、5位台湾0.24%。
下位25位香港▲3.81%、24位中国▲3.22%、23位南アフリカ▲2.89%、
15位米国▲1.22%、12位日本▲0.89%。
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・
 
25日(土):中国春節入り
27日(月):米新築住宅販売、独IFO景況感、イスラム・ヒジュラ暦の6月入り(パフォーマンス悪い月)
28日(火):企業向けサービス価格指数、米FOMC(→29日)、CB消費者信頼感、耐久財受注、S&P住宅価格指数
29日(水):消費動向調査、月内受け渡し最終、日米中古住宅販売仮契約、変化日
30日(木):米GDP速報値
31日(金):鉱工業生産、失業率、米個人所得、ユーロ圏GDP、英EU離脱期限
 
日本の競争力を高めるため、科学技術の挑戦的な課題に取り組む「ムーンショット型研究開発制度」。
人類を月へ運んだアメリカのアポロ計画のように、科学技術の挑戦的な課題に取り組む方向。
国が5年間で総額1000億円を拠出する大型のプロジェクトだ。
プロジェクトの具体的な目標として6つの項目がまと待ったとの報道。
30年後の2050年に実現を目指す研究目標。
(1)身代わりのようにロボットを操作する技術と情報通信技術などを組み合わせて、人が体や空間、それに時間の制約から解放された社会を実現する
(2)体内の臓器のネットワークを解明するなどして、極めて早期に病気の予測や予防ができる社会を実現する
(3)人間と共生するロボットを実現する
(4)地球温暖化と環境汚染の問題の解決を目指し、持続可能な資源の循環を実現する
(5)微生物や昆虫などの機能を活用して、持続的な食料供給産業を創出する
(6)経済や産業などを飛躍的に発展させる量子コンピューターを実現する
 
時価総額を名目GDPで除したバフェット指数。
過去18年9月122%、17年12月122%、07年6付き106%。
89年12月135%が最大値。
先週は一時時価総額656兆円、名目GDP559兆円。
バフェット指数は117%に上昇した。


(兜町カタリスト 櫻井英明)

 
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